Eighter -Midnight Howling-
28ther 〜闇影(やみ)ニ堕ツル混沌(カオス) B〜



#3
 場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)がドラゴンクロニクルを参考に作り上げた闇のシステム、冥王の心臓。
 その実験として選ばれたのは何か……

 と、ここで話は現実世界へ移ります
 ドイツ、ドレスデン郊外
 ドレスデンと言えばドレスデン・グリーンという緑ダイヤを思い浮かべる人もいるかもしれないが、そのダイヤ
はドレスデンで産出されたからという理由ではなく、ドレスデンから動くことなくずっとそこで展示され続けてい
るから、という理由だったりする。

 ま、そんなことはどうだっていいんだよ……事件というか、騒動はここから始まる。
*「ふっ、ふふふ……ふはははは!遂に完成したぞ!」
 一人の学者が狂ったかのように笑いながら宣言する。
*「ここはこのセリフが最もふさわしい……」
 ズバっと敬礼を行うとそいつは力の限り叫ぶ
*「ドイツの科学は世界一ィイイ〜〜〜〜ッ!」
 をいをい……
*「ど、どうしたんですか、ルドルフ・オン・シトロンハイム技術部長?」
 そして、そんな雄たけびを上げれば他の研究員も何事かとやってくるのは必定
ルドルフ・オン・シトロンハイム「見たまえ、私はついにやりとげたのだ……」
一同「こ、これは……」
 そこには緑色に光り輝くハーケンクロイツが、宙に浮いていた。
 物体が浮いている……のではない、パーティクルの集合がハーケンクロイツの形を取っているのだ。CGでもない
とするならば、これは一体……
ルドルフ「この力で、ドイツは世界の覇者となる……」
一同「ヒトラー総統閣下!我々は長き雌伏の時を超え、ついにここまで来ました……」
 天上から見ておいでください、ヒトラー閣下、我々は第四帝国を作り上げて見せます!
 そう、彼らこそは世界大戦のころから今日まで脈々と続いてきたナチス残党なのだ……
ルドルフ「ジーク、ヒトラー」
一同「ジーク、ヒトラー!」
 ルドルフが叫ぶと研究員が口をそろえて叫ぶ。
 どうでもいいが、『ハイル、ヒトラー』ではないのか?お前ら実はナチス残党じゃなくてジ〇ン残党じゃないの
か?
ルドルフ「では、早速実験に入ろうと思うが……」
*「はっ、でしたら是非とも私に」
ルドルフ「うむ、よかろう……」
 ルドルフは緑色に輝くパーティクルでできたハーケンクロイツに手を伸ばし幾許かのパーティクルを手に取ると
そのまま研究員の胸に押し当てる
*「あががががっ、がああああっ!」
 全身に電撃が走るような衝撃……そして……
*「……こ、これが、俺のシュヴェールトの力……」
 全身が緑色の光に包まれ、力が漲る
一同「おお、第一の実験は成功だ!」

#4
 天四斗(あまよと)、Eighter本部
*「オーパーツを専門に扱っている軍事組織って言うのはここか?」
梓與鷹(よたか)「いや、軍事組織じゃないですが……」
 ある日、Eighter本部に右目に眼帯をつけた、軍服に身を包んだ女性がやってくる。
 開口一番『軍事組織』なんて言葉に與鷹(よたか)は違いますよと力強く否定をするのであった。
一同(……そういえば、口先だけで解決した依頼事項ってなかったような気も……)
 軍事組織って言われても文句は言えないのか……若干冷や汗が出てくるメンバーであった。
*「ふむ、違うのか、これは失敬……」
與鷹(よたか)「ええと、依頼ですかね?」
*「うむ、私はドイツ陸軍情報武官、黒兎部隊隊長のラウ・ラ・ボディーヒ」
雨水(おぼろ)「ええと、立ち話もなんですし、座ったらどうでしょうか?」
ラウ・ラ・ボディーヒ「軍人に気遣いは無用!」
(おぼろ)「いや、こっちが落ち着かないので座ってほしいです……」
 腕を後ろでに組み、休めのポーズで語られてもカタッ苦しくて言葉が耳に入ってこない……
ラウ「そ、そうか……」
 と、言うわけで、ラウは(おぼろ)に案内されるがまま、応接間へと移動する。
與鷹(よたか)「ええと……」
ラウ「うむ、実はお前たちに折り入って頼みたいことがあるのだ」
 まぁ、依頼があるからここに来たんでしょうけど……ってぼそっと呟く(おぼろ)を小突きちょっと静かにしろってやる
與鷹(よたか)。
ラウ「話は、大戦時まで遡るのだが……」
 そして語りだすラウ
 大戦の際、ドイツではオーパーツを解析し軍事利用しようという派閥があったのだという。
 もっともその存在は秘匿され、真偽のほどは定かではなかった上に、歴史上、ドイツがオーパーツを戦争に利用
したという記録も残っていない……
與鷹(よたか)「だから、デマだと思っていたが、違ったと……?」
ラウ「ああ、そうだ」
 オーパーツを解析して軍事利用するという研究は戦争が終わっても静かに闇の中で蠢き続けていたらしい。
ラウ「そして最近、研究に一応の成果が出たという情報を、我ら黒兎部隊が掴んだのだ!」
 ドンっと机に拳を叩き付けるラウ。
 その結果お茶が零れてちょっとした参事になって思わず赤っ恥をかくラウであった。
ラウ「奴らの名はオルタナチス!そして、その野望を秘密裏に闇へ葬り去る為に是非力を貸してほしいんだ」
(おぼろ)「秘密裏に葬り去るって穏やかじゃないわね……」
 まぁまぁ葬るってのは言葉の綾でしょう……と與鷹(よたか)が代弁してみると、あ、ああ、ソ、ソウダヨと目を逸らして
告げるラウ。
 本気なのか?と冷や汗が止まらない與鷹(よたか)らであった。
 ……で、依頼受けますか?、受けませんか?


続

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