Eighter -Midnight Howling-
19ther 〜啓蒙する常世の神 B〜



#3
 茜瑙哭セドナ覚醒したかんなはライタを一蹴……自分たちではとても敵わないと悟ったトモナミ、ライタはかんなに自
分達が封印し続けてきた災厄を撃ち滅ぼすことを託す
 と、そんな折、死んだふりしてチャンスを窺っていたノイエ・レキオのツートップが遺産を横どりしようとする
が、黄泉帰った災厄の前に死す……
*「フ……フハハハハ……ハハハハ!」
 目覚めたるは災厄
元人交喙いすか「なっ……なんだよ、アレは……」
 その凄まじい殺気にたじろぐ交喙いすか
トモナミ「あれこそが、我らが永劫封じ続けてきた災厄にして、琉球の負の遺産……」
ライタ「あの世グソーの御使いにして、あの世グソーそのもの……」
 その名は……ジャン・ジャック・グソーとトモナミ、ライタが告げる
梓與鷹よたか「え?ルソーじゃなくて?」
 有名な啓蒙思想家ジャン・ジャック・ルソーと一文字違いなので思わず與鷹よたかが突っ込みを入れる
ジャン・ジャック・グソー「死せよ……そして死すべし!……死は万物の終わりにして我らが始まり……」
かみ総介「そう言うわけにもいかないものでな……」
山咲やまざき桜「ええ、貴方を斃す……それが託された想いですから」
 と、言いたいことだけ言うとかんなの後ろに下がる総介と桜であった
 都合がいいと言うか何と言うか……
白拍子かんな「てやっ!龍咬舞刃りゅうこうぶじん」
 キインッ
 グソーの口上やら総介の宣言やらを律儀に待った後、剣気で具現化した応龍おうりゅうへと変幻する光の龍をJJグソーに向
けて解き放つかんな
JJグソー「温いわ!」
 ガッ
與鷹よたか「なっ何だと?」
 迫る応龍おうりゅう……そのそっ首を掴むとそのまま握りつぶして見せるJJグソー
ライタ「……奴はあの世グソーの御使いであり、そして、あの世グソーそのもの……その言葉の意味があれだ!」
與鷹よたか「何だって?……それは……まさか……」
JJグソー「フッ」
 奴が触れた者はみな死ぬ……だからこそ、ライタがニライカナイ(レプリカ)の力をもってして挑んでも斃せな
かったのだ
JJグソー「死は万物に等しく与えられるもの……そして、我こそはそれを与える化身」
総介「なら、平等に自分自身にも与えて見れくれないかね」
JJグソー「ハッ、戯言を……貴様らの死は全て定められし出来事……我はその日の気分でそれを与えているだけに
過ぎん」
與鷹よたか「んな無茶苦茶な……」
 やはり、JJグソーは人間を下等な存在として見下している悪に過ぎないということだ
かんな「……鳳鸞舞刃ほうらんぶじん」
 ズドンッ
 剣気で具現化した平安をもたらす鳳凰を解き放つかんな……だが、見向きもせず、片手で鳳凰の首を掴み握りつぶす
JJグソー

#4
JJグソー「無駄だ!」
ライタ「駄目か……やはり、駄目なのか……」
 この俺を圧倒する力を持ってしても……JJグソーは斃せないのか……とライタ
 愕然とするライタだが、かんなはまだ諦めていない
かんな「麟廻舞刃りんねぶじん」
 ゴアッ
 剣気で具現化した麒麟を解き放つかんな
JJグソー「懲りない奴だ……」
 だったら、絶望に打ちひしがれるまで何度も、その希望を砕く!と迫る麒麟のそっ首を掴んで握りつぶそうとす
るのだが
 バシュッ
JJグソー「何……だと?」
 一矢報いる……JJグソーの左手に斬撃が決まる
JJグソー「貴様ァッ!」
 よくも、この俺に傷をつけたなと、怒りを顕わにJJグソーが襲いかかる
かんな「そこです」
 しかし、襲い来るJJグソーの攻撃を読み、カウンターとして斬撃を放つかんな
JJグソー「なめるな!」
 ガッ
 迫る神滅超越者ラグナロクエクセルの刃を左手で受け止めるJJグソー
JJグソー「死ねッ!」
かんな「私はまだ死ぬわけにはいきません」
JJグソー「……何?」
 力任せにかんなを押し返そうとするJJグソーだったが……しかし、ジリジリと押し返されるのはJJグソーの方で
あった
 こんなはずではないと、JJグソーに戸惑いが見られる
JJグソー「貴様……死を否定するか……愚かな……死は番人に平等に訪れるものだ……それを拒むなどと……」
かんな「誰しもいずれ、死を迎えるでしょう……でも、それは今ではない……と、言うことです」
JJグソー「舐めるなぁッ!」
 咆えるJJグソーに対して一旦刃を引くと同時に再び斬撃を放つかんな
 その斬撃は鋭く、JJグソーの左腕を斬り飛ばす
JJグソー「ぐああああっ」
 鬼のような形相でかんなを睨みつけつつ、斬り飛ばされた左腕を掴むとそのまま左腕に押し当てるJJグソー
 するとどうだろう斬り落とされた腕はくっついていき一度両断されたような傷だけが残る
JJグソー「貴様は、殺す!……貴様の死は今、ここだ!……死の使いにして、死の化身……この、ジャン・ジャッ
ク・グソーが命ずる、死ね」
かんな「はっ」
JJグソー「なっ何だと?そんな馬鹿なッ」
 JJグソーの宣言と同時にその場から横に飛んで何かを回避するかんな
 そして、驚愕するJJグソー
JJグソー「死が見えるなどと……貴様、人間じゃあるまいな?」
*「そう言うそちらこそ、かつては死に脅えし人間だったはずだ」
ライタ「な、誰だ?」
 突如そこに謎の声……その声はJJグソーの背後より聞こえる
與鷹よたか「なっ、奴は……」
 そして、それは、かんなが空虚と言わしめた謎の漢であった
交喙いすか「え?何だ知ってるのか?」
総介「……」
 奴がこの場に現れた目的とは一体?


続

前の話へ 戻る 次の話へ