Eighter -Midnight Howling-
20ther 〜盗まれしは腕時計 C〜
#5
盗まれたものは龍脈から無制限にエネルギーを吸い取るシステム、ドラゴンクロニクル
エネルギーが枯渇した龍脈を持つ大地には災厄が訪れるという。それを避けるためにも何としてでもシステムを
奪還しなくてはならない。
上総介「時に、お前たちの研究成果を奪っていった組織とやらだが……」
中谷頼史郎、中谷穂乃佳「そ、それは……」
言いよどむ二人
山咲(桜「銀鯱(……ですね?」
頼史郎、穂乃佳「なっ、なぜそれを?!」
二人してお互いの両手をぎゅっと握りしめながら驚きのあまりジャンプ。
桜「隠し事をされても信用されないってことですが」
いや、そんなの理由にならないんだけど、と二人。
一方でなんだかおいしそうな名前ねぇ……とかぼんやりと考えるあろえであった。そんな銀シャリじゃないんだ
から……
梓與鷹(「総、銀鯱(ってのは……」
白拍子かんな「自衛隊海軍の過激派ですね」
與鷹(の質問に対してはすかさずかんなが答える。そして総介がこう続ける。
つまり、海軍だから犯人はセーラー服を着ていたわけである。
総介「ああ、そうだ、自衛隊海軍の過激派、通称銀鯱(。あまりに過激な行動派故に国防省も頭を抱えている組織と
して有名だな……」
そんなのが相手なんて……と思う與鷹(ではあったが、一度引き受けたからにはやり遂げなければならない。
ともかく、任せましたと言って二人は手をつないで帰っていく。
……近い将来夫婦になるんじゃないか……なんて思う一行であった。
與鷹(「さて、総……」
総介「あ?なんだ?」
お前が出張ってくるってことは、この件、やはりオーパーツが絡んでいるのか?と與鷹(は問う。
総介「残念だが、ハズレ……か?」
與鷹(「いや、なんで疑問形なんだよ!」
と、與鷹(がそんなことを思っていると
桜「警部、通信です」
総介「……チッ」
ちょっと借りるぞ……と総介は空間スクリーンを勝手に拝借。
通信をつなぐとそこにはシルエットしか分からないが、何かえらく威圧的な男性が映し出される
*「貴様に依頼を出そう」
総介「……銀鯱(を壊滅させろ……ということでしょう?」
*「ああ、そうだ、あれは獅子身中の虫、これを機に叩き潰せ!」
それだけ告げると通信は一方的に切れる。
與鷹(「お、おい、総、今のは……」
総介「……国防省のお偉い方って奴だ」
薄々そんな感じの人物なんだろうなぁと予想はしていた。
與鷹((それにしても、総の態度にはちょっと驚いたな……)
いつも誰彼構わず高圧的に、いっちゃ悪いが上から目線でモノを言う総介が、先ほどの通信では逆だった。
それは相手が総介よりも高圧的な存在ということなのだろうか……
#6
いや、こちらが高圧的だと後々メンドウなのであえて従っているフリをしているとか……
総介ならばありえそうだ。
と、言うか、そんなことはまぁ、どうでもいいんだが、肝心なのは……と、そんな折、かんなが口を開く。
かんな「既に調査は終わっていますよ」
総介「そうか……」
そう、総介が国防省のトップと会談をしている間に、かんなは銀鯱(の情報を探していたのだった。その辺にぬか
りはない。
かんな「八丈島に基地を兼ねた研究所があるようですね……」
レムリアから得た情報によると、近くには龍脈が存在する。これ以上にうってつけの場所はあるまい。
與鷹(「おっしゃ、行くぜ!」
と、言うわけで一行は東京都、八丈島へと足を運ぶのであった。
こんな依頼でなければ観光だったというのに……まぁ、そんなことを言ってもしょうがないが……
八丈島、海軍戦略研究所
與鷹(「こいつは……」
うおおおん、うおおおんと何やら不気味な風音が渦巻く場所に聳(えたつ研究所は不吉の象徴のようであった。
その音はまるで龍脈からエネルギーを奪われたことによる嘆き声の様だった。
総介「チッ、やはり既にシステムを作って実験しているようだな……」
CPMGで周辺をスキャンした結果を見ながら総介が呟く。
龍脈エネルギーが低下していることがCPMG上にグラフィカルに表示されていた。
いや、低下しているだけならば、そんなこともたまにはあるのではないかと思われるが、問題なのは今もなお少
しずつ減っている所だ。
與鷹(「それ、急がないとヤバいんじゃ?」
*「なんだ?貴様らは……ここは自衛隊海軍の基地でもある研究所、一般人の立ち入りは禁止だが」
と、そんなことをやっていると研究所の中からセーラー服を着た一人の軍人がやってくる。
総介「フッ、俺たちは国防省からの依頼でやってきた査察官だ」
與鷹((おい、総ッ)
確かに国防省からも依頼を受けた身ではあるが……
呼吸をするかのように嘘を吐く総介にビックリする與鷹(であった。(同時にちょっとだけ心配も……)
*「国防省からの……査察だと?」
桜「はい。これがその調査依頼書です」
與鷹((ええ〜?!)
更に桜も乗る。
ってか、いつの間にそんな書類作ってたんだ……とまたしても驚きを隠せない與鷹(であった。
そして、そんな桜はというと、総介の秘書たるもの、これくらいできなくてどうします?と言わんばかりの表情
であった。
*「……」
そして、そんなでっちあげの書類を見て固まる漢。果たして……
続
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