Eighter -Midnight Howling-
41ster 〜燭台切は伊達違う(ダテじゃない!) C〜



#5
 徳川宗家の新米当主、りりかに下された使命はスウィートプラントを解体する事。
 伊達宗家から奪われた燭台切光忠を奪還すべくキャンドルスティックスラッシャーを追っていた宗美(むねみ)。
 両者は同じ場所で鉢合わせた。これは一体何を示すのか?
※いや、答えは一つでしょ……與鷹(よたか)「ええと、結局そちらもここに用があるってことでいいのか?」
 頬をぽりっとかきつつ與鷹(よたか)は呟く
伊達宗美(むねみ)「ま、まぁ、そういうことだな」
 なぜか目が泳いでいる宗美(むねみ)。怪しい……実に怪しい。
徳川りりか「ふ〜ん……」
 りりかからつい視線をそらしてしまう宗美(むねみ)。疚しいことがあると言っているようなものである。
天然蛍「まぁ、仲間が多い方がいいよね」
宗美(むねみ)「その通り!三人寄ればもんじゅの臨界超過ともいうではないか」
片倉十夜「言いませんよ、宗美(むねみ)様……」
 そもそも『もんじゅ』の意味が違う
 と、そんな寸劇をやっていると……
*「……」
 ファンシーな兎をかたどった巫山戯(ふざけ)た鍔が特徴的な刀を携えた『ダテじゃない!』と書かれたアイマスクをした
謎の人物が現れる。
與鷹(よたか)「なんだこいつは?」
 アイマスクにくぎ付けになる與鷹(よたか)。まぁ、無理もない。誰だってそうなる。
(かみ)総介「フン、大方スウィートプラントが放った刺客だろうが……」
 と、いうか、それ以外は考えられない。
十夜「ああっ!?」
一同「うおぉっ!?びっくりした……」
 突如大声を張り上げる十夜に一同びっくり仰天
宗美(むねみ)「やっぱり、お前もそう思うか?」
 そんな中、宗美(むねみ)も静かに、だよね〜とうんうん頷く。
與鷹(よたか)「いや、話が全然見えないんだが……」
十夜「あいつがもっている刀……」
一同「刀?」
りりか「ものすごくファンシーな鍔よね……それが?」
十夜「あれは、間違えようもない……宇佐美長光だ!」
 確かに、あんな特徴的な刀は一度見たら忘れられないな……
りりか「んん?その刀って……」
十夜「はい、上杉家より我が伊達家……伊達成実(しげざね)の父、実元(さねもと)に送られた刀です」
與鷹(よたか)「え?ってことは……あいつはその成実(しげざね)の子孫ってことか?」
宗美(むねみ)「……あぁ、あいつは伊達成実(なるみ)……だと思う」
 アイマスクつけてるから正直なところは分からないけど……と付け足す宗美(むねみ)
※どうでもいいけど同じ漢字で『なるみ』と『しげざね』って紛らわしいな……
りりか「え?なんで敵についてんの?」
宗美(むねみ)「それが、分っかんないんだよねぇ……ただ、少し前から行方不明になっていたのは確かなんだが……」
りりか「まぁ、なんでもいいからどうにかして頂戴」
宗美(むねみ)「言われなくてもそうするつもりだよ」
 そうして宗美(むねみ)は一歩前に出て愛刀、村正・梵天丸に手をかける
宗美(むねみ)「一体何のつもりなんだ?成実(なるみ)?」

#6
*「……」
 だが、宗美(むねみ)の言葉には何も返さず、宇佐美長光で斬りかかってくる
宗美(むねみ)「くっそ〜、問答無用かよ……」
 ガキンッ
 黙って斬られるわけにもいかず、宗美(むねみ)も応戦する
與鷹(よたか)「なぁ、総……」
総介「奴が自発的に消えて敵の走狗になったという可能性も無きにしも非ずだが、現状では何者かに操られている
という可能性の方が高いだろうな……」
與鷹(よたか)「それがスウィートプラントのやり口ってわけか?」
総介「さぁな……」
與鷹(よたか)(どういう意味だ?)
 総介の言葉を怪訝に思う與鷹(よたか)。
 それはさておき、死合は続く

宗美(むねみ)骸鴉閃(がいあせん)!」
成実(なるみ)「……骸鴉閃(がいあせん)」
 ドドッ
 疾風の如き剣閃で横に薙ぎ払うと相手も同じ技を繰り出してくる。
宗美(むねみ)「くっそ、やりにくい……」
十夜「互角!?……宗美(むねみ)様……お気を付けください……実力伯仲であれば、一瞬の油断が命取りに……」
宗美(むねみ)「そんなことは分かってるって……鴪重剣(いつえけん)ッ!」
成実(なるみ)「……鴪重剣(いつえけん)」
 ガガガガガガガッ
 眼にも留まらぬ速さでの連続斬撃……しかし、相手もまた、同じ斬撃をもってして受け流す。
宗美(むねみ)(くそっ……成実(なるみ)とは独眼流の同門……そして実力伯仲……ならば一瞬の油断が命取り……全くもってその通
りだ……だが、この状況を打開するにはどうすれば……)
 宗美(むねみ)はそんなことを考えていたが、しかし、そんなことを考えている場合などではなかったのだ。
 この一瞬の迷いこそが致命的な油断
宗美(むねみ)「しまっ!?」
 ギャリィ〜〜ンッ
 次の瞬間には村正・梵天丸は弾き飛ばされてしまう。
*「……」
 更に迫りくる兇刃
十夜「宗美(むねみ)様ぁっ!」
 ガギンッ
 咄嗟に両者の間に両腕をクロスさせた状態で割って入り兇刃を防ぐ十夜。
宗美(むねみ)「十夜!」
 両腕切断さる!?……かに思えたが、そこは十夜、もしもの時の備えは完璧である。
 その両腕には黒い帯が巻かれ、兇刃を防ぎきっていた。
 流石、黒脛巾(くろはばき)組を従えるだけのことはある。(え、関係あります?それ?)
※いや、黒脛巾(くろはばき)って脛につけるヤツでしょ、腕じゃないじゃん……なんて言わないで
十夜「……宗美(むねみ)様!」
宗美(むねみ)「ああ、そうだ……そうだなぁ……」
 弾き飛ばされた村正・梵天丸を取りに戻り、構えなおしてから宗美(むねみ)は静かに呟く。
宗美(むねみ)「流石に考えが甘すぎた見たいだなぁ……」
 そのまま眼帯に手をかける宗美(むねみ)。
 心機一転、魔眼開放……最悪、斬ることになっても、許せよ……と心の中で呟く宗美(むねみ)。
 果たして……宗美(むねみ)の覚悟は成実(なるみ)に届くのか?!


続

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