Eighter -Midnight Howling-
2nder 〜されど偽りの自殺 C〜
#5
連続自殺事件……そこには場違いな黒き遺物が関与していた……
総介は早速場違いな黒き遺物(を利用し……いや、場違いな黒き遺物(に利用され連続自殺を巻き起こしている犯人
をつきとめ、そいつのもとにやってきたのだが……
上(総介「死んでから大分時間がたっているようだな……」
その無機質な光が漏れる部屋の中には、ボロボロに朽ち果てた衣服を纏った全身骨格が、パソコンに向かって座
ったままがっくりと頭を落としていた……
この白骨死体こそ、窄莉磁束達(で間違いないだろう……
梓與鷹(「総……こいつが死んで久しいというのならば、サイトの運営は誰がやっていたんだ?」
山咲(桜「……確かに……」
*「ここまで辿りつけたのはお前たちが初めてなのである」
與鷹(「うおっ!?何だ……」
と、その時、パソコンの……デスクトップに表示されている、いつの時代だよ!と突っ込みたくなるような16色
のドット絵アバターが喋り出す
*「はじめましてなのである……」
ぺこりとお辞儀をするアバター
総介「……貴様が……」
このアバターがサイトを運営していたというのだろうか……
*「貴様などと失礼なのである……私には森メメントという名前があるのである」
桜「……メメント・モリ……死を忘れるな……ですか?」
與鷹(「総……もしや、この森メメントというアバター自体がデリデスであり、場違いな黒き遺物(なのか?」
白拍子かんな「……ええ、デリデスというのが場違いな黒き遺物(そのもの……その名は、着飾った地獄少女(……」
そして、その問いに対してはかんなが答える。
森メメント「むむ、流石は《キツネザルの使徒》……博識なのである……」
與鷹(「キツネザルぅ?」
謎の単語に首を傾げる與鷹(……そんな中、総介は真理の断片で、かんなは持ち前の超運で、それがオーパーツCP
レムリアの使い手のことを指すということを悟っていた……
※では、桜は……?
総介「ひとつ聞く……貴様はデリデス(をやめるつもりはないんだな?」
メメント「だから、貴様などと呼ぶななのである……そして、当然なのである……死は始まりなのである……」
死ぬことによって始まるものもある……と告げるメメント
総介(死は始まり……か……なるほど、人の死を糧に貴様ら場違いな黒き遺物(は力を得るというわけだな……)
……ちなみに、総介らがさきほどからメメントと会話しているのは場違いな黒き遺物(に対して説得を行っている
わけではなく、場違いな黒き遺物(から情報を引き出すためである
また、パソコンからLANケーブルを引っこ抜いたり、無線LANをOFFにしたりして、デリデスを運営停止にしない
のは、場違いな黒き遺物(に対して現代科学の情報隔離など意味を成さないためである……
……ならば、いかにして着飾った地獄少女(を斃すのか……
メメント「……さて、楽しい会話もここまでなのである……」
與鷹(「逃げる気か!」
メメント「……ここらへんで今生の別れなのである……ではでは、皆さま、来世まで御機嫌ようなのである」
桜「……ッ!携帯の電源を!」
桜がいち早くメメントの行動を理解した……件の死を誘うメールを送信し、この場にいる一行もろともを殺して
しまおうと言うのである……
今時携帯の一つも持っていない人間は逆に珍しい……故に今、かんならは致死の間合いに深く入り込んでしまっ
たと言える。
※ちなみに、たとえ携帯の電源を落としたところで、やはり場違いな黒き遺物(からのデータ受信を防ぐことはでき
ません。
勝ちを確信し、ニヤリと笑みを浮かべるメメント……
……だが、笑みを浮かべていたのはメメントだけでは無かった……
#6
かんな「そうくると思っていました……」
メメント「……ッ!……そんな……着信拒否……いや、これは……メールのカウンターであるか!?」
暫く一行の会話に参加していないと思っていたかんなは……しかし、與鷹(、総介らに隠れてOCTUを操作し、メメ
ントからの攻撃に対してカウンターを狙っていたのだ……
メメント「……馬鹿ッ」
ぷつん……
その断末魔を最後に、パソコンは突如停止、メメントも消え去った……
與鷹(「……お、終わったのか?」
総介「……」
その問いに対して、総介は答えない……
だが、そのまま束達(の亡き骸を後に部屋を去って行く
総介「山咲(……行くぞ……」
桜「はい、警部……」
與鷹(「あ、おい……総……」
そして、総介を追って與鷹(もまた、部屋を飛び出していく……
……部屋に一人残されたのは……かんな……
茜瑙哭(『……あれしきで終わり……ということはあるまい……?』
かんな(……おそらく……ですが、今回の事件に関して言えば、これで、終幕です……)
メメントの死を誘うメールを跳ね返され、カウンターを受けたことによりデリデスのデータ自体がネット上から
消え失せた……
デリデスの母体が消え失せ……やがて人々はデリデスのことを忘れるだろう……
だから、この事件は終幕だ……
……しかし……場違いな黒き遺物(の野望はまだ終わらない……
……その後、もはや、ここにいても仕方がないということで、かんなもまた、部屋を後にする……
※ちなみに、警視庁でデリデスのサイトを閲覧していた中川警部らは突如サイトが404のエラーになったことに
ビックリ仰天していたそうです
……その頃……とある空間にて……
*「……死ぬかと思ったのである……」
*「《キツネザルの使徒》を甘く見ているからよ……」
謎の少年少女の集合……そこに、森メメントらしき口調の姿もあった……
……かんなは多くを語らなかったが、森メメント = 着飾った地獄少女(ではない……
森メメントは場違いな黒き遺物(、着飾った地獄少女(を使役する存在……連続自殺事件が集結したのはその事件を
巻き起こす場違いな黒き遺物(たる着飾った地獄少女(が消滅したからであり、森メメントが消滅したからではないの
だ……
メメント「今回は不覚を取っただけである……次はこうはいかないのである……」
*「……そう……じゃあ、楽しみにしているわ……」
メメント「御意、なのである……」
そう告げた後、メメントはふっとその場から掻き消える……
まるで、ホログラムで表示されていたかの如く……
#7
*「……アレは直に《キツネザルの使徒》に消されるぞ……」
*「……でしょうね……」
*「……いいのか?」
*「問題ないわ……あれは所詮、雑兵にすぎない……」
*「……それも、そうか……」
……こうして、場違いな黒き遺物(を巡る、謎の少年少女たちの暗躍は続く……
END
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