Eighter -Midnight Howling-
23rder 〜とある封廟の禁蒼 D〜
#7
猛火の黄鮫は選択を誤った。和解したとはいえ、完全に総介を許したわけではない交喙(に対して、総介より弱い
とのたまってしまったのだ。
ここから先は、語るも悲惨……
猛火の黄鮫「フッ、ではそろそろトドメだ……」
元人交喙(「アァアアアアアアアアッ」
海軍戦略研究所を震撼させるほどのすさまじい雄たけび。思わず猛火の黄鮫も身が竦む。
猛火の黄鮫「なっ、なんだ?」
交喙(「ぶっ殺す!貴様は必ず俺がぶっ殺す!」
猛火の黄鮫「フン……弱い犬ほどよく吠え……」
ドガンッ
猛火の黄鮫「ごはあっ?!」
しかし、次の瞬間、猛火の黄鮫は叩き飛ばされ壁に激突する
猛火の黄鮫「な、なな、何……!?」
交喙(の動きが全く見えなかった。ブチ切れた交喙(……そのスピード、パワーはまるで猛獣、いや人外のバケモノ
それは、『かつては人だった、だが、今はバケモノだ(』そのものだった。
交喙(「うおおおッ!九留紅霄(」
ドガガガガガガガガガッ
猛火の黄鮫「ぐがああっ?!」
猛火の黄鮫が立ち直るまで待つような交喙(ではない。一足飛びにかかり、刹那の瞬間に九回の打撃を叩き込む。
交喙(「はぁああッ!衝錐紅嘴(!」
ズギャアアッ
更に追撃、突進と同時に金匙玉楊(を突き出し空間事猛火の黄鮫の脇腹を刳り散る。
暴虐の限りを尽くす……というのはまさにこのことだった。
猛火の黄鮫「かはっ?!」
体の一部を刳り取られ、猛火の黄鮫はその場に倒れこむ。
交喙(「ハァッハァッ……ハァ……」
流石に我を失いすぎてやり過ぎた……と金匙玉楊(を杖替わりに肩で息をする交喙(。
猛火の黄鮫「ふ……ふふふ……ふはははは……」
交喙(「なん……だと!?」
しかし、通常ならばここで勝負はついていたはずだった。よくても集中治療室送り、悪くて棺桶送りの一撃を喰
らった猛火の黄鮫が立ち上がり、狂気の笑みを放つ。
猛火の黄鮫「俺をここまで追い詰めるとは……貴様の力を見縊りすぎていたようだな……」
ダラダラと風通しの良くなった脇腹からとめどなく血が流れだすにも関わらず、気にすることなく猛火の黄鮫が
言う。
交喙((精神が肉体を凌駕しているとでも!?)
いや、もはやそんなレベルではない。
だとすれば、これが、龍脈エネルギーにつかりすぎたものの末路だとでもいうのか……
猛火の黄鮫「どうやら、本気で相手をしないといけないようだな……」
左手でもカトラスを抜き、二刀流の構え。
#8
猛火の黄鮫「龍脈スラッシュ、アンド、龍脈ハーケンクロイツ」
左手のカトラスを振るい剣閃を飛ばし、右手のカトラスで卍文字の斬撃を放つ。
交喙(「クソッタレッ!」
今は考えるよりも動く時。交喙(は迫る剣閃を回避しつつ前へ進む。と、同時に猛火の黄鮫も突っ走る
猛火の黄鮫「ハッ!龍脈ホローポイント」
交喙(「九留紅霄(」
ズギャギャギャギャギャギャギャギャギャッ
繰り出される連続刺突、激突する金匙玉楊(とカトラス。半死人の癖にその猛攻は交喙(に勝るとも劣らない威力を
秘めていた。
猛火の黄鮫「どうした?貴様の力はその程度か?……やはり、貴様の底が知れたな」
交喙(「五月蠅ぇ、少しは黙れよ!」
薄気味が悪い猛火の黄鮫を力任せに弾き飛ばす。
猛火の黄鮫「ふはははっ」
飛ばされつつもすぐさま体制を立て直し、交喙(めがけて突進
猛火の黄鮫「龍脈アーマーピアシング」
交喙(「ええい、衝錐紅嘴(!」
ガドゴッ
先ほどは刺突の連打だったが、今回は単発の刺突。再びカトラスと金匙玉楊(が激突する。
猛火の黄鮫「もう一発だぁ!」
交喙(「うおおおっ」
猛火の黄鮫が金匙玉楊(にぶつけていたのは右手のカトラス。そして、左手にももう一本カトラスを持っている。
その二本目のカトラスでも交喙(を狙って刺突を放つ猛火の黄鮫。
左脚を駆使して半身ずらしてなんとか回避する交喙(。
だが、そうすると当然右手の均衡が崩れる。そして、その隙を逃すような猛火の黄鮫ではない。
交喙(「ンなろぉッ」
素早く右手を引くと同時に右手のカトラスをずらしてすぐさま打撃を叩き込む交喙(。
猛火の黄鮫「ぐぬはっ?」
直撃を受けた猛火の黄鮫は再び派手に吹き飛び壁に激突するのであった。
交喙(「くそっ、まるでゾンビを相手にしているみたいだぜ……」
毒づく交喙(。
その間にも猛火の黄鮫はゆらりと立ち上がりゆっくりと距離を詰めてくる。
猛火の黄鮫「そろそろ幕引きにしようではないか」
交喙(「……」
それは同感だ……
最早是非もなし、次の一撃に全てを賭け、この死合を終わらせる。交喙(も覚悟を決め金匙玉楊(を構えなおす。
猛火の黄鮫「ハッ龍脈ハーケンクロイツアンサー」
両手のカトラスで十字に斬撃を放つと、なぜか卍の剣閃が交喙(に飛んでいく。その威力、龍脈ハーケンクロイツ
の五倍か十倍か……
交喙(「幻紅十字(ッ」
交喙(も斜め上から袈裟懸けに金匙玉楊(を打ち下ろすと、なぜかX字の打撃が叩き付けられた。
奇しくもお互いになぜか行動とは直結しない軌跡を描いた攻撃がぶつかり合った。
#9
交喙(「ぐ、く……」
そして、先に片膝をついたのは交喙(だった。
ならば、この死合、交喙(の負けか……いや、違う。対する猛火の黄鮫は立ったまま気絶していた。
故に、この死合、交喙(の勝利である。
※ってか既に猛火の黄鮫は事切れているんじゃないかって?……そ、それはノーコメントです。一歩でも動けば、
ボンだ!ってな状態かもしれないけれど、生きてます……きっと……多分……
この死合、辛勝という言葉が相応しい結果だった。
交喙((だが、グズグズしてもいられねぇな……他のみんなは大丈夫なのか?)
疲労が蓄積している肉体に鞭を打ち、他のメンバーの無事を確かめに先を進む交喙(であった。
*「……ちょっと情報を提供してあげたのに、これか……」
そして、一部始終を見ているのは勿論、人の姿を持つ場違いな黒き遺物(である。
*「まぁ、いいさ……」
使えない人間(は廃棄する。それが場違いな黒き遺物(。
その野望を阻止するために、急げ!Eighter!
END
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