Eighter -Grand Harmonise-
27ther 〜過住かすみ宗家のヒミツ A〜



#0
過住攻太郎かすみ・こうたろう……祖父さんの遺産を受け取り、羅神綺無らじんきむ流を習得した漢……しかし、何故、神の流派として
伝説にしか出てこないような代物をその一族が受け継いできたのか……今回はそんな過住かすみ家の謎に迫る……

#1
天四斗あまよと過住かすみ家、攻太郎こうたろうの寝室
……ある日……攻太郎こうたろうはいつもと同じように寝ていた……と、そのとき……
*「……ろう」
過住攻太郎かすみ・こうたろう「……」
誰かが声をかける……
*「……た……ろう」
攻太郎こうたろう「……何だ……誰か……呼んでいる?」
*「起きんか、バカたれが!」
ドォンッ!!
そして……轟音が頭の中に鳴り響く
攻太郎こうたろう「うひょえああ!?」
ガバッ
突然の大音量に、思わず攻太郎こうたろうは飛び起きる
*「眼が覚めたか……攻太郎こうたろう攻太郎こうたろう「……あんたは……剣八郎けんやろうの……爺さん!?」
……そこにいたのは紛れも無く剣八郎けんやろうであった
攻太郎こうたろう「ってかここはどこだぁ!?」
更に、自分が今、いる場所が辺り一面真っ暗な世界で戸惑う……
過住剣八郎かすみ・けんやろう「……この世界であってこの世界では無い場所……いうなればお前の心象風景を具現化した世界」
攻太郎こうたろう「……じゃ、じゃあ……俺の心の中はお先真っ暗ってことかよ!?」
剣八郎けんやろう「……馬鹿者が……」
ここはお前の心象風景を具現化した世界……なれば、お前の心の持ち方次第で苦にも楽にもなる……と
剣八郎けんやろうは続ける……
攻太郎こうたろう「……?」
パアッ!
と、言うことは……と、ちょっと楽しかったことを想いだしてみたりすると突然辺りが明るくなる
攻太郎こうたろう「おおお!すげぇ……」
他にも心の持ち方次第ってなことで色々と世界を塗り替えてみる攻太郎こうたろう……
と、そんな馬鹿をやっていると、剣八郎けんやろうは更に続ける……
剣八郎けんやろう「……こんなことで時間を浪費しているヒマは無い……今日お前に逢いに来たのは他でもない。お前に
 過住かすみ宗家について話しておかねばならないからだ」
攻太郎こうたろう「はぁ!?……過住かすみ宗家!?」
剣八郎けんやろう「そうだ……そもそも我が過住かすみ家は直系の先祖が素盞嗚尊スサノオノミコトに当り……」
攻太郎こうたろう「ハッ!どこぞの侍少年じゃねえんだぞ」
いきなり話が大きくなりすぎ、思わず攻太郎こうたろうは突っ込む
剣八郎けんやろう「人の話を最後まで聞け!……この話は代々当主から当主へと伝えなくてはならぬもの……儂も
 当主から伝えられたのだ……」
攻太郎こうたろう「……は、はぁ……」
そう言われたら……とりあえず話を最後まで聞いてみることにする攻太郎こうたろうであった……

#2
そして……剣八郎けんやろうは語りだす……
剣八郎けんやろう「……過住かすみ宗家……我らが直系の先祖は素盞嗚尊スサノオノミコト……そして彼は、いや我々は代々陰轟留牡鴉アンゴルモアの
 監視、封印の役目を負っていた……」
攻太郎こうたろう「アンゴル・モア!?日本神話になぜノストラダムスの預言書が関わって来るんだよ」
剣八郎けんやろう「……いいから、つべこべ言わず最後まで聞かんか!」
思わず突っ込みを入れる攻太郎こうたろう……だが、剣八郎けんやろうは話を聞け!と叫ぶ
攻太郎こうたろう「……はいはい」
・
・・
・・・
剣八郎けんやろう陰轟留牡鴉アンゴルモアは神である……人は神を殺すことは出来ても、滅することは出来ん……故に、素盞嗚尊スサノオノミコト
 は未来永劫続くであろうこの闘いを……一族だけで背負うことに決めたのだ……」
そして……神から羅神綺無らじんきむ流を譲り受けたのだ……と続ける
攻太郎こうたろう(……あの技……そのために!?)
※Q:神を殺すことは出来ても滅することは出来ないのは何がどう違うのか?
 A:人は死ぬ=滅すであるが、神は基本死しても、いずれ、復活する。これが人と神との違い……
ちなみに、人は神を殺せても滅することは出来ない……これは定められた事実であり、真理である……
剣八郎けんやろう「……」
と、ここで、突然黙りこむ剣八郎けんやろう……
攻太郎こうたろう「???……どうしたんだよ……祖父さん……」
それを怪訝に思う攻太郎こうたろう……
剣八郎けんやろう「……だが……我ら、過住かすみ宗家の力は……今、急速に失われつつある……」
攻太郎こうたろう「はぁ……!?」
突然のカミングアウトに攻太郎こうたろうもビックリ……
剣八郎けんやろう「……そして、今……その力を受け継いでいる一族は……」
攻太郎こうたろう「……そんな一族が……いるのかよ!?」
剣八郎けんやろう「……」
再び沈黙の剣八郎けんやろう……
その一族は……いや、今を生きるその末裔は……世界をも動かす一族……流石にその名前を言うことを
躊躇ためら剣八郎けんやろう……
剣八郎けんやろう(……全ては我が先祖……過住龍刀かすみ・りゅうとうの責任か……正妻よりも、妾家を選んだ……その結果か
 ……)
……今、一族の力はその妾家の一族に伝わっている……と、剣八郎けんやろう
攻太郎こうたろう「おいおい……祖父さん……それじゃあ……」
剣八郎けんやろう「……」
慌てる攻太郎こうたろうを余所に剣八郎けんやろうは再び沈黙……
剣八郎けんやろう(……だからこそ……かんなは……陰轟留牡鴉アンゴルモアを退けることができた……)
※……つまり、白拍子一族に受け継がれているわけですね……ちなみに、余談ですが、龍刀りゅうとうが愛した妾家の
 白拍子家の人ってのは白拍子雪とか言うらしいです。
……直系の子孫たる攻太郎こうたろうには力が薄いと言うのか……だとしたら、それで、務まるのか!?陰轟留牡鴉アンゴルモアの
封印が……


続

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