Eighter -Midnight Howling-
18ther 〜琉球裏王家の遺産 C〜



#5
 首裏城に封印されし遺産……それを破壊するべく総介らは番人たるライタに迫るが……一蹴される
 そして、かんなが満を持して参戦……果たして?
トモナミ「次はお前が相手をするというのか?」
白拍子かんな「……」
 無言のまま神滅超越者ラグナロクエクセルを構えるかんな
かみ総介「彼女こそが俺達の切り札ってわけだ」
 本当は俺達三人で奴を圧倒して、かんなを温存させたかったのだが、そうはいかなかったがな……と自嘲気味の
総介であった
ライタ「愚かな……先ほどの死合を見ていなかったわけではあるまい」
かんな「ですが、貴方の強さの秘密は分かっていますよ」
トモナミ「何?」
かんな「あなたはこの場所だからこそ、無類の強さを発揮できる……」
元人交喙いすか「どういう?」
総介「やはりか……」
梓與鷹よたか「総……?」
 既に総介もそれに気付いていたのか?……そして、それは何なのか……と與鷹よたかも興味津津だ
山咲やまざき桜「つまり、この空間にもニライカナイ(レプリカ)が作用しているということですね」
ライタ「……」
かんな「消滅していない存在情報の復元……それを応用した疲労回復……」
與鷹よたか「何だと?……じゃ、まさか……」
 先ほど壁に派手に激突してダウンしたかに思えたライタが次の瞬間には三人の背後に音もなく、降り立ち、三人
を駆逐できたのも全てはそれが原因
ライタ「分かったならば……」
與鷹よたか「……つまり、そんなイカサマを駆使しても封印したかったモノは斃せなかったってことか?」
交喙いすか「ッ!」
 與鷹よたかの言葉に驚きを隠せない交喙いすか
ライタ「イカサマとは心外だが……そういうことだ……もう一度だけ言う、大人しく去れ……そして、二度と俺達
に近づくな……」
かんな「いえ、それはできません」
トモナミ「言っておくが、ニライカナイ(レプリカ)の作用を破壊してライタを斃したとしても何の解決にもなら
んぞ……」
 むしろ、ライタのパワーアップはあくまでオマケの作用。
 ニライカナイ(レプリカ)は封印のために使っているのだ
 つまり、ニライカナイ(レプリカ)を破壊すれば與鷹よたから三人でも勝機は見えるだろうが……この地に封印してき
た災厄も目覚めてしまうと言うことだ
かんな「ニライカナイ(レプリカ)の力も、永劫続くわけではないでしょう?」
トモナミ「……」
かんな「だからこそ、ここで全ての元凶を討つ……」
 そのために私達はここに来たのですとかんな
ライタ「……面白い……そこまで言うのであれば、この俺を……退けて見よ!」
かんな「行きます」
 ドッ
 両者宣言と同時に一足飛びにかかる

#6
かんな「龍咬舞刃りゅうこうぶじん」
 キインッ
 まずは、軽く籠手調べ……剣気により応龍おうりゅうに変幻する光の龍を打ち出し、ライタにぶつける
ライタ「ッ!」
 応龍おうりゅうに呑みこまれ、そのまま地面に激突するライタ……しかし、かんなの技の威力はそれだけにとどまらず床を
も砕きライタを地面の奥底へと叩きつける
ライタ「……こいつは……一筋縄ではいかんか……」
與鷹よたか「なっいつの間に……?」
 次の瞬間、かんなの背後にライタ……そして、かんなの技により穿たれた床は元通りに戻っていた
交喙いすか「あれが消滅していない存在情報の復元って奴かよ……」
 そのままライタは自分が眠っていた台座の元へと静かに歩み寄ると、その中より武器を手に取る
ライタ「ローティンベー……」
 それは、突撃槍に盾を組み合わせたような形状の兵器
総介「なるほど、琉球ならではの兵器ということか……」
與鷹よたか「どういう?」
桜「あれは琉球に古くから伝わる一組の兵器を組み合わせたもの……ということです」
 琉球に古くから伝わる一組の兵器……それはティンベーとローチン
 かの不殺をモットーに明治を駆け抜けた侍……の前に立ちはだかりつつも、新撰組の生き残りが横どりしてアッ
サリと斃した琉球出身の盲目の剣客が使っていた兵器がそれである
 ティンベーとは盾、ローチンがそれに対成す矛
 そして、このローティンベーはそんなティンベーとローチンを組み合わせた兵器なのだ
ライタ「俺にこれを使わせるとは……」
トモナミ「だけど、ライタがそれを使って負けたことを妾は見たことがない……」
かんな「では、これが最初になりなすね……龍咬舞刃りゅうこうぶじん」
 キインッ
ライタ「ハッ」
 応龍おうりゅうに変幻する光の龍……をローティンベーの盾の部分で防ぐと同時に弾く
ライタ「蟹彗衝かいすいしょう」
 と、同時に槍の部分を突きつけて気弾を放ち、ローティンベーのいしづきの部分で殴り、槍の部分で切り裂く
 それは、なんというか、乙女座のスフィアを持つ彼女が操る人型兵器が繰り出す攻撃のようだった
かんな「鳳鸞舞刃ほうらんぶじん」
 ゴガッ
 続いて剣気によって具現化された鳳凰をライタに解き放つかんな
ライタ「だが、無駄だッ」
 しかし、ローティンベーの盾がそれを防ぐ。
 通常ならば防御もろとも相手を焼き尽くし、平安をもたらす鳳凰であるが、ニライカナイ(レプリカ)の復元作用に
より競り負けた部分から次々と復元され、かんなが押される始末
與鷹よたか「そんな……」
ライタ「やはり、お前の力では俺は斃せん!」
 盾で受けたまま力任せに鳳凰を振りはらって見せるライタ

#7
ライタ「だが、俺にここまでさせたんだ……冥土の土産に我が最大奥義……受けて見よ!」
 両手で腰だめにローティンベーを構えると同時にローティンベーのきっさきが開いて怪しい光が放たれる
ライタ「蟹彗冽屠かいすいれっと」
 ズドオオンンッ
 一気に間合いを詰めて、槍で貫きにかかるライタ
かんな「くっ」
 神滅超越者ラグナロクエクセルしのぎにてきっさきを受けるかんな……だが、ライタの勢いは止まらず、そのまま壁に激突するかん
な
與鷹よたか「か、かんなぁッ」
 與鷹よたかの悲痛な叫びが谺する……
 まさか、かんなの力をもってしても、ライタには敵わないと言うのか……
 まぁ、かんなは茜瑙哭セドナ覚醒してないけど……

END

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