Eighter -Midnight Howling-
30ther 〜闇影(やみ)ニ堕ツル深淵(アビス) A〜



#0
 ヒトラーの意思を現代に受け継ぐもの、オルタナチス……奴らはオーパーツの軍事利用を脈々と続けてきた。
 そして今、場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)に操られているなどとつゆにも思わず、オルタナチスはオーパーツの軍事利用に一
応の成果が出たと確信していた。
 この勘違いを打ち砕き、場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の野望を阻止するのが今回のEighterの任務だ。

#1
*「ふぅ〜〜」
 一行がオルタナチスアジトを進むと突如、壁によりかかり、タバコを吸う無精髭の漢と遭遇した。
梓與鷹(よたか)「お前は……」
*「オジサンはねぇ、灰光(かいこう)のフェノーフト……オルタナチスXゲーヴォニリッヒの一人よ」
與鷹(よたか)「Xげー、な、なんだって?」
ラウ・ラ・ボディーヒ「オルタナチスXゲーヴォニリッヒ……オルタナチスの幹部クラスの連中だ」
 先ほど斃した青光のカーボナード、赤光のブロンゼもXゲーヴォニリッヒの一員だ、と続けるラウ。
ラウ「ちなみにゲーヴォニリッヒってのは日本語では『一般的な』って意味だったはずだ」
一同「……」
 いや、それまた翻訳間違ってるでしょ!と思う一行。ラウってたまにポンコツに見える時あるよね……
 それが彼女のチャームポイントなのかもしれないが……
※なお、ゲーヴォニリッヒ(Gewohnlich)とは英語ではGeneral……日本語に訳すとなれば将軍という意味だ
 で、話をちょっと戻すと『オルタナチスXゲーヴォニリッヒ』というのは『オルタナチスX将』という意味だ。
 名前からなんとなくわかるがオルタナチスの中核をなす大幹部のことを言い、メンバーが何人に増えてもいいよ
うに最初から『数値 + 将』ではなく、『X + 将』になっているのだ。

フェノーフト「末端の緑光のティーガーを斃す……これはまぁ、分かる。いわばザコだからな……」
 ふぃ〜とタバコをふかしながらしみじみ語るフェノーフト。
フェノーフト「しかしまぁ、青光のカーボナード、赤光のブロンゼを斃しなとなれば話は別だ……」
與鷹(よたか)「こいつ……」
 この漢、得体が知れない……一見やる気がないように壁にもたれ掛っているように見えて全く隙が見えない。
 こういうタイプが一番面倒な相手なんだ……
フェノーフト「君たち、先に進みたいのかい?」
ラウ「当然だ!我らは貴様らの野望を打ち砕くためにここにいる」
フェノーフト「ご苦労なこった……」
與鷹(よたか)「通してくれる……のか?」
フェノーフト「はぁ……面倒くさいけどねぇ、オジサンも辛いのよ……アンタらを先に通すと上からドやされる…
…」
 わかるぅ?と指差す代わりに紫煙を放つタバコで示すフェノーフト。中間管理職きどりか!
白拍子かなり「オ〜〜〜ッホッホッホッホ!とっとと道を開けなさい!」
フェノーフト「いんや、ダメだね……」
 給料を貰っている身としては死合うのは避けられない定め……とフェノーフト。サラリーマンかよ!

#2
かなり「いいわ、かなりに逆らいしものには"死"を……」
白拍子かんな「かなり姉さんがやるんですか?」
 次は私が死合う番なのかな……と考えていたかんなであったが、それよりも先にかなりが名乗りを上げたので思
わず確認。
白拍子かれん「いやいや、姉さんは言うだけ言って丸投げするだ……」
 ドゴッ
かれん「へぶうっ!?」
 かれんが言い終えるよりもさきにかなりの鉄拳……もとい鉄扇(真殺影刃)が飛ぶ。
かなり「だったらこれから先、全部アンタに任せてもいいのよ?」
かれん「いえ、ナンデモナイデス……」
 目がマジだ……かれんは濁ったドブのような目のままガタガタ震えながら呟くばかりであった。
フェノーフト「オジサンの相手をしてくてるのは君なのかい?」
かなり「ええ、このかなりが相手になってあげるんだから、光栄に思いなさい!オ〜〜ッホッホッホッホ!」
フェノーフト「ならば、早速……灰光のフェノーフト、参る!」
 しゅおおお〜と突如辺りに霧が立ち込める
與鷹(よたか)「これは……」
ラウ「これが、ヤツの……王位なる吊り劔章(ダモクレス・ブレーディア)の力か!」
フェノーフト「そう、我がシュヴェールトの力……それは霧……」
 どこからともなく声が聞こえる。
 この一寸先も見えない霧の中で、どこまで抗えるか見物だねぇ……と呟くフェノーフト
フェノーフト「シャドークロー」
 かなりの背後から襲い掛かるフェノーフト
かなり「子供だましね」
 ガキンッ
フェノーフト「何?」
 闇を固めたような刃で斬りかかってきたフェノーフトに対し、かなりは振り向きもせず、鉄扇の形態のままの真
殺影刃で受け止めて見せる。
かなり「フッ、気配は消せてもタバコのヤニの匂いは消せなかったようね」
フェノーフト「参ったなぁ、こりゃあ……オジサン、禁煙しないといけないな」
 いや、禁煙しただけですぐにはヤニの匂い消えないんじゃ?
フェノーフト「影打ち」
かなり「あまい!」
 げしげしげしげしっ
 影よりにゅっと闇の拳が伸び、かなりを殴ろうとするがかなりはヒールでそれを迎撃してみせる。
※ってか、霧に包まれて辺り一面影っぽいことになってますけどね……
 そんな中で的確に魔手を迎え撃つかなり、流石かんな以上の剛運の持ち主である。


続

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