Eighter -Grand Harmonise-
61ster 〜神の時代の幕引き D〜



#7
世界の為に人類を抹殺することを考えた神・鵺帛主ヤヌスとその人類を守るべく立ち上がった人・かんな……両者は
互いの全てをかけてぶつかり合い……そして、今……死合は最終局面へと向かう……!?
鵺帛主ヤヌス「ハハハ……ハハハハハハハ……」
かんなが次の手を打とうとした矢先、鵺帛主ヤヌスが突如笑い出す
白拍子かんな「……鵺帛主ヤヌス!?」
突然の出来事にかんなも呆然とする。
※ここらへんでかんなの超運が発動していないような気がしますが、それは歳殺月天さいさつげってんの力を駆使していたり、
 鵺帛主ヤヌスと死合っていたりなどの原因で発揮できなくなっているだけです。つまり、かんなはその超運のおかげ
 でここまで鵺帛主ヤヌスと渡り合えたのです。(と、どうでもいいですね……これ……)
鵺帛主ヤヌス「……やはり……こうなるのだな……歳殺月天さいさつげってん……いや、人間ヒトの小娘よ……」
ポツリと漏らす鵺帛主ヤヌス。もはや、かんなと死合う気など、鵺帛主ヤヌスには毛頭ない……それをかんなも悟り、
身構えていた体勢を解くかんな
かんな「鵺帛主ヤヌス……?」
鵺帛主ヤヌス「そうか……最早……人が神を必要とする時代は……終わったのか……」
そのまま天を仰ぐ鵺帛主ヤヌス
鵺帛主ヤヌス望均羅モイラ……やはり、お前の予言した通りの結果になったようだな……)
人と神の最終戦争……それに勝利するのは……神ではなく人……望均羅モイラの予言通り……鵺帛主ヤヌスは……
かんなに……人に負けを認めたのだった……
鵺帛主ヤヌス「……いずれ……こうなることは……人が神から離乳することは分かっていた……だが……
 こうも早く訪れるとは……思いもしなかった……」
望均羅モイラの予言した運命は絶対であり……その前には創造神たる鵺帛主ヤヌスでも覆すことは出来ない……
しかし、鵺帛主ヤヌスは……その運命に抗いたかった……
※ちなみに……余談だが……『人が、神を不要とする時代が訪れるのか否か』……というのは……この、
 鵺帛主ヤヌス世界に問いかけられた最大の疑問でもある……のだが、今は内緒です。
かんな「鵺帛主ヤヌス……?」
そのまま沈黙を続ける鵺帛主ヤヌスに、かんなが思わず声をかける
鵺帛主ヤヌス「……歳殺月天さいさつげってん……最期に教えてくれ……お前が力を宿している……その人間ヒトの名前を……」
かんな「……かんな……白拍子かんな……」
鵺帛主ヤヌス「そうか……白拍子かんな……か……」
その言葉を反芻する鵺帛主ヤヌス……
かんな「鵺帛主ヤヌス……?」
サラサラサラサラ……
そうこうしている間にも、鵺帛主ヤヌスの体が崩壊していく
鵺帛主ヤヌス「……かん……な……か……いい名前だ……ふふふ……我の相手がお前でつくづく良かった
 よ……」

#8
鵺帛主ヤヌス「……歳殺月天さいさつげってん……いや、かんな……」
かんな「……はい……?」
崩れゆく鵺帛主ヤヌス……その最期の時は近いが、まだ、伝えなくてはならないことが存在する……そして、かんな
も、その鵺帛主ヤヌスの遺言を聞くことになる
鵺帛主ヤヌス「……我が……この……鵺帛主ヤヌス世界の創造神たる我がたおされたことで……世界を守る機構システムは
 ……崩れることとなる……」
鵺帛主ヤヌスは神……そして、この世界の創造神であり、管理者……人類抹殺計画を発動するまでは……影ながら
この世界を守ってきたのだ……
しかし、それがいなくなるということは……だが、それはこの死合が始まる前から両者が熟知していたことで
ある……
鵺帛主ヤヌス(……そして……我をたおした汝には……我の後を継ぐ権利が発生する……)
だが、望均羅モイラが予言したもう一つの出来事……鵺帛主ヤヌスたおしたものは……次の支配者となり得ない……
それは……かんなが鵺帛主ヤヌスの後継者として世界を守る神とならない……と言う意味である。
ガクリ……
かんな「鵺帛主ヤヌス!!?」
最早、脚は完全に崩壊し、立つことすらままならない鵺帛主ヤヌス……しかし、まだ……いや、今だからこそ話せる
ことが……鵺帛主ヤヌスには残っている……
鵺帛主ヤヌス「……かんな……」
かんな「……はい……」
・
・・
・・・
そして、鵺帛主ヤヌスは自分の持てる全てをかんなに伝え、かんなはそれを全て聞く……
鵺帛主ヤヌス「ああ……これで……私も……やっと……均衡の呪縛から解き放たれるのだな……」
シュオオオオアアッ
全てを伝え終わると……鵺帛主ヤヌスは本当に世界から消滅する……
かんな「……鵺帛主ヤヌス……」
グゴゴゴゴゴゴゴッ
歳殺月天さいさつげってん(かんな……逃げて!!)
かんな「……」
鵺帛主ヤヌスが消滅したことで……鵺帛主ヤヌスの力によって支えられていたこの空間もまた崩壊することとなる……
かんな「……」
歳殺月天さいさつげってん(かんな……!?)
だが、かんなもまた、鵺帛主ヤヌスとの死合で既に限界……最早体を動かすことも出来ないほどに疲労しているのだ
歳殺月天さいさつげってん(くっ……)
シュパアアアアッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
月天げってんは……辛うじてかんなをその場から離脱させることに……
間一髪……かんなが離脱した……いや、月天げってんの手によって離脱させられた直後、その空間は……完全に
崩壊することとなる……

#9
かんな(……)
かんな「……ここは……!?」
そこは、どこでもない空間……
スウウウッ
そして、その傍らに、歳殺月天さいさつげってん
歳殺月天さいさつげってん(今は……おやすみなさい……かんな……)
かんな(……歳殺月天さいさつげってん……)
・
・・
・・・
そのまま、ゆっくりと眠りにつくかんな……
……こうして……人類抹殺計画は未然に防がれ……人類に迫る未曾有の危機は回避された
……だが……この戦いは……一部を除いて……誰も知らない……


第二部・FIN

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