Eighter -Midnight Howling-
26ther 〜夢穢されて非行有 D〜



#7
 非行少年をそそのか場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツ……そして、ひょんなことから彼を斃して安眠を取り戻すことを誓ったけい……今、
ここに譲れない想いをかけた試合が始まった?
虹丘恒河「あああああッ!」
 怒りの形相でけいに殴りかかる恒河
天然蛍あましか・けい「はぁ、まだやるの?……もう帰って寝たいんだけど……」
泥諏でぃすクォヴァ「寝たいんならそこで永遠に眠っていなよ!」
 ドンッ
クォヴァ「何?」
 だが、恒河の拳はけいに届くことがなかった……けいを覆う炎の壁が拳を阻む
クォヴァ(なるほど、アレが奴の本当の力ってことらしい……)
けい「じゃあね」
 シュドッ
恒河「あがっ?」
 そのまま手刀で恒河の意識を断つけい
クォヴァ「……適合者とは言え、所詮は人間パーツってことらしいね……」
 斃された恒河を一瞥し、嘲る感じで呟くクォヴァ
かみ総介「そして、次は貴様がああなる番だぞ?」
クォヴァ「面白い冗談らしいね……」
 すすっとクォヴァの前に立つ可能性の魔獣の緋カーディナル・ビースト
クォヴァ「だが、貴様らに可能性はないらしい!」
けい「不可能を可能にするなんてのはよく聞く言葉だけど……」
一同「何だ?」
けい「良く考えたら可能を不可能にする方が凄いよね?」
 こんなときに何を言ってるんだ?と一同ポカン
総介「フッ……悪魔の証明の亜種って奴だな……」
 いや、二人で通じ合われても何も分からないんだけど……と與鷹よたかは思うのであった。
 なお、悪魔の証明とは存在しないものを存在しないと証明することである。それを論破するのは容易い……存在
するという事例を一つでも見つけれ上げればいいのだ……
 可能を不可能にするのはそれと同じことだということだね。
※どうでもいいけど……
クォヴァ「何だっていい……貴様らは今、ここで死ぬらしい!」
 バッ
 クォヴァが言い終わるや否や、一足飛びにかかる可能性の魔獣の緋カーディナル・ビースト
けい「無駄だよ」
 ガンッ
 可能性の魔獣の緋カーディナル・ビーストの拳は、やはり、けいを覆う炎の壁を貫通出来ない
クォヴァ「無駄なのはそっちらしい、馬鹿!」
 ビキッ
梓與鷹よたか「何?」
 次の瞬間、炎の壁にヒビが……そして、そのまま拳がけいを貫く……
 かに思えたが、後退って拳を回避するけい
けい「ふ〜、危ない、危ない……危うく一撃もらうところだったね……」
 ぶしゅ〜と頬から血を流すけい
與鷹よたか「いやいや、明らかに一撃もらってるだろ!」
けい「え?あぁ、これ血じゃなくて、炎がご〜って燃え盛ってる感じ?」
一同「絶対に違うッ!」
 ってか、何故疑問形?
けい「……さて、寝言はここまでにして……っと」
 ぐっと拳を握るけい……とどうだろう、炎が噴き出て刃と成す
けい「其の右に纏いしは紅き炎爪……燃ゆる紅蓮のかいな……夢炎の刃、真・炎双刃……よし、行くか!」
クォヴァ「ハッ!貴様が行くのはあの世らしいっ」
 ズドンッ
 そして、襲い来るのは可能性の魔獣の緋カーディナル・ビースト

#8
けい「君と遊んでいる場合じゃないんだけどなぁ……」
 けいの狙いは全ての元凶たるクォヴァ……だが、しかし、クォヴァの前に可能性の魔獣の緋カーディナル・ビーストが立ちはだかっている
 まずはコイツをどうにかしないことには刃はクォヴァには届かないということだ
けい「面倒くさいから手っ取り早くいくね……火龍双刃かりゅうそうじんッ」
 ゴアッ
 叫ぶと同時にけいを取り巻く炎が赤く燃え盛る
クォヴァ「今更本気を出したところで遅いわッ」
 無言で背後から忍び寄ると言うか、強襲を駆ける可能性の魔獣の緋カーディナル・ビースト
けい「え?何が?」
 ドガンッ
クォヴァ「何ぃ?」
 だが、しかし、炎が可能性の魔獣の緋カーディナル・ビーストにまとわりつき、動きを封じる
クォヴァ「さっきとは違う……ということらしい……」
けい「うん、そうだよ」
 そのまま悠々とクォヴァの方へ歩み寄るけい
クォヴァ「貴様は人間パーツ風情にしては少しは出来ると言ったところか……だが、それが貴様の限界にして、敗因らし
い」
 ニヤリと笑みを浮かべるクォヴァ
與鷹よたか(何だ?あの余裕は?)
 そして、與鷹よたかははっとする
與鷹よたか「マズイ!逃げろ!」
 確かにけいは力を解放することで可能性の魔獣の緋カーディナル・ビーストを止めて見せた……
 だが、しかし、同じように可能性の魔獣の緋カーディナル・ビーストらもまだ力を解放していないとしたら?
けい「ん?何?」
 思わず與鷹よたかの方を振り向くけい
クォヴァ「闘いの最中に背中を向けるとは笑止千万ッ」
 残忍な笑みを浮かべたクォヴァがけいの無防備な背中を貫く
 與鷹よたかは、しまった!余計なことを言うんじゃなかった……と、後悔するが、その直後、クォヴァの背後から声が
する
けい「笑止千一番、けい行きます!」
クォヴァ「なぁッ」
 これには驚愕振り向くと後ろにけい、もう一度前を見ると、貫いたはずのけいはどこにもいなかった
 ってか、笑止千万の『せんばん』って『No.1000』って意味じゃねぇよ!
クォヴァ「クソがっ」
 ガキイインンッ
 すぐさま可能性の魔獣の緋カーディナル・ビーストを呼びよせるや否や、それを盾にけいの振るう兇刃を防ぐクォヴァ
クォヴァ「貴様、今何をした?」
けい「え?何って?」
クォヴァ「巫山戯ふざけるな!貴様はさっき、僕に貫かれて死亡した……」
けい「え〜、夢でも見たんじゃないの?」
クォヴァ「虚仮コケにしやがってぇえええええッ!」
 馬鹿にしたかの様な態度でそう呟くけいを見れば誰だってそう思います

#9
クォヴァ「いいだろう……貴様のような人間パーツ如きにコレを使うのはやりすぎだろうと思って使わないことにしてい
たが、気が変わった!貴様は……貴様はッ可能性の魔獣の緋カーディナル・ビーストの真の力の前に死ね」
 カッ
 そういって、クォヴァは可能性の魔獣の緋カーディナル・ビーストの体に拳を突っ込む
 と、同時に光に包まれる可能性の魔獣の緋カーディナル・ビースト
 一体、何が起こると言うのか?


END

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