Eighter -Midnight Howling-
35ther 〜百万(メガ)電流眠中夢索(ドリーミング) A〜



#0
 埼玉県、熊谷市で蔓延る新型ドラッグ、アックワサンタ……それはイタリアンマフィア、ソンニャーレが流通
させていたのだが、奴らがどこからそれを仕入れていたのか不明だった
 しかし、奴らはオーパーツ、彷徨える変魂(チェンジリング・ソウル)を駆使してイタリアンなトマトの中身をアックワサンタに変換し、堂
々と育てていたのだった。
 そして……

#1
梓與鷹(よたか)「さて、連中、次はどう来る?」
 鞘火や兵十(へいと)を見ながら與鷹(よたか)が呟く。
(かみ)総介「フッ、どうやら搦め手は諦めたようだな……」
與鷹(よたか)「え?」
 屋敷の外が騒がしい……まるで団体がやってきたかのような……
 って、この状況でやってくる団体なんて大和(やまと)率いるソンニャーレ以外にないですね……
 と、言うわけで早速一行も大和(やまと)らを迎え撃ちに移動する。

権狐兵十(ごんこ・へいと)大和(やまと)!」
 ソンニャーレを率いる大和(やまと)をギロリと睨み付ける兵十(へいと)
徒勝大和(とかち・やまと)「貴様ら、よくも俺の計画を邪魔しやがったな……」
 おかげで実力行使に出ざるを得なくなっちまったじゃねぇか!ともはや八つ当たりである。
大和(やまと)「野郎どもッ」
一同「おうよ!」
 大和(やまと)の叫びと共にソンニャーレのメンバーはバタフライナイフやアーチェリーを構える
兵十(へいと)「舐められたものよのぉ」
 兵十(へいと)がそういうと、正統派のメンバーが屋敷から銃、日本刀を構えてなだれ込んでくる
*「お嬢を亡き者にしようとした報い、受けてもらううぞ!」
 一足飛びにかかる正統派の一人
白拍子かんな「だ、ダメです!」
 ヂュイィイイ〜〜〜ンッ
*「は!?」
 日本刀を上段から一気に振り下ろす正統派の一人。それに対し立ち向かったソンニャーレのメンバーはバタフラ
イナイフで応戦。
 普通ならば上等な業物たる日本刀の前にバタフライナイフなど何の役にも立たないはずだった……
 しかし、バタフライナイフに刃を合わせた瞬間、怪訝(おか)しな音と共に日本刀が切り裂かれた!
 ごぎゃぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅるるっ
*「あぐわがあああっ!?」
 更に振動と斬撃に切削……三つをミックスしたような攻撃を喰らい、その場に崩れ落ちる正統派のメンバーだっ
た。
與鷹(よたか)「なっ、い、一体どういうことだよ?」
山咲(やまざき)桜「あれが、彷徨える変魂(チェンジリング・ソウル)の真骨頂です」
與鷹(よたか)「はい?」
総介「中身を交換する……究極的にはAとBの魂を入れ替える……」
兵十(へいと)「魂の交換……?」
桐辻鞘火「……」
 先ほど、大和(やまと)に入れ替わられた二人からしてみれば、納得できる事象だった。
 まぁ、理解はできないけれど……

#2
 ……しかし、それが今の状況を説明するには至ってないのでは?という二人であった。
かんな「万物には魂が宿っている……なんて話は今は置いときますが、簡単に言うとあっちが使うバタフライナイ
フはその中身()がチェーンソーに置き換わっているもの……と考えてください」
兵十(へいと)「いや、そりゃどういうことだよ!」
 かんなの説明に思わず突っ込みを入れる兵十(へいと)。しかし、鞘火はハッとした表情で呟く。
鞘火「……姿形はバタフライナイフでも、その魂は、チェーンソーということ……?」
 ご名答……と総介がパチパチと手を叩く。
 これが、彷徨える変魂(チェンジリング・ソウル)の真価……
 あんなチンケなバタフライナイフ如きで我らに盾突くのは馬鹿の所業……と思わせといて過剰防衛で返り討ちと
いうなんとも巫山戯(ふざけ)た所業だ。
大和(やまと)「チッ……バれちゃあ仕方ねぇ……」
 ならば、次はこいつよ!とヤマトはアーチェリーの部隊に指示を出す
與鷹(よたか)「さっきのがバタフライナイフの皮を被ったチェーンソーなら、あのアーチェリーは……」
 嫌な予感に冷や汗がタラリとでる與鷹(よたか)。
 そんな與鷹(よたか)大和(やまと)はニタリと狂気の笑みを浮かべて告げる。
大和(やまと)「マシンガンだ!」
 ズダダダダダダダダダダダッ
 シン〇ォギアAXZのOPにあったク〇スがイチ〇バルから連続射撃……いや、実際にはそんな比ではないが、とに
かく弓の皮を被ったマシンガンから放たれる、矢の皮を被った銃弾の雨。
総介「チッ……」
 すかさず総介が蒼王の刃(ブルーロード)を手に一歩前へ
総介「蒼人薙旋(そうじんていせん)」
 カカッ
 横薙ぎ一閃。蒼き光が走り、矢の皮を被った銃弾の雨が全て消し飛ばされる。
大和(やまと)「な、何だと!?」
 開いた口が塞がらない大和(やまと)
大和(やまと)「クソッ、巫山戯(ふざけ)た真似しやがって!」
 いや、それはこっちのセリフである。
大和(やまと)「蒼い刀を持つ漢……奴を重点的に攻撃するんだ!」
総介「フッ、俺だけを止めればいいと思っているのならば、それは大間違いだ」
 そんなことを呟くと、かんなが一人、神滅超越者(ラグナロクエクセル)を手に総介の隣に立つ
大和(やまと)「なっ、なんだ、そのレーザー兵器みたいなの……卑怯だろ!」
一同「テメェにだけは言われたくねぇよ!」
 鍼暴(はりぼう)組正統派の心からの叫びだった。
大和(やまと)「いいか、狙いはあの二人、重点的に撃て」
*「で、ですが、もう矢が……」
大和(やまと)「何ぃ?」
 弓矢をマシンガンとして使っていれば、矢なんてあっという間になくなるのは当然である。
 しかも、矢は銃弾の何倍もかさばるモノであるため、大量に持ち歩くのも困難だ……
 策士策に溺れるというのはこのことか……


続

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