Eighter -Midnight Howling-
11ther 〜有り得ぬ受胎酷恥じゅたいこくち B〜



#3
 神奈川県で起こった嬰児えいじ遺棄事件……だが、その裏にはおそるべく(?)謎が隠されていた……?
梓與鷹よたか「総……これがモンタージュじゃないとしたら一体何なんだ?」
かみ総介「奴に対し写真を撮ることが不可能だからこの絵しかない……いや、ある意味写真を撮ることは可能だが…
…」
與鷹よたか「……?」
 しかし、総介が何を言っているのか、一行は理解できなかった……
白拍子かんな「つまり、写真を撮っても、そのモンタージュと同じになる……いえ、そのモンタージュをカメラに
納めることが、彼の写真になるということです」
 と、そこへかんな颯爽と登場し、総介の言いたいことを超運で解明する
百鬼あろえ「……ええと……つまり……?」
與鷹よたか「ま、まさか……この尚神威しょう・かむいってのは二次元の存在ってことか!」
総介「ああ、そう言うことだ……」
あろえ「……え?」
 正に『次元の違いって奴を見せてやるぜ!』という感じだった……悪い意味で……
 あるいは、『クイズ、次元の差なんて』と言ったところか……
山咲やまざき桜「事件の全容はこうです……原諏禊美はらす・はらみさん、(十七歳)はとある漫画のキャラ、尚神威しょう・かむい
に恋する所謂オタクで……」
 二次元にうつつを抜かすあまり、彼女は彼との間に想像妊娠までしてしまったのだという……
総介「そして、そこまでならよかった……」
 いや、よくはないが……とノリ突っ込み
桜「彼女は想像妊娠で臨月まで至り……そして……」
あろえ「ま、まさか、想像妊娠で出産までいったってことですか?」
総介「ああ、そういうことだ……」
 そして、生まれた子供を遺棄したのだ……
あろえ「って、それって、誰かとヤっちゃって……それで出来た子供を想像妊娠でできた子供だとか言い張ってい
るんじゃ……?」
 サラっと最もな意見を述べるあろえ……しかし、桜はそれを否定する
桜「……このマンガのキャラクターなのですが、人間ではありません」
 一見魚鱗癬ぎょりんせんに見えるこれは彼本来の素肌……彼は人間と爬虫人類リザードマンとのハーフ
という生い立ちなんです……と桜
與鷹よたか「……ちょ、ちょっと待て……まさか、それって……」
 言い知れぬ不安が與鷹よたかを包む……
総介「ああ、そうだ、遺棄された嬰児えいじは人間と爬虫人類リザードマンあいの子としか言いようのない……いや、相手がハーフだ
けにクォーターとしか言いようのない存在だった……」
 あの嬰児えいじ魚鱗癬ぎょりんせんにかかっており、死亡して肌が緑色になったわけではない……元々そういう素肌の存在だった
のだ!
 つまり、これはただの嬰児えいじ遺棄事件ではない!『爬虫人類嬰児ドラゴンエイジ遺棄事件』だったのだ!
※なんか赤ちゃんを捨て去った事件ではなく、漫画雑誌を廃棄しただけの事件に聞こえるが、気のせいです……

#4
與鷹よたか「……総、まさか、彼女は場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツに唆されて……」
総介「俺もそう思って取り調べを行ったのだが……どうもそうではないようだった……」
 タブラやメメントのモンタージュを見せても何の反応もない……もしかしたら、別の幹部が出張ってきた……と
も考えられなくはないが、そんなことを考えていてはきりがないので、場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツと接触したという説は一
旦保留することに……
 ならば、彼女に怨みを持つ者の犯行……かに思えたが……彼女は二次元オタクで、痴漢に間違われた際も『三次
元になんか興味はない!』と豪語するほどのツワモノであり、交友関係も狭く、怨みを持つどころか、彼女に興味
を持つものもいないのだと言う……
※ところで、なぜ、彼女は痴漢に間違われるようなことに遭遇したのだろうか……謎であるが、今回の事件とは全
 く関係がないので割愛させていただく……
総介「彼女の務める喫茶店でも彼女に行為、怨み、その他もろもろ抱くものがいないかと捜査を行ったのだがどう
もひっかからない……」
 まぁ、その原因として、件の喫茶店、赤毛庵の看板娘は彼女ではなく、舞阪らんぷ……通称『らんぷーたん』な
ので仕方がないのだが……
與鷹よたか「……ってことは、彼女になにかしら抱いている人物がいないかをこっちで調べてほしい……と?」
桜「ええ、無能警官ズではあてになりませんので……」
一同「……」
 スッパリと叩き切る桜であった。
かんな「出ました……この人ですね……」
 まぁ、桜の辛辣な言葉は置いといて……レムリアがはじき出した人物は……株戸亜羅かぶと・あらという人
物だった……
與鷹よたか「赤毛庵の常連……?」
 レムリアの検索結果を見ながら與鷹よたかが呟く
かんな「彼は密かに禊美はらみさんのことを思っていたようですが、彼女は二次元にしか興味がないので、特に彼に関し
てはなにも気に留めていなかったようです……」
 そもそも、彼女目当てで通っていたため常連になったんだよ……とかんなが続ける
あろえ「ははぁ……彼女目当てだったけど、押しても引いても、押し倒しても……蛙の面に水だったと……」
 押し倒してもってのは何か間違っているんじゃないか……と一行は心の中で突っ込むのであった。
総介「それで腹いせに……か?……フン、まぁ、いい……あとは奴に話を聞くだけだ……行くぞ、山咲やまざき」
桜「はい、警部……」
 と、言うわけで強力を仰ぐだけ仰いで総介はEighter本部を後にするのであった……
あろえ「……毎回突風のように現れては突風の様に去っていくよね……」
與鷹よたか「……まぁ、なんというか……」
 さて……総介は無事に事件の犯人を逮捕できるのか……
 それとも、場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツに唆され、ニンゲンヤメカスカ?という事態になってしまっているのか……


続

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