Eighter -Extra Voyage-
77ther 〜中華双虎拳(そうこけん)鉄の掟 B〜



#3
毛嘉得(かえる)「我ら二人はこの日のために、コンビネーションを極めてきた!」
毛捺禰(おすね)「それが双虎拳(そうこけん)双撃虎掌(そうげきこしょう)よ!」
※いや、こんな日が来ると予見していたってお前ら絶対おかしいから
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「ケッ、塩コショウだか知恵コショウだか知らねぇが、二人掛かりじゃねぇとロクに死合もできねぇヤ
ロウに遅れをとると思ったら大間違いだぞ!」
 そんな梶太郎(かぢだろう)の暴言にむっとする二人。
嘉得(かえる)捺禰(おすね)「ならば死ね!極彩虎襲(ごくさいこしゅう)!」
梶太郎(かぢだろう)「そっちがなッ!極彩虎襲(ごくさいこしゅう)!」
 ドゴガガガガガガガッ
 左右から縦横無尽に迫る拳打の嵐を、辛うじて左右の拳で応戦してみせる梶太郎(かぢだろう)嘉得(かえる)捺禰(おすね)「ハアッ!」
 ゴドンッ
梶太郎(かぢだろう)「ゲフッ!?」
 しかし、二人を相手に本調子ではない梶太郎(かぢだろう)が張り合うのは流石に無理があった。拳を捌き切れなくなったとこ
ろに容赦のない拳が叩き込まれ吹き飛ばされる梶太郎(かぢだろう)
嘉得(かえる)「無様だな、日本の双虎拳(そうこけん)……」
捺禰(おすね)「コンビネーションを極めた俺たちに一人で挑んだ愚かさを悔いて死ね!」
 いや、双虎拳(そうこけん)は一対一の死合が絶対とか言ってただろうが!だから、それを忠実に守ってきた梶太郎(かぢだろう)にコンビを
組んで挑むなんて発想がねぇよ!
※ちなみに、與鷹(よたか)とコンビを組んで(?)死合ったことがあったけど、あれは他流とのコンビだったのでノーカン
 です。
梶太郎(かぢだろう)「な、なめんなよ、てめぇら!」
嘉得(かえる)「ほぅ、まだ立ち上がるとは見上げた根性だ」
捺禰(おすね)「だが、強がりもそこまでだ!次で殺す!」
梶太郎(かぢだろう)「次で殺す!?……ハッ!最初から殺す気で来やがれってんだ!ボケナス!」
 吠える梶太郎(かぢだろう)。しかし、そんな暴言にますます二人はキれた!
嘉得(かえる)捺禰(おすね)「死ねッ!無彩双虎襲(むさいそうこしゅう)」
 目だ!耳だ!鼻だ!とでも言わんばかりに双方から五感を潰しにかかり、そののちに拳打の嵐を見舞う二人
梶太郎(かぢだろう)金鯱流楼(きんこるろう)!」
 すすすすすっ
嘉得(かえる)捺禰(おすね)「な、なんだと!?」
 流れる水の如く、優雅に、華麗に二人の拳を回避すると、カウンターとばかりに拳をお返しする梶太郎(かぢだろう)
嘉得(かえる)捺禰(おすね)「へぶあぅ!?」
 梶太郎(かぢだろう)の言葉に乗せられ、逆上していたのもあるが、それ以上に二人で襲い掛かっているんだから楽勝なんて心
の片隅で思っていたのが敗因だったのだろう。
 毛嘉得(かえる)、毛捺禰(おすね)の二人、ここに散る!

#4
 パチパチパチパチ
梶太郎(かぢだろう)「あぁ!?なんだ!?」
 気が付くと、どこからか拍手が聞こえた。
 音の鳴る方を見ると、そこには一人の漢が立っていた。
 毛嘉得(かえる)、毛捺禰(おすね)の二人にそっくりな顔の持主……いや、それ以上に毛沢東にそっくりと言うべきか……言わずも
がなだが、こいつも毛沢東のクローンの一人。名を毛厳解(げんかい)という。
梶太郎(かぢだろう)「てめぇは!?」
毛厳解(げんかい)「私は毛厳解(げんかい)……」
梶太郎(かぢだろう)「貴様も双虎拳(そうこけん)の使い手で、俺に勝負を挑むってワケか!?」
厳解(げんかい)「ええ、ご明察の通りです。そして、疲弊している貴方を相手にするのは赤子の手をひねるようなモノ!」
梶太郎(かぢだろう)「貴様、卑怯だぞ!」
 そのために奴は一部始終を観察していたのだろう
厳解(げんかい)「勝つためには手段を択ばない漢……それが毛沢東だ!」
 いや、お前毛沢東を馬鹿にしてるだろ!
厳解(げんかい)「だが、私も鬼ではない。お前が日本は中国に敗北しましたと世界に向かって宣言するならばこの場は許して
やろう」
梶太郎(かぢだろう)巫山戯(ふざけ)るなよ!」
 第一、そんなことを個人が呟いても誰も真に受けないと思うんだが……
厳解(げんかい)「ならば、死ね!翠虎弾(すいこだん)!」
梶太郎(かぢだろう)「うおおおっ!」
 尋常じゃない殺気とともに繰り出される三連拳に危機を感じた梶太郎(かぢだろう)はすぐさま後ろに飛び退る
厳解(げんかい)「ほぉう、今の一撃を回避するとは賢明な判断だ……」
 肝臓、腎臓、みぞおちの三つの部位を破壊する拳打を放ったのだからな!などと豪語する厳解(げんかい)梶太郎(かぢだろう)「こいつ……」
 なお、肝臓、腎臓、みぞおちというのは人的急所であり、クリティカルヒットを食らえば致命傷になる部位のこ
とである。
厳解(げんかい)「私は急所を突くことを第一に双虎拳(そうこけん)を磨き、遂には暗殺拳にまで昇華させた!これが双虎拳(そうこけん)人滅虎掌(じんめつこしょう)よ」
梶太郎(かぢだろう)「危険過ぎんだろ!」
厳解(げんかい)「さぁ!死ね!紅虎爪(こうこそう)!」
 ゴガアッ
 続いて頸椎に渾身のチョップを食らわせにかかる厳解(げんかい)。当然頸椎には運動神経の束があり、これが斬られれば即
死である。
梶太郎(かぢだろう)「う、うおおおっ!黄虎蹄(おうこてい)!」
 ガッドスッ
 迫る魔手を受け止めては腹目掛けて拳打を放つも、厳解(げんかい)は軽くそれを回避する。
梶太郎(かぢだろう)(クソッ、コイツ殺意が高すぎる!)
 正に命がけの死闘!制するのはどっちだ!?


続

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