Eighter -Midnight Howling-
17ther 〜琉球王家の裏遺産 A〜
#0
普天間基地……それは沖縄県にある米軍基地であった
そう、過去形である。なぜならば、今、その米軍基地は大阪府の通天閣に移植されたからである。
全ては大阪府の時の権力者の鶴の一声から……
そして、これはかつて米軍基地があった普天間基地跡地での物語
#1
天四斗、Eighter本部
雨水朧(「米軍基地が通天閣へ移動ねぇ……」
ある日、TVでニュースを見ながら朧(がぽつりと呟く
梓與鷹(「まぁ、沖縄県での反対運動と、大阪府トップの『同じ○天○のよしみ』って話からトントン拍子に事が進
んで今に至っているんだが……」
大阪府のシンボル、通天閣は光学迷彩にて外見は以前からの通天閣となんら変わりないが、その敷地面積は格段
に広がっているという。
元人交喙(「そして、そんな普天間基地の跡地からは古代琉球王朝の遺跡が発見されたと言う」
與鷹(「交喙(?」
と、そこへ突如として現れたのは與鷹(の大学時代からの付き合いであるトレジャーハンターな交喙(である
交喙(「その遺跡は、第二の首里城……影にして裏であることから首裏城と呼ばれているそうだ」
與鷹(「そうなんだ……」
あんまり興味がない感じの與鷹(である。
対して交喙(がここまで興味津津なのは、彼がトレジャーハンターであるためなのだろうか
交喙(「まぁ、聞け……俺もそれを知ったのはつい最近なんだがな……」
どうも怪訝(しなことが起きてるんだ……と告げる交喙(
與鷹(「怪訝(しなことだと?」
交喙(「おうよ、最初はちょっととあるサイトのスレにて首裏城の写真がアップされたことがきっかけだったんだが
……」
その翌日にはサイトごと閉鎖されていたのだと言う
與鷹(「まぁ、管理人さんがサイトの運営が面倒になって閉鎖するってのはよくあることだろうよ」
交喙(「そう思うだろ?……だが、違うんだよ……首裏城に関する情報を掲げたサイトが軒並み閉鎖されている」
朧(「ほほう、それは、何やら陰謀の匂いがしますな?」
交喙(「だろう?」
與鷹(「そんな大げさな……」
交喙(「それでだな、俺のパソコンのキャッシュに残っていた首裏城の写真を印刷したのが……」
えっと、どこだっけか?と自分の服をガサゴソと探りだす交喙(
白拍子かんな「その鞄の中では?」
交喙(「……」
交喙(は普段、手ぶらなのだが、今日は珍しく鞄を持ってきていた
かんなに指摘され、そう言えば、鞄の中に仕舞っていたんだったと、交喙(は早速鞄の中から一枚の紙切れを取り
出し與鷹(に見せる
交喙(「これだよ!これ!」
與鷹(「なっ……これは……」
そこには……首裏城の入り口と思しき漆黒の扉が地中から顔を出していた
そして、その漆黒の扉はカオサイトで出来ているとしか思えなかった
そんなものを見せられては與鷹(は動かざるを得ない
#2
沖縄県、普天間基地跡地
與鷹(「あれ?総……?」
早速、交喙(と共に沖縄県へと飛んだ與鷹(らは首裏城の近くにて、総介を発見する
上(総介「……與鷹(か」
與鷹(「何で」
交喙(「貴様がここに?」
総介「ああ?俺がここにいて困ることでも?」
交喙(「何ぃい?」
與鷹(「待て待て待て……」
一触即発名二人を早速宥める與鷹(。
総介と交喙(……かつてとある事件により両者には深い溝ができ、現在はその蟠(りも解けたとはいえ、まだお互い
完全に認めることができないのだろう
山咲(桜「首裏城……それはグソーへと至る道」
與鷹(「グソー……?」
かんな「琉球の言葉で冥界とか死後の世界とかそんな感じの意味ですね」
総介「……まぁ、いい、場所を変えて話すぞ」
ついてこいと、その場を後にする総介、そして何の疑問も持たずにその後をついていく桜
與鷹(「お、おい、総……」
仕方がなく、與鷹(らも総介の後をついていく
與鷹(「あそこじゃ話せないってのはなんだよ……あの妙な殺気のせいなのか?」
交喙(「……何かの気配を感じると思っていたが……」
そう、あの遺跡入り口……は遠くから何ものか、いや、集団に監視されているようなそんな気配を感じた
しかも、それは殺気に似た穏やかではないモノだ……
桜「あそこは、古代琉球王朝の遺跡にして……第零代琉球王が眠る場所なんです」
與鷹(「何だ?その第零代って?初代じゃないのか?」
総介「初代琉球王よりも前の時代……歴史の表には出てこない人物だ」
そして、そいつは歴史の墓場に通じる人物でもあったと告げる
與鷹(「なっ?」
桜「あそこはそんな第零代琉球王の遺産が眠る……いえ、隠されし場所……」
與鷹(「隠された?……誰に?」
総介「大戦中……GHQの手によってな……」
交喙(「んなっ」
最も、今は既にそんな事実は忘れ去られているわけだが……
だからこそ、通天閣へと米軍基地を移植したのだ。
もし、今でもここをアメリカが隠したがっているのならば、通天閣への移植などされなかったはずだと総介
與鷹(「そいつは……確かに……」
交喙(「で、それと、あの妙な気配とは一体どんな関係があるってんだ?」
かんな「あの場所を取り戻し、彼の遺産を欲しがる集団がいるってことですね」
総介「そう言うことだ……」
桜「彼らの名は、ノイエ・レキオ……」
一同「ノイエ・レキオ……」
彼らはなぜ、首裏城の遺産を狙うのか……
続
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