Eighter -Midnight Howling-
2nder 〜されど偽りの自殺 B〜



#3
 最近世間を騒がせる連続自殺事件……その事件は文字化けメールの送受信という共通点はあったが、しかし、そ
こから先は何の進展も無かった……
 そして、その背後には場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツが関与しているのではないか……と総介は睨み、Eighter本部へと足を
運んだのだった……

 その頃……東京都、警視庁では……
警官「中川警部……都市伝説『死者からの便り』についていろいろと調べてみたんですが……どうも、間違ってい
たみたいです……」
中川邦武ほうむ「何だ?その間違っていたというのは……」
警官「あ、はい……まず、この死者から届くのはメールではなく、手紙でして……その手紙が届くっていうのも別
に不幸の手紙の一種ではなく、この世に未練の残っている死者が自分の死に悲しみに明け暮れている生者に対して
贈る手紙のことらしく……」
邦武ほうむ「つまり、怨みはないということか?」
警官「はい、簡単に言うと、そうなりますね……」
邦武ほうむ「じゃ、なんで死を誘うメールなどという恐ろしい内容に変わったんだ?」
警官「……謎ですね……」
※地獄少女と混ざったのではないか……とまことしやかに囁かれていますが、信じるか信じないかはあなた次第で
 す……(都市伝説風に……)
警官「……中川警部のほうはどうなりました?」
邦武ほうむ「……ああ、文字化けしたメールを逆さにしたり、鏡にうつしたり、遠くから眺めてみたりしたが……」
 やっぱり解読は無理だった……と邦武ほうむ……まぁ、当然であろう……
警官「……中川警部……この文字化けメール……もしかしたらQRコードだったりするんじゃないでしょうか?」
邦武ほうむ「……ああ、それも試した……だが、無駄だったよ……」
警官一行「さいですか……」
 もしやARコードなのでは……と、そちらも試したが、やはり何も分からなかった……と中川警部は告げる
警官「中川警部!」
 と、そこへ警官の一人が慌てて駆けつける
邦武ほうむ「おお、どうした?」
警官「……これ、これを見てください!」
 そして、血相を変えて一枚の紙切れを見せる警官
一行「こ、こいつは……」
 ……そこには何かのURLが書かれていた……
邦武ほうむ「……なんだ?これ……」
警官「中川警部、いいから、このサイトにアクセスしてください!」
邦武ほうむ「へ?」
 ……まぁ、いいが……と職務中にネットサーフィンするのはどうも……などと考えもせず、警官に言われた通り
そのサイトにアクセスする中川警部
邦武ほうむ「……なっ……こいつは……!」

 時同じくして、Eighter本部でも、レムリアによる検索にて、一つのサイトを探り当てていた……
 天四斗あまよと、Eighter本部
梓與鷹よたか「デリバリーデスサービス?」
 ……略して『デリデス』……
 そして、そのサイトはいかがわしいサイト……簡単に言うとデリヘルの紹介サイトをベースに造ってみたらこう
なりました……とでも言わんばかりの構成になっていた……
 更に、変なポップアップもサイトに出現しており、……内容は当然、サイトに沿ったものであった……

#4
山咲やまざき桜「……死んでほしい程憎たらしい人の名前を本文に記載したメールをここのアドレスに送ると勝手に本人を
自殺させてくれる……みたいですね……」
かみ総介「ふざけやがって……」
 つまり、このサイトのメアドに対して殺したい人物の名前を送ると、その人は文字化けメールを受信して自殺す
る……
 そして、殺しを依頼した人物の方にはメール送信完了しましたという通知が文字化けメールとなって、同じ効果
を発していた……ということである。
桜「人を呪わば穴二つ……と、いう言葉がありますが……」
 そして、総介は苛立ちをぶつけるが如く、このサイトを運営している連中の捜索を行う
※捜索を行うと言っても、かんなにレムリアで検索してもらって、特に総介が何か調べるわけではないのですがね
 ……
白拍子かんな「……サイト運営者は窄莉磁束達さくりじ・たばら……所在地は東京都の……」
総介「行くぞ!」
 かんなの情報を元に、早速総介は東京都へと足を運ぶ(かんならも一緒ですが……)

 東京都、窄莉磁さくりじの屋敷

與鷹よたか「ここか……」
総介「……怪訝おかしい……」
與鷹よたか「どうした?総……」
 そこは、都会では珍しい庭付きの一軒家……
 ……それだけならばどうということはなかった……問題なのは、玄関から見える庭……
 ……雑草がぼうぼうに茂り、人の手入れが全くなされていなかった……
桜「……とても、人が住んでいるようには思えませんね……」
與鷹よたか「……た、確かに……言われてみれば……」
 この手入れが全くされていない、荒れ放題の庭は異常である……
総介「……ともかく、確認するしかあるまい……」
與鷹よたか「ああ、そうだな……」
 総介が呟き、與鷹よたかが頷く……
 ギギィィイイィイ〜〜〜
 敷居をまたぎ、玄関のドアに手をかけると、不気味な音と共にドアがゆっくりと開く……
 長年、誰も使っていなかったかの如く、ドアも錆ついており、そのレールには埃が堆積していた
桜「……鍵がかかっていない……?」
與鷹よたか「……」
 しん……と不気味な静寂に包まれた屋敷……そこに誰かが生活しているような空気は……いや、人の気配が一切
無く、ただ、漫然と死が漂っているかのように思えた……
総介「……奴は既に死んでいる……」
 ……真理の断片が見せるまでもなく、窄莉磁束達さくりじ・たばらは死んでいる……と分かる雰囲気……
與鷹よたか「……総、あれは?」
 と、その時、奥の部屋から光が漏れているのを発見する與鷹よたか……
 しかし、その光は温かみが全くない、無機質な光に感じられた……

 バムッ

総介「……」
 総介が勢いよくその部屋のドアを空け、中に突入する……
與鷹よたか「……これは……」
 その部屋には一体何があるというのか……


続

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