Eighter -Extra Voyage-
77ther 〜中華双虎拳(そうこけん)鉄の掟 C〜



#5
毛厳解(げんかい)「ハッ!白虎噛(びゃっこごう)!」
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「うおおっ!翠虎弾(すいこだん)!」
 ガシッゴガガッ
 肩目掛けて刳りにかかる厳解(げんかい)の拳を受け止めては腹に三回の拳打をお返しする梶太郎(かぢだろう)。
 しかし、軽々と避けて見せる厳解(げんかい)梶太郎(かぢだろう)「チッ」
厳解(げんかい)黒虎咬(こっこきょう)!」
 ドンッ
 続いて心臓を刳り取る一撃を繰り出す厳解(げんかい)だが、それも寸でのところで受け止める梶太郎(かぢだろう)
梶太郎(かぢだろう)「なめるなよッ!」
厳解(げんかい)「フム……まさか、急所を狙った一撃が全て止められるとは……さては、貴様も急所を狙うのを特訓していた
な!」
梶太郎(かぢだろう)「ンなワケあるか、ボケ!」
※ってか、よく考えたら肩を狙うだの首を狙うだの、心臓を狙うだの、双虎拳(そうこけん)ってもともと急所を狙う技が多いな
梶太郎(かぢだろう)「てめぇが急所を狙うってんなら、目標が分かりきってるってこった!」
 だから、あとはそれを寸でのところで止めるのみ!
厳解(げんかい)「なるほど……急所ばかりを狙い拳を磨いてきたことが仇になったというわけですか……」
 そう呟いて一旦距離をとる厳解(げんかい)
厳解(げんかい)「では、人体急所の破壊を極めし究極奥義を見せてお別れとしましょう」
 今まで以上に殺気が迸る
梶太郎(かぢだろう)(次で決めるってことか……だったら、こっちとしても望むところだぜ!)
厳解(げんかい)金虎堕宦撃(きんこだかんげき)!」
 掬い上げるかの如く拳打で狙うは金的!
梶太郎(かぢだろう)「だろうなッ!てめぇのことだから、そうくると思っていたぜ、おらぁッ!」
 金的に迫る腕を掴みドヤ顔の梶太郎(かぢだろう)。そして、そのまま拳打の嵐を見舞う
厳解(げんかい)「ほげはぁ!?」
梶太郎(かぢだろう)「安心しろ、峰打ちだ!」
※いや、拳の峰打ちはただの裏拳って某魔族が言ってましたよ。
梶太郎(かぢだろう)「はぁはぁ……どうやらもう襲ってくる奴はいねぇみたいだな……」
 しかし、それは今日のところは……という限定的な条件付きだ。

 翌日も梶太郎(かぢだろう)は自分を尾行する謎の存在の気配に気づいて、昨日と同じく人気のない場所へと誘い込む
梶太郎(かぢだろう)「はぁ、今日もかよ……」
 げんなりする梶太郎(かぢだろう)をよそに、嬉々として現れたるは……
*「アタイは毛嗣鸞(しらん)!」
梶太郎(かぢだろう)「お、女ぁ!?」
 しかも、顔は毛沢東そっくりなのに、ボディは巨乳美女という雑なコラもびっくりな存在がそこにいた。

#6
 こんなのが自分のクローンだって知ったら毛沢東も草葉の陰で泣いているだろう。
※と、言うか、毛沢東のクローンたちの名前が揃いも揃っておかしい。本当に毛沢東の再来を作る気があるのだろ
 うか?と、疑問が出てくる。
梶太郎(かぢだろう)「な、なんで女が!?」
毛嗣鸞(しらん)「昨今、戦国武将を女性にして描くというブームが到来しているでしょう?」
 いや、そんなブームは知らんが……
嗣鸞(しらん)「アタイもその流れに乗って毛沢東が女だったらどうなったか?を検証するべく作られし存在なのよ!」
梶太郎(かぢだろう)「だとしても、もっとこう、なんかあんだろ……」
 毛沢東の首に女性の体をやっつけでくっつけたとしか思えないこの惨状は何なんだ……
嗣鸞(しらん)「女だからって甘く見ると痛い目に合うわよ?」
梶太郎(かぢだろう)「寧ろ、今精神的に痛い目に合ってる気分なんだが……」
 目の毒……
嗣鸞(しらん)「ハッ!虎伏絶掌(こふくぜっしょう)!」
梶太郎(かぢだろう)「チッ、虎伏絶掌(こふくぜっしょう)!」
 だが、遊んでいる場合でもないと気を引き締めて死合に集中する梶太郎(かぢだろう)
嗣鸞(しらん)梶太郎(かぢだろう)極彩虎襲(ごくさいこしゅう)!」
 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
 双方互いに拳打の嵐をぶつける
梶太郎(かぢだろう)「ぬっ!?」
 今までの三人よりも、嗣鸞(しらん)の方が手ごわい。梶太郎(かぢだろう)は直感的にそれを察知した。
※つまり、コンビを組むだの人的急所を破壊するだのを極める前にまずは普通に双虎拳(そうこけん)を修練しろってことだな
嗣鸞(しらん)「どうしたどうした?!やっぱ女だと思って甘くみてたのかい!?ハッ!とんだお笑い種だねぇ……アタイを
バカにするんじゃないよっ!」
 ガドッゴゴゴッ
梶太郎(かぢだろう)「くっ……」
 言うだけあって強い……と、言うか女とは思えない重さの拳である。
梶太郎(かぢだろう)(まだ本調子には程遠いが、早々にケリをつけるしかなさそうだな……)
梶太郎(かぢだろう)「おおお!白虎堕天(びゃっこだてん)!」
嗣鸞(しらん)「ハッ!白虎堕天(びゃっこだてん)!」
 ガドゴオオンッ
 違いに肩から心臓にかけて刳り取りにかかり、そのまま心臓を刳り取ろうろするも、互いに止められる
梶太郎(かぢだろう)「うおお!」
嗣鸞(しらん)「はあっ!」
 そのまま取っ組み合い、微動だにしない両雄
梶太郎(かぢだろう)(互角かッ)
嗣鸞(しらん)「少しはやるようじゃないか……でも、まだまだアタイには遠く及ばないねぇ!」
梶太郎(かぢだろう)「だったら、貴様の双虎拳(そうこけん)を見せてみろよ!」
嗣鸞(しらん)「いいさ、アタイの双虎拳(そうこけん)、たっぷりを見せてやるよ!」
 果たして、この勝負、どちらが勝つのか!?


続

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