Eighter -Midnight Howling-
21ster 〜暴かれしは新技術 B〜



#3
 銀鯱(ぎんしゃち)の野望を砕くため、そして、八丈島を災厄から守るために敵のドラゴンクロニクルを破壊しそのデータを
奪還する。
(かみ)総介「チッ、さっきよりのこの地の龍脈エネルギーの減りが速い」
梓與鷹(よたか)「何だって?」
 CPMGでスキャンした結果を見て総介が忌々し気に呟く
元人交喙(いすか)「何だよ、その龍脈エネルギーってのは」
総介「貴様に説明している暇はない!」
交喙(いすか)「ああ?何だと?」
與鷹(よたか)「待て待て、二人とも……」
 確かに今は一秒でも時間が惜しいのは分かるが、何もそこまで頭ごなしにする必要もないだろう……と與鷹(よたか)山咲(やまざき)桜「はい、これでも見て理解しておいてください」
交喙(いすか)「お、おう……」
 と、そんな折、桜がカバンの中からレポートを一冊取り出し、交喙(いすか)に渡す。
百鬼あろえ(ってか、いつの間にあんなのを用意していたのかしら……)
 相変わらず謎の多い女……

 まあ、そんなことはおいといて、一行は更に階段を下りて地下3Fへ……
*「招かれざる客……というのは正しくこういうのを言うのだな……」
 と、そこには一人の漢がいた。当然セーラー服である。
與鷹(よたか)「お前は……誰だ?」
*「貴様らに名乗る必要はない」
交喙(いすか)「ああぁ?何ぃ?」
*「だが、誰に殺されたのかもわからないのでは不憫だろうから教えておいてやろう……俺は炎魔裕……人は俺の
事を海原の虎と呼ぶ!」
総介「やれやれ、大きく出たもんだな……」
交喙(いすか)「海原の虎って結局鯱ってことじゃねぇか……」
 ブフっと吹き出してしまう交喙(いすか)に裕がブチ切れる
炎魔裕「貴様ぁ、殺す!」
 言うや否や一瞬で交喙(いすか)へ間合いを詰める
交喙(いすか)「いっ!?」
與鷹(よたか)「なっ、速ッ」
 寧ろ、速すぎるくらいで、驚きを隠せない與鷹(よたか)であった。
交喙(いすか)「くっ」
 ガキインッ
 迫る拳を金匙玉楊(きんしぎょくよう)で受けるも、そのまま吹っ飛ばされ、壁に激突する交喙(いすか)
交喙(いすか)「ぐっ、こいつは……」
裕「ほぉう、俺の名を馬鹿にして、俺の一撃を受けて生きているというのは貴様が初めてだな……」
 いいぜ、それでこそ殺し甲斐がある!と下卑た笑いを浮かべる裕。
裕「喜べ、貴様には我が奥義、龍脈拳で死ぬ栄誉を与えてやろう」
交喙(いすか)「要らねぇよ、ンなモン」
裕「死ねッ」
 カカッ
 次の瞬間、裕の右腕が眩い光に包まれる
交喙(いすか)「ええぃ、九留紅霄(くどこうしょう)」
 ドドドドドドドドドッ
 ばぐしゃあっ
 迫る裕の右腕に刹那の瞬間に九度の打撃を叩き込む交喙(いすか)、すると、裕の右腕が炸裂、肘から先が消し飛んでしま
う
交喙(いすか)「え、え〜〜!?」
 あまりの展開に開いた口が塞がらない

#4
 いや、それは流石にやりすぎじゃないんですか……と與鷹(よたか)が眼で訴える。
裕「あ、ぐぅはああっ……腕がぁ……腕がぁ……ッ」
 その間にも裕は肘を抑えて無様に廊下を転がり苦しむ
交喙(いすか)「ま、待ってくれよ、流石に俺だって相手の肉体の一部を吹っ飛ばすような真似はしねぇって!」
桜「……先ほどの光、見ましたか?」
與鷹(よたか)「え?あ、ああ……」
 確かにさっき、裕が攻撃を繰り出そうとした際、その腕は光に包まれた。
総介「まだ実験段階、実用段階には至っていないってことだな」
 桜が何を言いたかったのか……それを一早く察知した総介が呟く。
與鷹(よたか)「どういう……ま、まさか!」
 そこで與鷹(よたか)もハっと気付かされる。
 今まで疲労回復しか目にしていないが(最も、それも実際に見たわけではないのだが……)龍脈エネルギーの利
用は疲労回復だけではないのだろう。
 つまり、龍脈エネルギーの軍事利用とはそういうことである。
※というか『龍脈拳』って安直なネーミングじゃないか……パパっと分かっちゃいそうなものなんだけど……とか
 言ってはいけない。
裕「ぐ、ぐぐぐ……や、やるじゃねぇか……」
 いや、やったのは自分というか、強すぎる力のせいで身を滅ぼしただけなんじゃあ……と思っている中、裕はの
そりと起き上がる。
裕「はぁ、はぁ……初めて使ってみた龍脈拳がまさかこんな結果に終わるとは……だが、まだだ!」
 いやいや、無理しない方がいいんじゃないか……と思っていると、裕は更に憤怒の形相で雄たけびを上げる
裕「うおおおお!」
 すると、なんということか、消し飛んだ肘から先が光の腕として再生していた。
 それは、巨大ロボットを人造人間と言い張る作品にて、暴走した感じの紫色のマシンに似ていた。
裕「受けてみろ!これが、龍脈拳だッ」
交喙(いすか)「今日初めて使う技をいかにも今まで何人も葬り去ってきた俺の得意技みたいに言うんじゃねぇよ!」
 最もな突っ込みである。
 そして、相手が使いこなせもしない技を使ってくるならばこちらは技で応戦するまでもない。
 交喙(いすか)は迫る裕をひょいっと闘牛に立ち向かうマタドールのように躱し、すれ違いざまに金匙玉楊(きんしぎょくよう)を首に叩き込み
意識を刈り取る。
裕「がっ?!」
交喙(いすか)「ふぅ……」
 とりあえず裕の肘を縛り簡単な止血処理を行った後、身動きが取れないようにぐるぐる巻きにしてどうにか一息
つく交喙(いすか)。

#5
交喙(いすか)「ってか、この先もこんな馬鹿みたいな連中とやりあわないといけないってことか?」
総介「……」
 ズゴゴゴゴゴゴゴッ
與鷹(よたか)「うおおおっ、な、何だ?」
 そのとき、突如地震が研究所を襲う。
 ビシッバキバキバキッ
 床やら壁に亀裂が走る。
交喙(いすか)「ど、どういうことだよ、これは……」
総介「チッ、バカな連中が……」
 揺れる中、CPMGの画面を睨み付ける総介
桜「この地の龍脈エネルギーが50%を切った……そういう事です」
一同「んなぁ……」
 50%でこれじゃあ100%だとどうなるのか、想像するだけでも恐ろしい。
 そして、そんなことを考えていると床の亀裂が広がり……そして……
與鷹(よたか)「やべぇッ」
 崩れる床と共に一行は更に地下へと落とされていくのであった……果たして、君は生き延びることができるか?
※をいをい……


END

前の話へ 戻る 次の話へ