Eighter -Midnight Howling-
17ther 〜琉球王家の裏遺産 C〜



#5
 普天間基地跡地に隠されていた古代琉球王朝の遺跡……そこには一体何があるのだろうか
 それを狙うノイエ・レキオとの闘いは、既に静かに始まっている……
 とりあえず、ルシャが転送してくれた第二の通行手形を使うことで閉ざされていた第二の扉も難なく開かれる
梓與鷹よたか(なぁ、総……)
かみ総介(貴様の言いたいことは分かってる)
 ニライカナイのレプリカを使ってまでこの地に封印しているモノとは一体何なのか?
総介(大戦中、GHQがここを占拠してまで隠したかったのは、万が一それが決戦兵器として使われれば負けると分
かっていたからだろうな……)
與鷹よたか(そして、その事実を闇に葬ったと……)
 あるいは、決戦兵器として使えなかったからこそ、捨てたのかもしれない
 いずれにせよ、このように厳重に封印されているモノは決してノイエ・レキオに渡していいものではない
ルシャーティー・エィユゥミス「あ……」
 と、そんな時、ルシャが何かに気づく
※ってか、まだいたの?とかついてきたの?とか突っ込まないように
白拍子かんな「ここから先はカオサイトγで出来ています」
與鷹よたか「何ぃ?」
元人交喙いすか「カオサイトγぁ?」
 カオサイトには大きく分けて三つが存在する。それは言うならば同位体。
 そして、カオサイトγはカオサイトの同位体の中で最も含有率が低く……あらゆる情報の入出力を遮断するとい
う特性を持つ
 つまり、ここから先、ルシャとは音信不通になる……ルシャの協力を仰げないということだ。
山咲やまざき桜「秘匿するには完璧ということですね」
與鷹よたか「ここから先にはニライカナイのレプリカによる封印がないことを祈るしかないということか……」
総介「フン、あるいは、今手持ちの通行手形で通行できることを祈るしかない……」
かんな「ともかく、先に進みましょう」
與鷹よたか「ああ、そうだな……」
 ここで立ち止まっていても仕方がない……どの道、ノイエ・レキオに追い付かれれば厄介なことになるのは必定
……ならば、少しでも距離をとった方が得策である
 そう考えて、かんなら一行は更に奥へと進む
ルシャーティー「お気をつけて……」
 それを最後に空間スクリーンはぶっつりと消える

與鷹よたか「……なっ、ここは……?」
 一行が通路を進み進むと……突如として光に包まれた開けた場所へと辿りつく
 それは、祭壇……
交喙いすか「ってか、アレは……」
 交喙いすかが指差すその先……中央には台座がひとつ
 そして、その上には何故か全裸で眠る少女の姿があった
総介「……」
 颯爽とロングコートを脱ぐと少女にかぶせる総介。
 まぁ、あまりジロジロ見るのも失礼ですしね……
桜「彼女は第零代琉球王……トモナミ」
與鷹よたか「何だって、彼女が?」
 なお、彼女以外には特にめぼしいものは見当たらない
交喙いすか「どういうことだ?まさか、彼女が悪逆非道な存在だとでも?」
かんな「違います……」

#6
*「どういうことだ……何もないではないか」
與鷹よたか「チッ、もうおいでなすったか……」
 そこへ、ゾロゾロと現れたるはノイエ・レキオの面々
 その大半がマシンガンを構え與鷹よたからを狙っている
*「まずは、貴様らに礼を言おう……」
 一番最後にやってきた漢が口を開く
 彼こそは、ノイエ・レキオを率いる首魁……名を黨野寧熏とうの・ねくすと言った
黨野寧熏とうの・ねくす「ここまで案内してくれたことに……だが、貴様らの役目はもう終わりだ……妙な真似をすれば、蜂の巣
にするぞ……」
交喙いすか(やれやれ……)
與鷹よたか(総……)
総介(……)
 與鷹よたからにとってすれば、マシンガンなど恐るるに足らず
 與鷹よたか、総介、交喙いすか……三つの心を一つにすれば、その力は百万パワー
 それだけではない、かんなもまた、茜瑙哭セドナ覚醒すれば與鷹よたから三人を圧倒的に上回る力を発揮できる
 更に言うならば、山咲やまざきもまた、力を隠している
 つまり、與鷹よたから一行にとってこの状況はピンチでも何でもない……
 すっ
與鷹よたか「お、おい、総……」
 だが、しかし、総介は両手を挙げて降参のポーズ
寧熏ねくす「フッ、良い心がけだ……」
 そのまま、マシンガンの脅しに屈した形で一行は部屋の隅へ追いやられる
 そして、寧熏ねくすは総介がかぶせたロングコートを取り払うとぞんざいに投げ捨てる
*「とっ……黨野とうの代表……これは一体?」
 そこに世界を揺るがす決戦兵器でも隠されているのかと期待したが、出てきたのは全裸の少女であり、さしもの
ノイエ・レキオの連中も面喰らう
*「彼女こそは、歴史の表舞台には登場しない、琉球の王……トモナミ……」
 寧熏ねくすの後ろから現れたる漢がぽつりと呟く
*「どういうことですか?舜地しゅんち老師……」
 ここには世界の覇権を握れる決戦兵器が眠っているのではなかったのですか?と疑問を浮かべるノイエ・レキオ
の幹部に対し、老師と呼ばれた漢(老師などと呼ばれてるが、まだ二十代前半である)、舜地しゅんち真博は静かに答える
舜地しゅんち真博「それこそが鍵」
総介「人身御供ってわけだ……」
*「何ぃ?」
 未だに両手を挙げたままの総介がぽつりと呟く。
 それは、先ほど、ノイエ・レキオが雪崩れ込む前、交喙いすかの質問に対しての答えにして、かんなも続けようとした
言葉であった
真博「よく知っているな……このことは、琉球裏王家の人間しか知らないはずだが……」
與鷹よたか「琉球裏王家だって?」
 突如出てきた謎設定に思わず與鷹よたかが口を開く

#7
桜「琉球裏王家……そちらの黨野とうのと呼ばれた人が第二尚氏王統の裏に当たる血筋の人物であり、舜地しゅんちと呼ばれた人
が舜天しゅんてん王統の裏に当たる血筋の人物」
 突如として桜が口を開く
寧熏ねくす「ほう?どこでそれを知った……まぁ、いい……いかにも、我らこそが、琉球裏王家の血族に当たる者」
真博「そして、今こそ、我らが琉球の覇権を握る時!」
 そのために我らはここにいるのだ……と、彼らは言う。
 かくて、ノイエ・レキオがその牙を剥きだした!


END

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