Eighter -Grand Harmonise-
3rder 〜世にも奇妙な遺言 A〜



#0
これは……とある家の遺産相続の話……だが、その遺産は……変わっていた……
いや、ただ、変わっているだけならよかった……しかし、その遺産相続の……遺言は……まるで呪いの
様に遺族を死に追い詰めた……

#1
天四斗あまよと過住かすみ家
*「……亡くなったな……」
*「ああ……」
過住剣八郎かすみ・けんやろう……大往生……そして、親族は屋敷に集う……
*「で、遺産相続のことなんだがよ……」
*「何だ?貰えないことを心配してるのか?」
*「違ぇよバカ!1番の遺産を孫に渡すってな話だよ……」
一同「……そのこと……か」
みんながみんな、表情を険しくする……
一同「ざけんなよ!」
*「しかし……すでに遺言状に書かれているらしい……」
*「さらにアイツは人と同じコトが大嫌いという偏屈なヤロウだ……貰うに決まっている……」
*「くそっ……何とかならねぇのかよ……」
一体、一行は何が欲しいのか!?……親族連中が話し合っていると……ブレーキの音が聞こえる
キキ〜〜〜ッ
バタムッ
ヅカヅカヅカ
*「……来たぜぇ……弁護士、柿菜りずえのお出ましだ……」
・
・・
・・・
弁護士も参上したことで、一同は座敷に集まる……
柿菜りずえ「え〜〜、では、コレより、故過住剣八郎かすみ・けんやろう氏の遺産相続をはじめたいと思い……」
*「おい、女、能書きはいい、メインディッシュを出しな」
いきなり出鼻をくじかれるりずえ……しかし、ここでくじけていても仕方がない……早速遺言状を取り出し
読み上げる
りずえ「……オホン……息子、大志郎には我が過住かすみ家の土地を、その妻、水面氏には我が過住かすみ家の家を譲る
 ……とあります」
過住かすみ大志郎「なっ!何だと!?土地だけ!?この土地に家を建てるにゃいちいちコイツの許可がいるのかよ!?」
過住かすみ水面「冗談じゃない!!家だけですって!?この土地を売りたい場合は夫の了承が必要だっての!?」
突如、夫婦は立ち上がって叫びだす……あの、夫婦仲がよろしくないのですか!?とりずえはぽかんとする
りずえ「ま、まぁまぁ、遺言状にそう書いてあるんですし、夫婦なんですから……問題ないでしょう……」
大志郎、水面「ああ、夫婦円満だったら……なッ!!!」
バチバチバチっと火花を散らす夫婦
※……何だ!?この夫婦!?
一同「……」
ん〜〜〜っとそのまま夫婦がメンチ斬っているので……どうしたものか……と思っていると、親族の1人が
とっとと続けろ!と怒鳴り立てるので、りずえは気を取り直して、遺言状の続きを読むことに……

#2
りずえ「……つ、次に進みます……え〜〜、息子壱號鬼いちごうきには過住かすみ家の第1倉庫を、弐號鬼にごうきには第2倉庫、
 参號鬼さんごうきには第3倉庫を譲る……」
過住壱號鬼かすみ・いちごうき「第1倉庫……?……おっし!日本の名刀、宝剣セットゲットだ!」
過住弐號鬼かすみ・にごうき「第2倉庫……?……おっし!中世ヨーロッパの名刀、宝剣セットゲットだ!」
過住参號鬼かすみ・さんごうき「第3倉庫……?……おっし!アニメ、漫画の世界の名刀、宝剣セットゲットだ!」
参號鬼さんごうきの遺産はどこから入手した!?……物凄く謎だな……はっ!?ひょっとしてレプリカ!?……
 いや、しかしなぁ……そんなの貰っても……
そして、りずえは更に遺言状を読み上げるのだが……若干首をかしげながら次の句を読む
りずえ「次に参ります。……勘当息子のクソ殉一じゅんいちにはチェルノブイリ跡を、その愛人、どこの馬の骨か分からん
 早女狐さめこにはスリーマイル諸島を与える……」
過住殉一かすみ・じゅんいち、中村早女狐さめこ「ちょ、待てや遺産の内容も無いようだけど、何だ!?その暴言!?」
りずえ「ですが、遺言状にしっかりと暴言まで書かれているのです。本来ならば名前のあとに暴言が数行ある
 のですが……割愛させていただきました」
※遺言状にンなこと書いて大丈夫なのか!?
殉一じゅんいち「何が割愛させていただきましただ!?」
早女狐さめこ「ええ、冗談じゃないわ!」
殉一じゅんいち夫婦が立ち上がる……と、同時に大志郎が叫ぶ
大志郎「ハン、勘当息子やその愛人にまで遺産が分配されるんだ、ありがたく受け取りな」
※ってかどうやってチェルノブイリ跡とスリーマイル諸島を手に入れたんだ!?
殉一じゅんいち「ふざけんな!!」
早女狐さめこ「ええ、抗議したいくらいだわ!!」
すくっ
突如大志郎、立つ……
殉一じゅんいち「うん?」
そのまま殉一じゅんいち早女狐さめこの前に立ち
大志郎「だったら遠慮はいらん、親父の元に直訴しに逝きな!」
ダアンッ
ガウンッ
リボルバーが火を吹く!
※殺人だぁ!!!
りずえ「ひっ……」
パチンッ
指を鳴らすと大志郎お抱えの黒服ズがやってくる
大志郎「始末は頼んだ」
黒服「ハッ」
……すぐさま殉一じゅんいち早女狐さめこの死体が運び出される
りずえ(な……何なの!?この家……おかしいわ!!遺言状も遺言状だし……一体……どうなっている
 のよおお!!?)
当然の反応といえば当然の反応だ……
じっ
*「うん!?何だ!?」
一同、残った一人の漢に目が行く……
*「……俺には……?」
りずえ「……え?……あ、はい。ええとですね……」
果たして……彼には何が遺されたのか!?
……それこそが、親族がこぞって欲しがっていたものなのか!?


続

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