Eighter -Grand Harmonise-
18ther 〜風魔は影に残りて A〜



#0
風魔の里……そこはいさむとその弟・おさむの故郷にも等しい場所……そんな風魔の里にかつてない危機が訪れて
いる……そう、風魔の棟梁3人衆のうち、1人が寝返り、雷魔なる外道忍軍を作りだしたのだ……かくて、
ここに、風魔存続のための戦争がはじまったのだが……なぜかそこへナゾの侍、神崎とおるがかけつて……
あっと言う間に雷魔十勇士を片づけてしまう……そして、雷魔の首領・風魔の離反者こと主馬留しゅめるが姿を現し、
いさむ主馬留しゅめると死合うことに……

#1
箱根、風魔の里・結界付近
四対主馬留よつい・しゅめる「ヒヒィハハア!!」
ゴバウッ
一気に間合いを侵食する主馬留しゅめる
風魔小太郎「なっ!?見えなっ……」
某敢それがし・いさむ「甘いでござる!」
ガギンッ
主馬留しゅめる「ヒッ!?」
左から迫る兇刃を神眼じんがんの力にて見極め、受けるいさむ
加藤段蔵たんぞう(……いさむ殿は……修行に出てから一段と強くなられた様子だな……)
一連の攻防を見て、風魔三大師範の2人は感嘆の声を上げる
※……と、言いますか、侍と忍びとなら、剣腕は侍の方が上じゃないとダメじゃないのか!?
ギリギリギリギリギリッ……
またしても、そのまま組み合う両者……と、そのとき……いさむを呼び掛ける声が……
主馬留しゅめる(……いさむ……いさむよ……)
いさむ(なっ……しゅ……馬留める殿!?)
その、いさむの頭の中に響く声は……紛れもなく正気の主馬留しゅめるのもの……
主馬留しゅめる(……強さを求めすぎた故に……闇に囚われた……・我が心……お主が……お主が……斬る
 のだ!!)
いさむ(しかし……主馬留しゅめる殿……)
主馬留しゅめる(何を躊躇う?……今のお主の眼には見えておるだろう……我が……邪悪の中枢が……我は最早
 自分で自分を止められぬ……)
……確かに……いさむ神眼じんがんには……主馬留しゅめるの心臓付近に渦巻く闇が見えている
いさむ(……主馬留しゅめる殿……)
……もともと話し合いなどで解決できない話だった……止めるためには、とおるが言っていたように……
息の根を止めるしかない……
主馬留しゅめる(お前に止められる……なら……我は……本も……)
そこで、いさむの頭の中に響く主馬留しゅめるは消え……再び語りかけることは無かった……
主馬留しゅめる「ガアアアアア!!!!」
ドゴギャアアアアッ
そして、突如猛り狂う主馬留しゅめる……岩をも砕く剛の剣それにより、いさむを弾き飛ばす主馬留しゅめる……だが、いさむもまた
瞬時に体勢を立て直す
いさむ「ぐぬぅ!?」
ザガガガッ
某收それがし・おさむ「恐るべき剛の剣でござる……」
つぅ……とおさむの頬を冷や汗が流れる

#2
いさむ主馬留しゅめる殿……御覚悟を……某敢それがし・いさむ……参る!!」
チキッ
覚悟を決め刺突の構えを取るいさむ
神崎とおる「……ようやくその気になったか……」
ジリジリジリ……
そのまま緊迫した……息の詰まる空気が辺りを支配し……
主馬留しゅめる「シャアアアアアアッ!!闇天入滅あんてんにゅうめつ」
ゴギャッ
先に動いたのは主馬留しゅめる……いさむの双方から黒きの刃が迫る。
いさむ烈貫咬舞れっかんこうぶ!」
ドッ
だが、主馬留しゅめるの技を回避し、刀を突き立てるいさむ……その刃は心臓を貫き、そのうえに衝撃波を喰らわせる
主馬留しゅめる「ぐおおあああああ!!!?」
主馬留しゅめるの咆哮とともに掻き消える黒き
……主馬留しゅめるを渦巻いていた邪悪ながまるで嘘のように書き消えていく……
おさむ「む……アレ……は!?」
主馬留しゅめるを貫き、体から飛び出したものは心臓ではなく、禍々しい黒き結晶であった……
ガクリッ……
主馬留しゅめる「……フッ……見事だな……いさむ……」
そのままいさむくずおれる主馬留しゅめる……
段蔵たんぞう「なんと!主馬留しゅめるが正気に戻った!?」
まさか正気に戻るとは……これには一行、びっくり……
おさむ主馬留しゅめる殿……何故……何故このようなことに!?」
主馬留しゅめるおさむか……フッ……全ては我が欲のため……我は……強さを求めすぎた……その結果として
 このように闇に心を奪われたのだ……」
いさむ主馬留しゅめる殿……」
サラサラッ
そして……主馬留しゅめるの体が崩壊していく
いさむおさむ主馬留しゅめる殿!?」
主馬留しゅめる「……いさむ……お前に止められて……私は本望だ……」
いさむ「何をおっしゃいます!?主馬留しゅめる殿!!」
主馬留しゅめる「……そして……おさむよ……風魔……三大師範……我の後は……お前が……お前が……」
おさむ「なっ……主馬留しゅめる殿!」
ボシュアアアアアアッ
そして、遂に主馬留しゅめるは消滅す……
いさむおさむ主馬留しゅめる殿ぉおおおお!!!!」
主馬留しゅめるを討ち取ったのがいさむであるのに対しておさむに後釜を継がせたのはいさむは忍びとしてではなく、侍として
 道を極めると踏んでのことである。
小太郎「終わったか……」
とおる「ふむ」
ちなみに、雷魔を作り上げた主馬留しゅめるが斃れた以上、雷魔も連鎖的に壊滅するのは眼に見えていた……事実、
主馬留しゅめるの消滅直後、雷魔の連中は瓦解し……風魔を離反したものは……バツが悪そうに風魔へと帰って
来た……
※ちなみにその風魔衆はなんだかコワいおしおきをされたとかされなかったとか……
いさむ「……」
主馬留しゅめるを狂わせたあの黒い結晶……アレは一体何なのか!?
※ここで終わり……に見えてもうちょっとだけ続きます……

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