Eighter -Midnight Howling-
19ther 〜啓蒙する常世の神 C〜
#5
首裏城で封印し続けてきた災厄は万物に死をまき散らす死神、ジャン・ジャック・グソー
それを撃滅せんとかんなが死合うのだが……そのさなか、空虚な彼……自らを《シルエット》と名乗った漢が現
れる
ジャン・ジャック・グソー「貴様」
*「死は万物に平等に訪れる……そして、それは貴方にも訪れた……ある日、唐突に、何の前触れもなく」
JJグソー「それ以上ほざくな!」
*「貴方は死に呑みこまれ……」
JJグソー「消えされ!クソがぁ!」
ドンッ
不可避の《死》……それを《シルエット》目掛けて浴びせるJJグソー
*「ああ、無駄だよ……」
JJグソー「な……何だと?馬鹿な……」
触れるもの全てを死へと導く究極にして絶対の攻撃を受けても何も起こらない《シルエット》
*「貴方の力はこの世に存在するものしか殺せない……」
上総介「ほぉう……それは、貴様がこの世には存在しないと言っているようなものだが……」
*「……想像にお任せするよ」
喋りすぎたか……これは失言だと《シルエット》
梓與鷹((どういうことだ?奴が存在しないモノ……?)
だが、それならばかんなが空虚と言わしめたのも頷ける
この世界に存在しないのならば、その存在は希薄にして空虚……
與鷹((だが……)
もし、存在しないと言うのならば、なぜ奴は存在しているのか?
白拍子かんな「何をしにここへ?」
*「……《死》を恐れ、《死》に取り込まれたそれ……JJグソーと言うのか……を滅しに……」
交喙「何だ?助けに来てくれた……ってわけでもなさそうだな」
一瞬楽観視するも、與鷹(、総介の緊迫した空気に考えを改める交喙
ライタ「お前たち、何を?」
トモナミ「誰と……会話を?」
與鷹(「え?」
トモナミとライタの発言にぽかんとする與鷹(ら
*「……あの二人には私は見えないよ……何せ」
総介「存在しないから……か……」
與鷹(「総?」
*「そう、私は存在しないもの……だから、常人には見えないのさ」
交喙「って待てよ、じゃ、俺達が常人じゃねぇってか?」
山咲(桜「私にも見えてはいませんが……」
存在しないものがそこに存在しているのだろうと言うことは分かっていますと桜
JJグソー「貴様ら、この俺を無視して……」
*「ああ、まだいたのか……」
JJグソー「貴様ッ」
JJグソーの悍ましき殺気が全て《シルエット》へと放たれるも、暖簾に腕押し
《シルエット》が応えるそぶりはない
かんな「空虚なる者よ……あれは私が斃します」
*「そうか……私の手助けは要らないということか……」
その言葉を最後に《シルエット》はまるで最初からそこに存在しなかったが如く、すうっと消えて無くなる
與鷹((奴は……一体何なんだ?)
#6
JJグソー「貴様が、俺を斃すだと?」
《シルエット》が消えた今、JJグソーの怒りの矛先はかんなに向かっていた。いや、《シルエット》が消える前
にかんながJJグソーを斃すと宣言した時からが正しいが……
JJグソー「巫山戯(た事を!」
かんな「麟廻舞刃(」
ドッ
怒りに我を忘れて襲いかかってくるJJグソーに剣気で具現化した麒麟を解き放つかんな
JJグソー「貴様は殺す!……いや、死すら死せる死の」
JJグソーの魔手がかんなに迫る、その時、麒麟がJJグソーを弾き飛ばす
JJグソー「ぐはああっ」
與鷹(「やった!」
JJグソー「貴様ぁッ」
どうにか体勢を立て直すJJグソー
與鷹((しかし、どういうカラクリなんだ?)
かんながああ宣言した以上、JJグソーは斃せるのだろう……
事実、全てを死に帰すJJグソーの一手を上回ってかんなの斬撃が効いている……
かんな「貴方は死の化身……死そのもの……」
JJグソー「死は幸いなり、死は災いなり……万物は全て死に至る……ならばこそ、我が死は絶大のはずだ……」
総介「フッ、死が絶大……か」
JJグソー「貴様、何が怪訝(しい」
総介「生者よりは死者の方が強いと言いたいわけだな」
與鷹(「おい、総」
それはいくらなんでも理論の飛躍しすぎなのでは……と與鷹(が思うのだが、JJグソーはそうだ!とそれを肯定し
てしまう
総介「貴様の敗因は正にそれだな……」
交喙「え?どういう?」
桜「死者の軍勢……確かに、それは恐ろしいでしょうが……生きていると言うことはそれを凌駕する」
與鷹(「そうか……」
JJグソーの繰りだす死というマイナス要素に対抗すべく、かんなは生というプラス要素で挑みだした
ただ、それだけのことである。
JJグソー「認めん!生が死に打ち勝つなどと……断じて認めんぞ!」
両手を広げて一気に襲いかかるJJグソー
かんな「これで、幕引きです、龍鳳麟龜(」
ガカアアッ
剣気で具現化した応龍(、鳳凰、麒麟、霊龜(を一気に解き放つかんな
JJグソー「うおおおおおお……おぉおおあああああああッ!」
生きるという信義が死ぬことへの恐怖から平安へ、その狂われし運命を変幻させる
JJグソー「がはあッ……馬鹿な……馬鹿な馬鹿な……」
万物に死をまき散らしてきたJJグソーはその時、生きたいと渇望してしまった
そして、それはJJグソーが《死》から見放された瞬間であった
JJグソー「何故だ……死は……万物に訪れる究極の……」
かんな「貴方だって、かつては死に脅えていたはず」
JJグソー「俺……は……」
かくて、JJグソー散る……
交喙「終わったか……」
#7
ライタ「まさか……本当にJJグソーを斃してしまうとは……」
驚きを隠せないライタ、トモナミであった
総介「……さて、行くか……」
交喙「え?行くって、どこへ?」
総介「ここで殺るべきことは全て終わった……」
與鷹(「……ま、まぁ、確かに……」
だが、首裏城はずっとここに隠し続けるってんでいいのか?ってな與鷹(に
かんな「それならば、問題ありませんよ」
既に茜瑙哭(覚醒を解除したかんなが言う
総介「首裏城を歴史の墓場へ転移する……」
総介「なるほどな……」
かくて、一行は一旦首裏城を出、ルシャに頼んで首裏城を歴史の墓場へと転移してもらうことに……
そして、ノイエ・レキオの野望は静かに潰え、彼らは自然消滅することとなったのだった……
END
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