Eighter -Midnight Howling-
30ther 〜闇影(やみ)ニ堕ツル深淵(アビス) B〜



#3
 オルタナチスXゲーヴォニリッヒ……それはオルタナチスの中核を担う大幹部。
 そして今、その一人、灰光(かいこう)のフェノーフトとかなりの死合が始まった。
フェノーフト「どうにも参ったね……」
 ふぃ〜とタバコをふかしつつ、距離を置いてかなりと対峙するフェノーフト
フェノーフト「今ので斃せないなんて……これは厄介だ」
白拍子かなり「オ〜〜〜ッホッホッホッホ!身の程を知ったのならおとなしくそこをどきなさい!」
フェノーフト「いや、そいつはできない相談だ……ナイトヘッド」
かなり「ふん」
 ガキインッ
 闇を凝縮して作ったトゲ付きの球体がかなりに襲い掛かる。
 が、しかし、かなりは涼しい顔で鉄扇を振りかざしこれを止める。
 フェノーフトが王位なる吊り劔章(ダモクレス・ブレーディア)を駆使して攻撃を繰り出しているのに対してかなりは女王禍(ジョーカー)の力も使わずただ
身体能力のみで渡り合っている……
 と、言うことはこの死合、最初から勝負になっていないのではないか……
フェノーフト「やれやれ、これは覚悟決めないとダメか……」
 タバコを地面に落として足で踏んで消火。
 フェノーフトを闇が交じった霧が覆っていく
かなり「今更本気を出したところでもう、遅いわよ」
フェノーフト「オルタナチスXゲーヴォニリッヒをあまり舐めないことだな」
 スウっと霧に隠れて消えていくフェノーフト
フェノーフト「シャドークロー」
 かなりの横手に出現したフェノーフトが闇を凝縮した刃で斬りかかる
かなり「ふん」
 ザンッ
 対してかなりは真殺影刃を大鎌の形に変形させてこれを両断。
 しかし、両断されたフェノーフトは霧のように消え失せる。手ごたえがない……さっきのは霧の分身か何かか…
…と考えていると今度は反対側からすかさず襲い掛かってくる。
かなり「無駄っ」
 だが、そんな手を使ってくるであろうことは看破できていたかなりは返す大鎌でこれも両断。再び霧と消えてし
まうフェノーフト。今回も霧の分身か何かだったようだ。
フェノーフト(ここだ!)
 そして背後からの一撃。
かなり「それも、お見通しよ」
フェノーフト「うおおっ」
 ヒュっと首筋に突きつけられる大鎌の刃。
 このまま進めば首を落とされる……冷や汗をかきつつフェノーフトは闇を凝縮した刃を手放しかき消す。三度目
の正直とでもいうべきか、彼は分身かなにかではなく、本体のようだ
 と、かなりも刃を納めて後ろを振り向く
フェノーフト「どうしてわかったんだい?」
かなり「何度も言わせないで!気配は消せてもタバコのヤニの匂いは消せてないって」

#4
フェノーフト「そうか……って、納得しかけたけれど、霧の力で消臭しているはずなんだけど」
 すんすんと自分の袖の匂いを嗅ぎつつ無臭だってことを確認するフェノーフト。
 もっとも、常日頃タバコを吸っていることで知らずにタバコ匂いが染みついているのかも……と一瞬思いもした
が、王位なる吊り劔章(ダモクレス・ブレーディア)の霧の力はそんなものではない。
かなり「誰が物理的な匂いの話をしたと思っているのかしら?」
フェノーフト「何ぃ?」
かなり「私には匂うのよ、アナタの心に染みついた、タバコの匂いがねぇ!オ〜〜〜ッホッホッホッホッホ!」
フェノーフト「いやいやいや……」
 そんな馬鹿な……と手をぶんぶん振りながら叫ぶフェノーフト。
 ちなみに、実際には匂いではなくて、かなりの剛運で察知しているだけである。
 それをもっともらしく匂いとかなんとか言って敵の裏をかく。かなりなりの戦略のようなものだ。
フェノーフト「シャドーレイ」
 ぴちゅんっ
 匂いとか気配とかもはやどうでもいい、相手が反応するより前にケリをつける!フェノーフトはそう考えて闇の
閃光を放つ。
かなり「聖狼躱虚(しょうろうたうろ)……なんちゃって」
 しかし、光を回避して、フェノーフトの懐に一瞬で飛び込むかなり
フェノーフト「な、なにぃ?」
 そのまま大鎌の一撃がフェノーフトの胴を両断……が、しかし
かなり「あら?」
 胴体を瞬時に霧と同化させて致命傷は防いだフェノーフト。そのまま飛び退り距離を置く。
フェノーフト「クッ」
 さっきかなりは双狼拳(そうろうけん)奥義の一つを使っていたが、それはかなりが全ての技を使えるというチートキャラだから
ではあるが……鎌を使って拳法の奥義を繰り出すのはどういうことなのか……と、突っ込む人もいるだろう。
 要するに奥義のアレンジだ。聖狼躱虚(しょうろうたうろ)の本質は敵の攻撃を回避してカウンターを叩き込むことにある。つまり、
拳でなくても使用することは可能ということだ。最も、かなりだからこそという点も大いにあるが……
かなり「ヤバイって思ったら霧と同化して回避するなんてなんてチートな」
 アンタがそれを言うか?
フェノーフト「クッ、全力をだすしかないってか……無限暗夜への誘い!」
かなり「ふふん、無限暗夜への誘い!」
フェノーフト「な、何だと?」
 これにはフェノーフトも驚愕せざるをえない。全ての技が使用可能というチートキャラ、かなりだからこそでき
る芸当だ。
 闇でできた狼の群れがかなりに襲い掛かるが、かなりの方が威力は上だった!


続

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