Eighter -Midnight Howling-
5ther 〜心中を察して攻勢 A〜



#0
 西日暮里で起こった不可解な殺人・自殺事件……そこには人の姿を取る場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツ……羅叉らさタブラが関与
していた……
 そして、彼を追い詰めることに成功した一行だったが、しかし、事件の元凶たるこれまた人の姿の場違いな遺物
……青ざめたる婚ぎ手マリッジ・マサカーが立ちはだかる

#1
かみ総介「モノを相手に容赦なんてしない……」
羅叉らさタブラ「ふふふ……道具パーツ風情が……粋がるなよ、かもね……」
総介「蒼地烈葬そうちれっそうッ」
 ズダガアンンッ
 分身を造り、一気に斬撃を叩き込む総介……だったのだが……
総介「何ぃ!?」
 しかし、全ての分身は掻き消されていた……
タブラ「無効礼拝キャンセルサービス……」
 ……相手のいかなる攻撃をもキャンセルする防御に撤した技だ!とタブラが豪語する
総介「チッ……」
 苦虫をかみつぶしたかのような表情で青ざめたる婚ぎ手マリッジ・マサカーを、タブラを睨みつける総介

梓與鷹よたか(……こうして傍から見てみると、タブラと総とが死合っているように見えるけど、実際は違うんだよなぁ
……)
 感染している與鷹よたかは一人そんなことを考えていた……
 それもそのはずである。死合っているのは青ざめたる婚ぎ手マリッジ・マサカーだが、喋っているのはタブラ……
與鷹よたか青ざめたる婚ぎ手マリッジ・マサカーは喋ることができないのか?)
山咲やまざき桜(人の姿を取る……ということは場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツにとって力を消費し過ぎる形態なのでは?)
與鷹よたか(……ってことは全ての場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツは人の姿を取ることが出来ない……いや、とると何らかの弊害が発
生する……と?)
 最初に出会った場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツ狂瓜に破爪無しゴード・ノー・ファングも人の姿を取っていなかった……
白拍子かんな(……そうですね……)
與鷹よたか(……)
 と、ここで黙りこんでしまう與鷹よたか……
 ……そして、考え込む……もし、場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツが人の姿を取ることで力を消耗するため、通常は喋ることす
らままならないのであれば、森メメントや羅叉らさタブラ、そして、深沈せし聖女シンク・サロメはどれほどの力を秘めた
場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツなのか……と……

 ……と、まぁ、観客ギャラリーの談笑はおいといて……総介と青ざめたる婚ぎ手マリッジ・マサカーの死合はというと……

タブラ「ふふふ……防御の奥義、無効礼拝キャンセルサービスの前に手も足も出ないって感じかもね……」
 だから、死合は膠着状態のまま進まない……とでも思っているのか?とタブラ……
 当然、総介は真理の断片が見せる未来から膠着状態ではない……膠着状態にはならないことを知っている
タブラ「……攻撃の奥義、黄核婚菓ウェディング・イエローケーキ、見せてやるといいかもね」
 ズドムッ
與鷹よたか「なっ!?」
 すると、天空より鑓が……いや、ドリルが……違う……それは逆さにしたウェディングケーキとでもしか言い様
のない物体が降り注ぐ

#2
 ……しかし、総介は真理の断片が見せる未来により、その逆さウェディンクケーキドリルの落下地点を予め知っ
ていた……
 故に、回避することは造作もなかった……
タブラ「少しはやるかもね……だが……」
 しかし、攻撃を回避することは出来ても、こちらから反撃することが出来ない……いや、反撃すれば防御の奥義
たる無効礼拝キャンセルサービスが立ちはだかる……
 死合は膠着状態になりつつあったが、しかし、それは今だけである……
 長引けば疲れを知らない場違いない黒き遺物が有利になるのは明白であった……
かんな「……」
 よって、かんなは加勢に入ろうと神滅超越者ラグナロクエクセルを携え総介の元へ馳せ参じようとするのだが……
総介「奴は俺が叩き壊す……手を出すな!」
與鷹よたか「総……」
 それを頑なに拒む総介
桜「警部を信じてください」
 何もそんなに頭ごなしに否定しなくても……と思う與鷹よたかに、桜がそう告げる……
與鷹よたか(総……なんで……はっ……まさか汚れ役を自ら引きうけて……)
 場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツは関わった物全てを狂わせる……それを止めるには使用者にもトドメを刺さなくてはならない
……そして、そんな業をかんなに背負わせるのは酷だ……
※まぁ、実際の所、総介はかんなのことを思ってこんな行動に出ているのではないのですがね……

 ……ともかく、死合は続く……

総介「……」
タブラ「ふふふ……ふふふ……」
 こちらの攻撃は一切通用せず……そっちの攻撃は回避するしかない……そんな防戦がずっと続いていた……
タブラ「もう、後がないかもね……」
総介「……黙れッ!」
 ……しかし、それは、タブラに苛立ちをぶつけるかのごとく叫んだ言葉ではなかった……
 そして、総介は左手に藍后の刄ブルーエンプレスを構える
タブラ「刀とナイフの二刀流……ふん、無駄なことかもね……」
 今更武器を増やしたところで逆転劇など起こり得ないよ……とタブラが鼻で笑う中、総介は蒼王の刃ブルーロード藍后の刄ブルーエンプレスをくっつけて一本の双身刀を造る
総介「貴様らを叩き壊すには神の特刀デウス・エクス・ブルー……これを使うしかないようだな……」
タブラ「ほざいてろ!黄核婚菓ウェディング・イエローケーキッ」
 タブラが叫ぶと同時に天空より逆さウェディングケーキドリルが総介目掛けて振ってくる
総介「……」
 ズガザシャシャシャシャシャシャシャッ
タブラ「な、何ぃ!?」
 次の瞬間、まるでスライサーで切り刻んだかの如く、逆さウェディングケーキドリルが薄く削り取られる
與鷹よたか「なっ」
 驚愕の声を上げるのはタブラだけではない、與鷹よたかもまた、驚きを隠せずにいた……
與鷹よたか(何だ!?今の……俺には総の動きが全く見えなかった……)
茜瑙哭セドナ『ほぉう……あの力は……』
 そして、かんなの背後では『位』の破壊神、茜瑙哭セドナがぽつりとひとりごち……
タブラ「貴様ぁ!何をした?」
総介「……遊びの時間は終わりだ……と、言うことだ……」
タブラ「黙れぇ!道具パーツ風情が……お前はここで人生の終わりかもね!」
 ……そして、死合は第二幕へ……


続

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