Eighter -Extra Voyage-
77ther 〜中華双虎拳(そうこけん)鉄の掟 A〜



#0
 これは中国における双虎拳(そうこけん)の一派の話である。
 そして、日本にいる双虎拳(そうこけん)の使い手、化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)にとってもそれは無関係ではない!
 と、言うわけで(どういうわけだ?)今回はそんな双虎拳(そうこけん)に纏わるエネミーゼロ
※エ『ネミ』ー『ゼロ』じゃなく、エ『ピソ』ー『ド』……どこぞの悪の首領ですか!?

#1
 中国某所
 そこに集いし人物は奇妙なことに年齢は違えど、みな、同じような風貌をしていた。
 更にもう一つ奇妙なことに、一行と同じ顔の遺影が一つ、飾ってあるのだ。
 その遺影とはあまりにも有名な人物のモノだった。そう、毛沢東である!
 ここまでくればお分かりかもしれないが、ここに集いし一行は毛沢東再誕計画により作られし百人のクローンな
のである。
※クローンとはいえ、全員が同じ年齢じゃないってことね。
*「今日集まってもらったのは他でもない……毛沢桟(たくさん)の子、毛桔彊(けっこう)が倒された」
*「フン、所詮奴はクローンの子供。そこまでの漢だったというわけよ」
*「まぁ、確かにな……だが、奴を倒したのは日本の双虎拳(そうこけん)の使い手だったという」
一同「何だと!?」
*「我らはいずれ毛沢東として復活する身であるが、それ以前に双虎拳(そうこけん)の使い手である!」
 つまり、日本に負けたままでは中国の双虎拳(そうこけん)の沽券にかかかわるということだ。双虎拳(そうこけん)だけに
※駄洒落かよ!
*「同志よ、蹶起(けっき)せよ!双虎拳(そうこけん)と中国四千年の歴史を日本に刻み付けるのだ!」
一同「オオ!」
 こうして、梶太郎(かぢだろう)のあずかり知らぬところで騒動の幕は上がったのだった。

 それから数日後、天四斗(あまよと)某所にて……
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「はぁ、さっきからなんだ、俺のあとをつけて……俺になんか用でもあんのか?」
 その日、梶太郎(かぢだろう)は朝から自分を尾行する何者かに気づいていた。しかし、ずっと尾行するだけで何もしてこない
のは逆に不気味であったため、人気のない場所へと誘い込んでは問いかけてみるのであった
*「フッ、流石に気づいていたか……」
*「ならばッ!」
 そうして、二人の漢が躍り出る。
梶太郎(かぢだろう)「貴様らは何なんだ!?」
*「毛嘉得(かえる)!」
*「毛捺禰(おすね)!」
 それが二人の名である。そして、この二人は言うまでもなく毛沢東のクローンであった。

#2
毛嘉得(かえる)「貴様が双虎拳(そうこけん)の使い手だな!」
毛捺禰(おすね)「で、あれば、我らと勝負をしろッ!」
梶太郎(かぢだろう)「なるほど、てめぇらは中国の双虎拳(そうこけん)の使い手ってワケか」
 ここで梶太郎(かぢだろう)はピンときた。
 いつぞや倒した毛沢東のクローンの子供の敵討ちみたいなものなんだろうと
 であれば、修行相手としては丁度いい相手だとすら考える梶太郎(かぢだろう)であった
梶太郎(かぢだろう)「いいぜ、来いよ!……で、どっちが先に相手になるんだ!?」
嘉得(かえる)「フッ、双虎拳(そうこけん)の死合は一対一で行うが絶対……」
捺禰(おすね)「だが、それは相手が同じ国の人間の場合に限るッ!」
※そんな無茶苦茶な理論あります!?
梶太郎(かぢだろう)「何!?」
嘉得(かえる)捺禰(おすね)「他国からの侵略には一切妥協しないッ!それが双虎拳(そうこけん)ッ!」
 叫ぶと同時に飛び掛かってくる二人。
嘉得(かえる)捺禰(おすね)「ハオッ!白虎噛(びゃっこごう)!」
 ゴガアッ
 左右から迫りつつ、それぞれ肩から心臓に刳りにかかる拳を放つ二人
梶太郎(かぢだろう)「うおおっ!蒼虎薙(そうこてい)!」
 対して梶太郎(かぢだろう)は左右の拳を薙ぎ払うように振るい迫る二人を吹き飛ばす
嘉得(かえる)「ぐっ……」
捺禰(おすね)「やるな!」
 だが、双虎拳(そうこけん)の神髄はこんなものではない!と吠える二人
嘉得(かえる)捺禰(おすね)虎伏絶掌(こふくぜっしょう)!」
梶太郎(かぢだろう)虎伏絶掌(こふくぜっしょう)!」
 当然虎伏絶掌(こふくぜっしょう)を使うならばこちらも虎伏絶掌(こふくぜっしょう)を使うまでである。
嘉得(かえる)捺禰(おすね)黒虎咬(こっこきょう)!」
 再び左右から心臓を刳り取りにかかる二人だが、鏡写しのように技を放つため、片方の狙いは心臓ではなくなっ
てしまう。
梶太郎(かぢだろう)翠虎弾(すいこだん)!」
 ガゴガッ
 瞬時に三回の拳打を放って応戦する梶太郎(かぢだろう)梶太郎(かぢだろう)「チッ、てめぇら……」
 相手が虎伏絶掌(こふくぜっしょう)でパワーアップしていることと、梶太郎(かぢだろう)の方が不完全でイキナリフルスロットルでいけないこと
も相まっているとは思うが、それ以上の力に苦戦を強いられる梶太郎(かぢだろう)
嘉得(かえる)「フッ、日本の双虎拳(そうこけん)、恐るるに足らず!」
捺禰(おすね)「これが我らがコンビネーション!」
梶太郎(かぢだろう)「コンビネーションだぁ!?」
 先ほど、双虎拳(そうこけん)の死合は一対一が絶対とか言っておきながら、コンビを組む研鑽を積むのは明らかにおかしい。
 こいつらは他国との闘いを想定して修業をしてきたのだろうか?
嘉得(かえる)捺禰(おすね)「さぁ!砕け散るがいい!」
 果たして、梶太郎(かぢだろう)はこの二人を倒すことができるのか!?


続

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