Eighter -Grand Harmonise-
37ther 〜剣鬼は至宝を得る B〜



#3
萌……元屠歳殺げんとさいさつ流の正当なる伝承者として認められ……かくて、彼女はある決意を胸に、とある場所へと赴く
……その……向かった先は……
天四斗あまよと、Eighter本部
百鬼あろえ「はいはい……依ら……いッ!?」
ザザッ
後退りするあろえ
白拍子かれん「あん?どしたの?あろえ……」
そこにいるのは萌……かつてEighterを苦しめた強敵……故に、警戒もする……
あろえ「……」
かれん「ん〜〜?」
何事かとかれんもそこに行ってみると……
萌「フン……かつて潰そうとしていた組織に入っているとはな……」
かれん「……私がどこにいようとも……あなたには関係ないことじゃないかしら?」
萌「まぁ、そうだが……」
事実は小説より奇なりとはよく言ったものだな……と萌は腕組みしながら呟くのであった。
かれん「ところで……何の用でここに来たのかしら?……もし、あなたもEighterに入りたいというのなら
 この私をたおしてからよ!」
一同「……」
言い放つかれんに対し突然沈黙する一同
かれん「……あ……れ!?」
萌「……変わったな……かれん……いや、それとも……それがお前の本来の……」
と、そんなことを言いかけて、言葉を止める萌
萌「……まぁ、いい……そんなことはどうでもいい……いさむは……どこだ!?」
ようやく本題に入る萌
かれん「いさむ……?」
そう言われ、部屋の中を見渡すかれん
かれん「ん〜〜〜、ちょっと居ないわね……」
萌「そうか……」
邪魔をしたな……と、踵を返す萌……と、そんなとき、ひょっこりとかんなが登場
白拍子かんな「いさむさんなら剣の修行で昨日から居ません」
萌「……」
かんな「ちなみに、今頃は剣聖丈太郎氏の残した道場に居ると思いますよ?」
萌「……分かった……」
かんなの言葉を聞き、足早に去っていく萌……
かれん「ちょっと……萌!?」
場所だけ告げてもどこにあるか分からないでしょうに!!とかれん……
しかし、かれんの言葉など聞く耳持たず……
※ちなみに、萌は、みたび明鏡止水流の秘伝書を奪うときに一度剣聖丈太郎氏の残した道場を訪れているはずなので
 場所はわかるはずです。(と、いうか、だからこそ場所の名前だけ聞いて去って行ったんですよ……)

#4
かくて萌は剣聖剣術道場を訪れる
天四斗あまよと、剣聖剣術道場
萌「フ……またしてもここに来ることになるとはな……運命……の導きか……」
呟きながら道場の中へ入る萌
萌「……」
しかし、中を見渡すが……そこには誰もいない……運の女神の情報もあまりアテにならないな……などと
思っていると……
萌「……む!?」
ふと、部屋の片隅にある穴に目が行く
萌「……この中……か!?」
早速降りていく萌
萌「こんな隠し部屋があったとはな……」
ジャリッ
某敢それがし・いさむ「……何の用でござるか?……萌殿」
そして……部屋の奥にはいさむがいた……
萌「いさむ……今こそ、真のケリをつけるぞ!!」
ガッ
いさむを見かけるや否や四天刃に手をかけ、咆える萌
いさむ「……」
しかし、いさむは萌の方を向くことなく無言で佇む……
萌「返答はぁッ!」
ズラアアッ
四天刃を抜刀し、四屠しとの陣に構えながら叫ぶ萌
いさむ「……某いさむ……参る」
くるり
スラッ
萌の気迫にただならぬ決意を感じたいさむ明星幻星みょうじょうげんそうを抜刀し、萌と対峙
萌「ハッ!」
ゴギャッ
ギイイインッ
対峙し途端、2人は一気に飛び込み、そのまま組み合う
萌「ぬうううう……」
いさむ「くっ」
ギギギギギギギギギギギギギッ
更にそのまま鍔迫り合いへと移行する
いさむ(……かつての禍々しい気が……消えている……?)
萌(何故だ……ヤツの力はこんなものでは無いはずだ……)
ザザザザザッ
暫く打ち込みあった後、後退りする両者
いさむ「ぬぅ……」
萌「キサマ!なぜ本気を出さん!この俺の力をなめてもらっては困るんだよ!!」
いさむ「……」
萌「よかろう……貴様が本気を出さないのなら……力尽くでも出させてやるわッ!!はあああ!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ
清々しさすら感じる邪気を放出し、魔眼開放!
いさむ「む……これ……は」
萌「ハッ!四刃光臨しじんこうりん!」
ビシュアアアアアッ
光の剣閃がいさむに走る……
いさむ「はっ」
ギュガインッ
が、しかし、剣閃を回避しつつそのまま萌に斬り込むいさむ
萌「うおおおおお!!」
いさむ「ぬうう……」
ギリギリギリギリギリッ
萌「転移衝!」
ヴオムッ
空間転移
いさむ穿刃咬舞せんじんこうぶ」
ギュルンッ
すぐさま転移先を見切り、刺突を繰り出す
萌「ぬ……うううう……」
ザザザザッ
それを辛うじて回避する萌
いさむ「……萌殿……」
萌「あ?」
と、死合の最中で突如いさむが呟く
いさむ「迷いがあるでござるな……迷いのある剣では拙者には勝てんでござる」
萌(コイツも松子と同じようなコトを……)
萌「迷い!?ハッ……この俺が……迷っているだと!!?……ふざけたことをおお!!」
怒りに任せて剣を振るう……だが、その太刀筋は空を切る……
萌「……」
やはり、迷いを抱えたままの萌ではいさむには勝てない……のか!?


続

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