Eighter -Midnight Howling-
36ther 〜南米に眠る聖遺物(オーパーツ) B〜



#3
 一週間前から音信不通になった両親を探してほしいと、はるばるブラジルからやってきたエスピンガルダ四姉弟
 祖国の警察に頼まず日本までやってきたのは天四斗のEighterがオーパーツ専門の機関だからだ。
 まぁ、それはさておき、簡単な自己紹介をしだすエスピンガルダ四姉弟。
梓與鷹(よたか)「アリエラにシドホス……ねぇ……」
カルロス・エスピンガルダ「もしかしたら、殲滅卿や黒王伯爵の通り名の方が分かりやすいかも……」
一同(考古学者の通り名が、殲滅卿て……) 
 なんだよ、その物騒極まりない通り名は!と白拍子三姉妹以外は心の中で突っ込んだ。
元人交喙(いすか)「フッ、話は全て聞かせても立ったぜ!」
與鷹(よたか)交喙(いすか)?」
 と、そのとき、勢いよくEighter本部のドアを開けて交喙(いすか)が参上する。
交喙(いすか)「黒王伯爵、シドホス・エスピンガルダと言えば俺のオヤジと同じく世界に名を馳せたトレジャーハンターの
一人。そんな漢が助けを求めてるかもしれんとなれば、俺が出向くしかなかろう!」
 え〜〜、と、言うか、お前どこで話聞いていたんだ?と首をかしげる與鷹(よたか)を置き去りに、交喙(いすか)はカルロスに語り
かける。
交喙(いすか)「カルロスとか言ったか」
カルロス「あ、はい」
交喙(いすか)「お前もオヤジの跡を継ぎ、立派なトレジャーハンターになるのが夢なんだろう?」
カルロス「え?いや、そんなことはないですけど」
交喙(いすか)「な、何だってぇ!?」
 バババッ
 次の瞬間、三人の姉がカルロスの腕とか引っ張り出しこう叫ぶ
リーザ・エスピンガルダ、ローザ・エスピンガルダ、エルザ・エスピンガルダ「カルロスは専業主夫になって私を
養うことが決まってるんです」
カルロス「決まってねぇ〜〜!」
 まぁ、トレジャーハンターなんてそもそも職業として成り立つのか疑問な将来を歩むよりは専業主夫の方が余程
堅実ではあるけれど……
リーザ、ローザ、エルザ「ええっ!?小さいころ、大ききなったらスウェーデンで結婚しようって言ってくれたの
に……」
カルロス「言ってないッ!」
白拍子かんな「ええと、残念ですけど、スウェーデンでも異母、異父の場合でしか姉弟婚できませんが……?」
リーザ、ローザ、エルザ「そ、そんなぁ……」
 三人の姉、ガックリと項垂れる。この姉ズ、そんなに弟と結婚したいのかよ
リーザ「よし、今日から私たちは義理の姉弟よ!」
カルロス「DNA鑑定したら一発でバれるでしょっ!」
エルザ「じゃ、じゃあ結婚できなくても、シングルマザーとして……世間的には父親は誰なのか決して言えないけ
ど、赤ちゃんを育てるってのは……」
一同「無しです!」
 と、言うか、依頼の話はどうなったんだよ……脱線しすぎだろ!

#4
 そんな折、交喙(いすか)カルロスの両肩にガシっと手を置いて叫ぶ
交喙(いすか)「カルロス!お前、オヤジの後を継いでトレジャーハンターにならないなんて親不孝にも程があるぞ」
カルロス「(むし)ろトレジャーハンターになるって言い出す方が親不孝でしょうが!」
 最もな突っ込みである。
交喙(いすか)「おっ、お前は……お前はっ、それでも世界に名を馳せたトレジャーハンター、シドホスの息子か!」
カルロス「トレジャーハンターの息子だからってトレジャーハンターにならなきゃいけないなんて決まりはないで
しょうが!」
 (むし)ろ、交喙(いすか)にはちゃんと地に足ついた職業についてほしいと、今更ながら考える與鷹(よたか)であった。
※もはや手遅れですが……と、言うか交喙(いすか)は本当にトレジャーハンターで食っていけてるのか、今更ながら心配に
 なってくる。
 と、そのとき、突如として黙っていた(あつし)がツカツカとカルロスの元へ歩みより、交喙(いすか)の腕をどかすとさっきと同
じ感じでカルロスの両肩にガシっと腕を置いて叫ぶ
枳篤(からたち・あつし)「いいか、カルロス、絶っっっっ対に姉の誘いに乗ってはいけないからな!結果、姉に逆らえなくなり後悔す
るのはお前なんだぞ!」
カルロス「は、はぁ……」
 無駄に説得力のある重い言葉だった。

與鷹(よたか)「……」
 そんなことはともかく、とっとと依頼の話を進めたいなぁ……と考える與鷹(よたか)。
かんな「ええと、今はその話は後回しにして、依頼の話を進めませんか?」
 でもって、かんなの超運がそれを見逃すわけがない。すかさず助け船を出すかんなであった。
白拍子かれん「ってか、一週間連絡がないだけで騒ぐのもどうなのよ」
一同「……」
 気不味い沈黙。がしかし、それは一人の高笑いで破られる
白拍子かなり「オ〜〜〜ッホッホッホッホッホ!ウチのゴクツブシがアホなこと言ってすみませんねぇ」
 ガツン
かれん「痛いしッってか、誰がゴクツブシよっ!」
 鉄扇(真殺影刃の変形)で頭を思いっきり叩かれて抗議をするかれんだが、かなりに逆らうものは死あるのみだ
かなり「……ああ、そうねぇ、ゴクツブシってのは間違いだったわねぇ……ごめんなさい、かれん。貴方はゴクツ
ブシと言うよりは獄門で潰される方だったわよね」
かれん「ゴクツブシで結構です。すいませんでした」
 このままでは本当に獄門で潰される……とかれんはガクブルしながらレイプ目で泣き叫ぶのであった。
かなり「毎日の様に連絡がきているのが、ぷっつりと一週間もなくなったら誰だって心配するものよ」
カルロス「あ、はい。そうです」
リーザ「そうそう、言い忘れていたけどそうなんですよ」
 いや、それ、早く言ってよ……


続

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