Eighter -Midnight Howling-
14ther 〜とある剣客の災厄カラミティ A〜



#0
 日本剣術組合……それは表社会の剣豪の組合であり、そのトップに君臨するのは裏社会をも支配する重鎮、『魔
刃翁』
 そして、こんかいはそんな魔刃翁……ではない、表向きの支配者から、全国の剣客に向けて会合を行うという旨
の招待状が発信された……
 果たして、この会合、一体何を齎すというのか……

#1
 東京都、タワーYATO
某敢それがし・いさむ「ここでござるか……」
 陣笠をくいっと指で上げ、ビルを見上げつつ、招待状の住所と見比べるいさむ
*「これはこれは、いさむ様……お待ちしておりました」
 と、そこへ日本剣術組合の一人がやってくる
いさむ「日本剣術組合のものが拙者に何用でござるか?」
*「日本剣術の未来について……こちらに……」
いさむ「む……」
 昨今、剣術を身につけようなどと考えている人は減少している。
 誰もかれも簡単で殺傷能力の高い銃を収めようとしている……これではイカンと……
いさむ「だが、何故、今頃になってそれを?」
 剣術人口が減少しだしたのは何も最近ではない……だからこそ、このような会合は定期的に開かれてしかるべき
……しかし、いさむは今回、初めて招待されたのだ……
 いさむだけが、今回初参加なのではないかと思われるが……しかし、そうではないのだ。
 いさむの貰った招待状には『第一回』という文字が躍っているのだ……つまり、このような会合は今回が初めてとい
うことであり……故にいさむは疑問を投げかけたのだ……
*「それは……」
 言葉を詰まらせる案内人……しかし、すぐさま目的の会場に辿りついたことで言葉をはぐらかせていさむを中へと案
内する
*「こちらでございます」
いさむ「むぅ……」
 その会場には、かく眼同盟をはじめとする表社会で有名な剣客が集っていた……
 これほどまで侍が集結するのは正しく圧巻であった……
天然蛍あましか・けい「やっほ〜」
一同「……」
 中でも一番目を引くのは天然けいである……
 この漢……裏社会の殺し屋ではないが、しかし、かといって表社会の剣豪でもない……何故にこの場にいるのだ
ろうか……?
 まぁ、彼は以前、裏社会の殺し屋の会合にもひょこりと顔を出していたことだし……
※ちなみに、けいは無所属です。
*「あ〜、全員揃っているか……何よりである……」
 そして、全員が揃ったところで、主催者のひとりたる雁過斗光木がんかと・こうぼくが口を開く
雁過斗光木がんかと・こうぼく「今宵集まってもらったのは他でもない!」
けい「待って!今、昼間!」
突込魁とつこみ・かい「ちょ、ちょっとけい……」
 ぼけ〜〜〜っと窓の外を見ながら光のカリス……もとい、光木こうぼくの言葉を聞き流していたけいが突如突っ込みを行い
かいが顔をあからめながら引っ込ませる
一同「……」
光木こうぼく「ん……ゴホン……本日集まってもらったのは他でもない……」
一同(言いなおした!)
 一同の視線が突き刺さる中、光木こうぼくは今回の目的を大々的に語るのであった……

#2
光木こうぼく「本日集まってもらったのは他でもない、日本の剣術の未来についてだ……」
 知っての通り、日本の剣術人口は減少の一途をたどっている……このままでは近い未来……とは言わないが、剣
術は断絶してしまう……
 その言葉をきき、ざわつきだす一行……
光木こうぼく「そこで、私は考えたのだ……日本全国、各都道府県に一人、斬殺許可証を持ち、日本刀を所持することを許
された特殊な人員を配置し、悪を斬る……」
一同「ちょ、ちょっと待てや!」
光木こうぼく「……ってなことを真剣に提案してみたんだが、鼻で笑われて却下されてしまった……」
 当たり前だ!どこの絶対王政になった日本だよ!と一同から盛大な突っ込み
光木こうぼく「……剣術人口を増やすためにはやはり、剣術はすごいんだ……ということを知らしめる必要があると私は考
えた……」
 そこで、剣術人口を増やすためのプロモーションビデオを撮ろうと思うのだ……と光木こうぼく
いさむ「ぷろもぉしょんびでお……とな?」
光木こうぼく「ああ、君たち達人の動きにかかっている!」
けい「なぁるほど、プロモーションビデオだけに達人プロ動きモーションが必要だってわけだね!」
かい「ちょ、けい」
 何馬鹿なことを言っているの……と顔をあからめていると、光木こうぼくが驚愕の顔をする
光木こうぼく「……チッ」
一同(え?)
 まさか、それ、言いたかっただけじゃ……と一行が冷や汗をかく
光木こうぼく「ええい、だまらっしゃい!」
 けいを睨みつつ、光木こうぼくは話を続ける
伊達宗美むねみ「まぁ、そんなしょうもないダジャレはおいといてさ……」
島友近ゆこん「あらあら、自分もしょうもないダジャレを言う人が他人のことをとやかくいえた義理ですの?」
宗美むねみ「何だと!友近ゆこん!貴様やるってのか?」
 血気盛んな宗美むねみは既に刀に手をかける
友近ゆこん「野蛮ですわね……そうやってすぐ刀で語ろうとする……いいですわよ……」
 友近ゆこんも結やば……ワイルドな性格なのですぐさま愛刀に手をかける
前田松子しょうこ「そこまでにしましょうね……」
 と、そこに仲裁に入るのは松子しょうこ、無言、無音のプレッシャーで二人の間に割って入る
宗美むねみ「……そ、そうだな……」
友近ゆこん「おほほほ……私としたことが……」
光木こうぼく「……あ〜〜、話を続けるぞ……」
 気を取り直して、光木こうぼくは話を続ける
光木こうぼく「まずは、女性陣……彼女たちは刀と鞘だけで体の大事な部分を隠しただけのブロマイド写真をだな」
女性一同「ただのエロ目的かッ!」
 女性陣から大ブーイング……まぁ、それは当然であろう……
 ……と、いうか、こんなんで日本の剣術の未来は明るくなるのだろうか……
 甚だ不安である……


続

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