#5
　西日暮里で起こった不可解な殺人・自殺事件……それには場違いな黒き遺物（ネガティヴ・オーパーツ）が関与していた
　……そして、場違いな黒き遺物（ネガティヴ・オーパーツ）を特定したその時、総介は真理の断片より残酷な未来を見せつけられる……果た
してそれはいかなるものなのか？
　天四斗（あまよと）、Eighter本部
上（かみ）総介「クソッ……今からでは到底間に合わんが……それでも行くしかあるまい！」
梓與鷹（よたか）「どうしたんだ？総……」
総介「説明している暇はないッ！」
山咲（やまざき）桜「警部……」
　そのままEighter本部を飛び出す総介、そして、その後を追う桜
白拍子かんな「リーダー……行きましょう……」
與鷹（よたか）「……あ、ああ……」
　そして、かんなに言われ、與鷹（よたか）もまた、総介の後を追う……

　東京都、某所

　……そして、やはりと言うべきか、総介が駆けつけた時には既に遅し……真理の断片が告げた残酷な未来は的中
した……
警官「かっかかかかっかっかっかかか上（かみ）警部……」
総介「とっとと帰れ！」
警官「え？……ですか？」
総介「聞こえなかったのか？……帰れと言った……」
警官「……し、しかし上（かみ）警部……」
　今しがた到着した総介はここで一体何が起こったのか分かるはずがない……だから、説明が必要なのではないか
……と、思う警官だが、総介がギロリと睨みつけると、蛇に睨みつけられた蛙の如く、震え上がってそのまま立ち
去って行った……
與鷹（よたか）「……総……良かったのか？話を聞かなくて……」
総介「別にいい……」
　……そして、総介は地面に倒れる警官二人を一瞥する……
桜「警部……死亡しているのは多鍵亘（たかぎ・わたる）警部と、里迂（さとう）三輪子警部のようです……」
　そして、桜は総介が強制的に帰した警官から聞いた話をとりあえず一行に話してみる
桜「例の少年を見かけ、話しかけようとした矢先……突如少年が振りかえり、そして、背後より神父らしき人物が
突如として出現……それを見た途端、多鍵（たかぎ）警部と里迂（さとう）警部はお互いを殺し合ったそうです……」
與鷹（よたか）「なっ……」
　桜の言葉を聞き、與鷹（よたか）は二つの意味で驚いていた……
　一つは互いを殺し合わせるような強力な場違いな黒き遺物（ネガティヴ・オーパーツ）があるということ……
　そして、もうひとつは更にそれが人の姿をとっていたこと……
総介「……さて、いつまでも隠れていないで出てきたらどうだ……羅叉（らさ）タブラ……」
與鷹（よたか）「え？」
　総介が告げる……と、同時に一行の背後より気配が……
　現れたそいつはメメントと同じく作り物めいた不気味さを感じる子供だった。
羅叉（らさ）タブラ「……」
総介「犯人は現場に戻る……という奴だ……最も、お前の場合、戻ってきたのではなく、最初からそこにいたんだ
ろうがな……」
タブラ「……流石……でも、おかしいな……場違いな白き遺物（そちら）の力を使って場違いな黒き遺物（ぼくたち）を特定することなん
て不可能に近いはずかもね……」
　そう呟きながら、悠々と一行の前に（後ろからだが……）歩み寄るタブラ
タブラ「……そうか、《キツネザルの使徒》を甘く見るな……と言われていたが……どうやらちょっと君たちを甘
く見過ぎていたかもね……」

#6
タブラ「……フフ、だが、僕の前に現れたのが運の尽きかもね……」
　と、その次の瞬間、タブラの背後に神父のような男が出現する
與鷹（よたか）「奴は……」
　もう一人……いや、もうひとつの場違いな黒き遺物（ネガティヴ・オーパーツ）か！と與鷹（よたか）
　……だが、その神父の姿をした場違いな黒き遺物（ネガティヴ・オーパーツ）と思しきモノは何もしない……そして、タブラもまた、ニヤニ
ヤするだけで何もしない……
與鷹（よたか）「……」
　そのまま、暫く沈黙が続く……
タブラ「馬鹿なッ！貴様らは愛を抱いていないというのかッ！」
　そして驚愕の表情で一行を見つめるタブラ
桜「……警部は『愛』とは最もかけ離れた存在です……」
　……いや、もしかしたら誰よりも『愛』に満ちた人物かもしれません……とか言い出す桜
※……ちなみに、スパロボR以降の精神コマンド『愛』に満ちた人物だ……と桜は言っているのです。
　スパロボR以前:全ユニットを完全回復
　スパロボR以降:気合、熱血、必中、閃き、努力、幸運、加速が一気にかかる
かんな「……先ほどあなたが自分で言っていたではないですか……《キツネザルの使徒》を甘く見過ぎていた……
と……」
　まだ、甘く見過ぎていたようですね……とかんな
タブラ「貴様……」
かんな「あの場違いな黒き遺物（ネガティヴ・オーパーツ）の名は……青ざめたる婚ぎ手（マリッジ・マサカー）」
與鷹（よたか）「青ざめたる婚ぎ手（マリッジ・マサカー）……？」
桜「……その能力は……この世で結ばれざる二人を確実にあの世で結び付ける……」
與鷹（よたか）「……ってことは、まさか……」
　……それは、基本的には結婚を許されない二人が、あの世で結ばれるためのオーパーツ……
　つまり、馬追警部と牝馬朱（ひんばす）氏は殺人と自殺ではなく、無理心中……つまり、両方自殺だったのだ……
※いや、それはそれでいいとして、まだ銃弾一発で二人死亡の謎が残ってますが……
　そして、青ざめたる婚ぎ手（マリッジ・マサカー）を見たことで殺し合った多鍵（たかぎ）警部と里迂（さとう）警部は何も憎しみ合って死んだわけではない
……こちらも交際関係にあったがために、無理心中を行ったのだ……
　それだけではない、タブラが自信ありげに青ざめたる婚ぎ手（マリッジ・マサカー）を使ったのは、桜と総介、與鷹（よたか）とかんなが互いに好
きあっているだろうから、無理心中すると思って使用したのだ……
　しかし、その目論見は崩れ去った……総介は愛から最も遠い……いうなれば『薄愛主義者』……そして、かんな
と與鷹（よたか）は……別に結婚を許されていないわけではないが、青ざめたる婚ぎ手（マリッジ・マサカー）の影響を受ける……はずだが、そこは
かんなの超運がそれを弾き返したのである……
　……まぁ、これも愛の力ですな……
タブラ「チッ……」
　舌打ちするタブラに対し、ここは私が……と青ざめたる婚ぎ手（マリッジ・マサカー）が一歩前に出る
総介「邪魔をするなッ！」
　ガキンッ
総介「何ぃ？」
　蒼王の刃（ブルーロード）を振るう総介……だが、しかし、その刃は青ざめたる婚ぎ手（マリッジ・マサカー）が止める
タブラ「あはははは……そいつと遊んでくといいかもね……」
総介「……ふざけやがってッ！」
　そのまま総介は力任せに青ざめたる婚ぎ手（マリッジ・マサカー）を弾き飛ばす

#7
かんな「……」
　かんなもまた、神滅超越者（ラグナロクエクセル）を手に総介の背後に立つのだが……
総介「アレは俺が殺る……お前は下がってろ……」
與鷹（よたか）「総……」
かんな「……分かりました……」
　かくて、総介と場違いな黒き遺物（ネガティヴ・オーパーツ）との死合が始まる……


END