Eighter -Midnight Howling-
10ther 〜鷹舗たかほ家の謎の依頼 B〜



#3
 それはある日突然舞い込んだ依頼……さわらの親友たる鷹舗たかほさんが自分の家で発生している怪奇現象を解決してほし
いとのことで、一行は彼女の屋敷を訪れ、原因たる裏山の調査を行うことになったのだが……
百鬼あろえ「……特に異常は見当たらないんだけど……」
 裏山とはいえ、そんなに険しい山ではなく、ものの数分で頂上に到着してしまう……
 そして、頂上にたどり着くまでに特に異変は見当たらなかった……
鷹舗たかほちえり「にゃはははは……」
 いやいや、そこは笑うところではないだろうに……
梓與鷹よたか「うおっ!」
 と、その時、與鷹よたかが突如声を上げる
あろえ「ど、どうしたんですか?」
與鷹よたか「俺の腕時計が突如狂い出して……」
 と、狂いだしたデジタル時計を見せる與鷹よたか
 ……電化製品が狂いだす……ってな依頼を受けておきながら、それでも電化製品の腕時計を身につけているとは
與鷹よたかもなかなかチャレンジャーである
ちえり「あ〜、やっぱりそうなるよね〜」
與鷹よたか「何か怪電波でも発しているってのか?」
 どこかに何か原因があるのか?とあちこちを歩いて回っていると……
白拍子かんな「あっ!」
與鷹よたか「どうしっ……」
 だが、しかし、次の瞬間、與鷹よたかは忽然と姿を消す……
 それはこの事件の怪奇現象がもたらした悲劇……などではなく、単に、與鷹よたかが足を滑らせて地割れに落下
しただけである
かんな「……」
 すぐさまかんなも與鷹よたかの跡を追って地割れに飛び込んでいく
あろえ「あ、ちょっと……」
ちえり「にゃははは……」
 続いてちえりもまた地割れに飛び込み、仕方がないのであろえもまた、続くのであった……

與鷹よたか「いてぇッ……」
 地割れと言ってもそんなに深い穴ではなく、すぐさま床に激突する與鷹よたか……
與鷹よたか「……って何だこりゃ?」
 岩肌に激突したにも関わらず擦り傷とか刺し傷がないことに疑問を持った與鷹よたかはそのまま床を見てみると……そ
こは石畳……
かんな「自然に出来たものではない……」
 すぐ隣でかんなが呟く
與鷹よたか「……ああ、しかも、こいつは……」
 その漆黒の石畳を見て、與鷹よたかが唸る
ちえり「にゃはははははははは〜〜」
 ズドンッ
與鷹よたか「ぐへぇっ」
 と、次の瞬間、高笑いと共にちえり参上……そのまま與鷹よたかの上に着地
ちえり「にゃにゃんと!裏山にこんな秘密が……」
 そのまま周りを見渡し一人感心するちえり
與鷹よたか「……い、いいから、はやくそこをどいてくれ……おも……苦しいッ」
 重いと言わない辺り與鷹よたかの優しさがにじみ出ている……

#4
あろえ「……ね、ねぇ……この漆黒の石畳、通路ってさ……」
與鷹よたか「……ああ、コレはカオサイトだ……」
 後からやってきたあろえも内部の漆黒の石畳などを見て呟くと、與鷹よたかがそれに答える。
 そう、そこはただの遺跡などではなく、カオサイトで出来た遺跡だったのだ……
かんな「それだけではありません……これを見てください」
 かんながOCTUを駆使して裏葉明日りばあす山のホログラムを空中に投影する
與鷹よたか「なっ……こいつは……」
 空から見た裏葉明日りばあす山……それは綺麗な四角錐……つまり、ピラミッドのような形状をしていた
ちえり「なぁ〜るほど、つまり、宇宙的パワーで電化製品をぶっとばしていたわけだね。にゃはは……」
 これが本当の宇宙的心歪コズミック・イラッってやつだねとちえり
 ……いや、笑いごとではない
與鷹よたか(……)
 しかし、なぜこんなところにこんなものがあるのか……そして、カオサイトに電化製品を狂わせる機能はない…
…ならば、この遺跡の奥に……
與鷹よたか(落雷によってオーパーツが起動した……とでもいうのか?)
 そんなことを考えつつ、かんなのOCTUによるナビで一行はピラミッドの最奥……玄室へと足を運ぶ
與鷹よたか「なっ……これは……」
 そこには同じくカオサイト製の柩が一つ……
 そして、その中に火花を散らす球体が一つ……
あろえ「あれが……全ての元凶?」
與鷹よたか「ああ、オーパーツなんだろう……」
かんな「いえ、あれはオーパーツではありませんよ」
與鷹よたか「何?」
 かんなの発言に一行は驚きを隠せない
與鷹よたか「オーパーツではないとすれば一体……」
ちえり「磁石かな?」
 強力な磁場は確かに電化製品を狂わせる……ちえりの発言は的を射ていた……
かんな「ただの磁石じゃありません」
 かんなはOCTUで磁石を転送すると火花を散らすそれに近付ける……すると、反発しあって磁石は宙を浮く
 まぁ、それだけならば普通である……
 かんなはそのまま磁石を宙に浮かせたままぐるりと火花を散らす物体を一周させる
與鷹よたか「馬鹿なッ!」
 もし、これが磁石だと言うのならば、どこかで必ず極が逆転して磁石がくっつくはずである……だが、しかし、
かんなが手に持っていた磁石は宙を浮いたまま一周してしまったのだ……
ちえり「これが噂のモノポリーって奴だね」
一同「モノポールです!」
 ちえりの発言に一同、渾身の突っ込み……
 ……ちなみに、モノポールというのはS極、N極だけの磁石と思ってもらえばよい
與鷹よたか(しかし……どうしてこんなものがここに?)

 ……考えたところで答えが出るわけでもない……

 そして、モノポールはEighterで管理することとなり、鷹舗たかほ家の怪奇現象は幕を閉じることとなった……
與鷹よたか(やれやれ……総がいなくてよかったぜ……)
 もし、この場に総介がいたならば、鷹舗たかほごと接収しかねなかっただろう……総介はそんな男である……
 ともかく、與鷹よたから一行は依頼を解決し、Eighter本部へと帰って行くのであった……

#5
 数日後
ちえり「にゃははは〜〜、遊びに来たよ〜」
一同「いや、用もないのに現れないで!」
 ……ちえりはEighterをいたく気に入った様子であり、このようにたま〜に何の前触れもなく遊びに来るように
なってしまったのだった……


END

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