Eighter -Midnight Howling-
32nder 〜世界からの脱皮者(ワールド・パージ) C〜



#5
 日本海溝で見つかったオーパーツ……それは『殻を破る』を体現する代物。IS(イスラミックステート)のエージェントに奪われてしまっ
たが、何としてでも奪還せねばならぬ。
 え?米軍が武力介入すればいいんじゃないかって……
 それを言っちゃあ、おしめぇよ!
※をいをい……與鷹(よたか)「しっかし、米軍が介入してきてササっと終るんじゃないかと思ったが、なぜウチに依頼が?」
(かみ)総介「さぁな……」
與鷹(よたか)「……」
 あ、この顔は理由を知っている顔だ……と與鷹(よたか)は察知した。
 長い付き合いだからこそ分かることもある。言いたくないことならば無理に聞くこともない……
※これが與鷹(よたか)じゃなくて交喙(いすか)だったらバンバン聞いてくるところだけど
山咲桜(窃盗事件に軍が介入するのは不相応……と、いうことですね)
 もっとも、今となっては軍が介入してきてもおかしくはない事態になっているが……
総介(だが、問題なのは……)
 なぜIS(イスラミックステート)があのオーパーツを奪ったのか……と、いうことだ。
 東日本海洋研究所から盗みを働いた研究員は借金からIS(イスラミックステート)にそそのかされていることは調べではわかっている……
だが、そもそもIS(イスラミックステート)はなぜあのオーパーツを欲しがったのか
 当初、何のためのアーティファクトなのか誰もわからなかったはずだ……ならばそれを盗もうともしないはずだ
……それなのに、なぜ盗んだのか……
総介(あのオーパーツの正体を知っていて、利用したいがため……)
桜(でも、だとしたら、どこからその情報を仕入れたのか……)
 Eighterに解析依頼を出した後ならばわかるが……その場合、盗まれることはほぼないだろうが……
 ならば、どういうことなのか……先ほどから嫌な予感がしてならない総介なのであった。
白拍子かんな「あの島ですね……」
與鷹(よたか)「あれか……」
 かんなのナビに導かれ、前方にある島を見る與鷹(よたか)。
 現在Eighter一行が目指しているのは日本海沖のとある島である。
 万が一に備え、城太郎はあのオーパーツに発信機を取り付けてあった。そして、その発信機が示す場所と言うの
がその向かう先なのだ……
與鷹(よたか)「ってか、先ほどからピクリとも動いていないんだけど……」
かんな「そうですね……」
與鷹(よたか)「既に発信機を発見されてそれだけ放置されているという可能性は?」
総介「まぁ、そうだとしても、そこに何か手がかりの一つでも転がっていれば、あるいは……」
與鷹(よたか)「なるほど……」
 とは、言いつつも、あまり期待はできないんだろうなぁ……と考える與鷹(よたか)であった。

#6
 そんなこんなで一行は発信機が示す先……日本海沖にあるとある島……その廃墟へとたどり着く。
與鷹(よたか)「ここか……」
 やけに静かだな……というのが第一印象。
 やはり、発信機が外され、ここに放置されているのだろうか……
與鷹(よたか)「あ、あれは!?」
 しかし、壊れたドアから発信機が示す部屋の中を覗いたそのとき、部屋の中に世界から脱皮する者(ワールド・パージャー)を見て與鷹(よたか)は思わず声を上
げる。
與鷹(よたか)(しまっ……)
 しかし、時すでに遅し……が、しかし、誰も来ない
與鷹(よたか)(どういうことだ?)
総介「チッ、やはり、こういうことか……」
 そう呟き、総介は乱暴にドアを開ける。最も、壊れているので乱暴に扱わなくともギギギギっと音が鳴ってしま
うのだが……
森メメント「ようこそなのである」
 部屋に足を踏み入れると突如として声が聞こえる
與鷹(よたか)「お前は……」
 この口調、忘れるわけもない、人の姿を持つ場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)……森メメント。
総介「やはり、貴様らが裏で暗躍していたということか……」
メメント「その質問には答えられないのである」
 人の姿を持つ場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)が情報をリークした。だからこそ、IS(イスラミックステート)はこのオーパーツを欲しがったのだろうか
……しかし、メメントは何も答えない。
與鷹(よたか)IS(イスラミックステート)のエージェントは……」
メメント「彼はこの世界から脱皮したのである」
 つまり、それは死んだということだ……
與鷹(よたか)「……まぁ、あれだ……オーパーツがIS(イスラミックステート)の手に渡らなくなったのでひとまず危機は免れたってことでいいのか
な……?」
総介「いいわけないだろ!」
 與鷹(よたか)の発言にすぐさま総介が怒鳴る。いや、その通りなんですが……
 それはともかくとして、メメントは叫ぶ。
メメント「待っていたのである。《キツネザルの使徒》!」
與鷹(よたか)「待っていただと?」
メメント「お前たち人間(パーツ)もこの世界から脱皮させてやるのである」
総介「フン、それは辞退させていただく」
メメント「ハッ、人間(パーツ)風情に、拒否権なんてないのである!後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)!」
 叫ぶとともに空間が歪み、二本の剣が出現する。
総介「是非もなし……か……」
桜「警部」
総介「うむ」
かんな「いえ、私が行きます」
 総介が前に出るよりも先に、かんなが茜瑙哭(セドナ)覚醒し、神滅超越者(ラグナロクエクセル)を手に一歩前に出る。
総介「……」
 自分が矢面に立とうと思ったが、かんなが死合うというのであれば、かんなに任せるべきだろう……
 そう思い、総介はかんなにこの場を譲るのであった。

#7
メメント「壊してやるのである!」
 一足飛びにかかり、両手の後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)で斬りかかるメメント
かんな「簡単に負けるつもりはありませんよ」
 それを神滅超越者(ラグナロクエクセル)で受け止めるかんな
 組み合ったまま動かない二人だが、こんなものはほんの小手調べに過ぎない。いや、小手調べですらない、睨み
あっているようなものだ。
メメント「来い、である!」
かんな「いわれなくともっ」
 叫ぶとともに一旦距離を置くメメント、そして、それを追う形のかんな。
 果たして、かんなはメメントを駆逐できるのか!?


END

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