Eighter -Midnight Howling-
24ther 〜とある封廟の禁深 D〜
#7
銀鯱(の背後には場違いな黒き遺物(が隠れている……
場違いな黒き遺物(の暗躍を阻止するためにもEighterは急ぐ。銀鯱(のことは後詰としてやってきたシーゼロに任
せればよいのだ。
梓與鷹(「お、あそこにいるのはかんなか!」
與鷹(らも漸くかんなのいる場所へと追いつく。
白拍子かんな「あ、リーダー」
みんなが駆けつけてきてくれてちょっとほっとするかんなであった。
※なお、シーゼロにはちょっと上で待機してもらっています。流石に場違いな黒き遺物(との激闘に巻き込むわけに
もいかないので……
*「漸くお揃いなのだ……《キツネザルの使徒》……」
そして、かんなの目の前には一見すると無力な子供にしか見えない奴がいた。
元人交喙(「おいおい、あんなのが場違いな黒き遺物(だってのかよ……」
もっと凶悪で残忍、獰猛な何かを想像していた交喙(は拍子抜け
上(総介「見た目に騙されると痛い目にあうぞ?」
まぁ、そんなことはおいといて、一行の前に立ちはだかる子供……それは森メメントでも歯付サヤでも羅叉タブ
ラでもなかった……
新たなる人の姿を持つ場違いな黒き遺物(、上位存在……その五人目……
*「折角ここまで来たのだ……自己紹介でもしてあげるのだ……僕は憂粋(タブレ……別に覚えなくてもいいよ……
君たちはここで死ぬ運命にあるのだから……ね……」
山咲(桜「憂粋(……タブレ……」
交喙(「何か無茶苦茶な名前だなぁ、おい……」
総介「フン……奴らは無駄にラテン語に凝ってるんだよ」
総介の言い様にムっとするタブレ。
桜「……ウィータ・ブレウィス……生涯は短しって意味です」
憂粋(タブレ「そう、君たちの運命はここで終わる……短い生涯だったね……」
かんな「そんなことにはなりませんよ?」
タブレ「それはコレを壊してから言うのだ……」
パチンとタブレが指を鳴らすと上から一人のまるでクマのような大柄な漢が飛び降りてくる。
交喙(「こ、壊してって……」
人を道具(として使いつぶすからこその物言いである。
*「フッ……貴様ら……銀鯱(に殴り込みに来るなどと……生きて帰れると思うなよ」
交喙(「ってか、誰だよ、てめぇ!」
*「俺か?俺は戦施錠麿児(、銀鯱(の盟主よ」
與鷹(「何だと、こいつが?!」
更に一行は既に悟っていた……この漢もまた、龍脈エネルギーにどっぷりと浸っている上に、場違いな黒き遺物(
に操られている……と
#8
総介「そこをどけ、貴様に構っている暇はねぇ!」
戦施錠麿児(「ダメだな……どうしてもというのならば、力で押し通れ!」
狂気の笑顔で両手の拳をガキンと鳴らす麿児(
與鷹(「チッ、結局ぶっ斃さないとダメなのかよ」
グっと拳を握りしめ、與鷹(が呟く
かんな「いえ、ここは私が……」
與鷹(「かんな?」
しかし、みんなの一歩前に出るかんな
かんな「すぐ、終わらせます」
麿児(「ハッ、ほざけ!」
タブレ「ふふっ……それにはさっきの四天王より強めに龍脈エネルギーに浸してあるんだ……一筋縄ではいかない
よ……」
交喙(「人を漬物かなんかみたいに……」
怒りに満ちた目でタブレを睨む交喙(だが、そんなものに怯む様なタブレではない。
かんな「……」
かんなは麿児(を憐れむ様な、悲しげな表情で神滅超越者(を手に更に前に一歩出る。
麿児(「龍脈ワイヤーフィスト」
一同「んなぁッ!?」
驚愕に次ぐ驚愕。麿児(の腕が伸びた。比喩でも何でもなく、文字通り、さながらダル〇ムの如く伸びたのだ……
それは、龍脈エネルギーにどっぷりとつかり、場違いな黒き遺物(に操られ、人間をやめたからこそできる芸当で
あった。
だが、しかし、そんな渾身の一撃もかんなは茜瑙哭(覚醒を果たし、神滅超越者(の刃の腹で受け止める。
麿児(「ぬぅ……」
クマのような大柄の漢が繰り出す一撃を、華奢な女の子が受け止める……そんなことはありえないはずだった。
だが、かんなはそれをやってのけた。
それほどまでに両者の間には力の差があった……
タブレ(そんな馬鹿なッ!)
今度はタブレが驚愕する番だった。顔色は変えていないが、内心冷や汗ものである。
こちらは龍脈エネルギーを駆使してドーピングしているのに、その一撃を神の力を借りているとは言え、受け止
めるなんてありえない!
総介「そこまでにしておけよ……お前の方が龍脈エネルギーを消費してどうするんだ」
タブレ「な、何だってぇ?」
そう、かんなが麿児(の拳を受け止められたカラクリはそれだった。
麿児(に龍脈エネルギーを駆使したところで無駄だということをわからせるためにちょっとだけ……ちょっとだけ
かんなは龍脈エネルギーを使ったのだ。
かんな「もう、そこで寝ていなさい……」
ガドッ
麿児(「ぐ……」
まるで流れるようにすすすっと間合いを詰め、麿児(の鳩尾に神滅超越者(を叩き付ける。
勝負は一瞬……たったその一撃で決まってしまった……
#9
タブレ「《キツネザルの使徒》……貴様、一体どうやって……」
かんな「そんなもの、勘です」
これが、運の女神の真骨頂……
まぁ、実際には茜瑙哭(の力を駆使して奥にあるドラゴンクロニクルからちょっとばかし龍脈エネルギーを貰った
んだけども……
タブレ「このバケモノが!」
かんな「次はあなたの番ですよ、タブレ……」
毒づくタブレに対し、ビっと神滅超越者(の鋩(を突きつけ、啖呵を切るかんな。
タブレ「……いいさ、僕の誇りにかけて貴様を殺すのだ!」
かくて、かんなとタブレの死合は始まる……
END
前の話へ 戻る 次の話へ