Eighter -Grand Harmonise-
37ther 〜剣鬼は至宝を得る A〜



#0
孤高の剣鬼……冥時みょうじ萌……彼女は何を想い魔道をくのか……今回はそんな萌にまつわるストーリー
……

#1
天四斗あまよと、某所
*「……天四斗あまよとも……いや、日本も久しぶりだ……」
その日、黒いアタッシュケースを持ったご老体が日本へやってきた……
*「……さて……孫の顔でも見に行くとするかの……確か……あやつは今……」
そう呟き、その老人は修羅の門へと足を運ぶ。
・
・・
・・・
天四斗あまよと、修羅の門
冥時みょうじ萌「……」
萌は萌で、今日も、ただ、1人そこに佇んでいた……何をするでもなく、空を仰ぐ萌……
ザッ
萌「……なえか……」
冥時萎みょうじ・なえ「流石……ね……」
突如現れたなえ……それを振り向きもせず誰であるかあてた萌に驚愕するなえ……
萌「……何の用だ……?」
ぐっ
刀に手をかける萌……また、腕試しと思っていると……
なえ「今日は……そんなんじゃないわ……」
ジャリッ
そして、そこへ……先ほどの老人が登場……
*「久しぶりだな……萌、なえ」
バッ
とっさに振り向く萌……驚き半分、喜び半分といった顔だ……
萌「し……志明しめいの……爺様!?」
ご老体の名前は冥時志明みょうじ・しめい……萌の祖父である。
冥時志明みょうじ・しめい……名字が『みょうじ』で氏名が『しめい』……なんて名前だよッ!
いつ、日本に帰ってきたんですか!?と萌……なえなえでそのことについては知っていた模様
冥時志明みょうじ・しめい「いや、2人とも、元気でなにより……」
そのまま萌、なえを矯めつ眇めつ眺める志明しめい
志明しめい「ふむ……確かに、元屠歳殺げんとさいさつを継ぐ資質は……十二分……」
萌「……爺様……今日は……何の用でここに!?」
志明しめい「……元屠歳殺げんとさいさつ……その全てを教えるべくここに来た……」
風の噂でお前のことも遠く離れた異国の地でもよく聞く……そして、今日は、今までずっと保留にしてきた
伝承者の印可を与えに来た……と志明しめい
※ちなみに、志明しめいはヨーロッパの方でとあるマフィアのボスをやっていたりします。
萌「元屠歳殺げんとさいさつの全て……?フン、だったら俺には不要だ……」
しかし、萌は既に、全てを知り得ている……他に必要なものなど……今はない……

#2
なえ「……私は?」
先ほどから主に萌ばかりが話の中心で……自分のことには触れられていないので……なえが思わず呟く
志明しめい「……聞かずとも……分からんか……?」
なえ「ぐっ……」
……確かに、萌となえとの剣腕には大きな差がある……
萌「爺様……欧州の方はいいのか?」
ヨーロッパの方でとあるマフィアを束ねる存在にある志明しめい……勝手にお忍びで日本にやってきてもいいという
わけはない……
志明しめい「まぁ、そういうな……萌……お前に伝承者の印可を渡す……しかと受け取れ……」
ゴトッ
そして、持ってきた黒いアタッシュケースを差し出す志明しめい
萌「何だ?」
ガチャッ
そのままアタッシュケースを開ける志明しめい……そして、そこには……4本の刀が納められていた
萌「……これは……」
なえ「まさか……!?」
志明しめい「……そうだ……元屠歳殺げんとさいさつ流伝承者の証たる四天刃……」
増長天の力を秘めし増長爪、持国天の力を秘めし持国爪、広目天の力を秘めし広目爪、そして、多聞天たもんてんの力を
秘めし多聞爪たもんそう……その4本をまとめて四天刃と言う……かつて、元屠歳殺げんとさいさつ流を極めた冥時みょうじの先祖が使った
とされる宝刀にして妖刀。そして、代々冥時みょうじ家に伝わってきた代物……
萌「……」
その伝説に名高い妖刀が自分の手に……と4つの刀を見る萌
なえ「……」
資質が無いがゆえに、ただ眺めることしかできないなえ……そのうち、かんなとかれんの様に姉妹で死合う展開
なったりするんじゃ!?
志明しめい「む、そろそろ時間か……」
四天刃を託したあと、懐中時計を見ながら志明しめいが呟く……日本での滞在時間はもう終わりだ……
志明しめい「さらばだ!萌、なえ!また今度……次は是非我が家アジトに来てくれ……」
萌「爺様……」
たたたっ
かくて、志明しめい……風と共に去りぬ……
なえ「……爺様……」
残された姉妹……そのまま無言の時間が続く……
萌「……コレを……」
そして、萌は……口を開く
なえ「ん?」
四天刃を手にした萌には、もはや、元屠剣げんとけんは不要……故に、元屠剣げんとけんなえに渡す
なえ「萌……?」
これは、私に対するあてつけか!?などと内心思うなえ……
萌「ある意味父の形見だ……」
だから……実家で保管してくれ……と萌は言う。アンタが持っていけばいいじゃない……などと思うなえで
あったが……萌は萌で、これから、やらなければならないことがあると言う……
萌「……任せた……」
なえ「……」
ザッ
半ば強引に元屠剣げんとけんを託し、萌は修羅の門を後にする……
・
・・
・・・
なえ「……」
1人残されたなえは……そのまま空を仰ぎ、呟く
なえ「……悔しい……」
……この先、萌となえはかんなとかれんの如く、死合う運命にあるのか!?……それとも……
……だが、今は萌の話……なえの話はまた今度……


続

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