Eighter -Extra Voyage-
69ther 〜続極世界の中心で〜
#0
日足(孝一……三次元に興味がなく、そして、親泣かせにも程がある社会不適合者……今は悠々とアン
ドロイドと暮らしているのだが……そして、これは、そんな孝一の、近況の極みを綴ったエンキドゥ
※ぜんぜん違ぇよ!『エ』しかあってねぇよ!
#1
SHIL(……そこはアンドロイド研究開発の最先端にして最高峰である。
そして、アンドロイド開発を極めんとするKi・Chi・Guyのトップランカーとして他の追随を許さない御仁が言う
までもなく日足(孝一だ
※いや、そんなトップランカーは嫌すぎる。
日足(孝一「クッ、なんたる不覚ッ!」
その日、孝一は後悔していた。悔やんでも悔やみきれないと言った感じだ。
何故彼が悔やんでいるのか……それは勿論MacroSoft社のOSのことである。Losedows 10発売!いつもならば嬉々
として新しいカスタムOSドールを作成するところだが、しかし、今回は違ったのだ。
作りたくても作れない……それが最大の後悔だ。
紫外五廢子(「何をそんなに悔やんでいるんだ?……弟一位主人格(」
江楠曾子(「まさか、次世代OS(の開発に失敗したとでも?!」
孝一「違うッ!」
黒櫛ななこ「ふぇぇ……」
孝一の気迫に思わず気圧され、泣きそうになるななこ
※いや、アンタは最初から泣きそうな顔だったはずだ
轉婆(八重「では一体?!」
孝一「コアパーツがないんだ!これは、日足(孝一一生の不覚ッ!」
一同「コアパーツ!?」
そう、彼がこれまで作成してきたカスタムOSドールに絶対必要なモノ……それがないのだ。
正確には轉婆(八重を作った時に使い切ってしまったと言うのが正しい。
曾子(「ないなら買えばいいのでは?」
孝一「いや、アレは市場に出回っているようなモノではないのだ……」
ふるふると首を横に振りながら孝一が叫ぶ
八重「じゃあ、作ればいいのでは?」
孝一「それができたら苦労はせんわ!」
一体そのコアパーツとは何なんだろう?とカスタムOSドール四人は首を傾げるのであった。
と、言うか、自分たちの中にそんなものがあるなんて初めて知ったほどである。
孝一「止むを得ん……この手だけは使いたくなかったのだが、仕方あるまい……」
やがて、壮絶な覚悟をした孝一は一つの解決策を執り行おうとする。
孝一「曾子(ッ!」
曾子(「は、はひ!?」
ガシっと彼女の両肩を掴んで、孝一はこう告げる。
孝一「次世代OS(のために死んでくれ!」
曾子(「え、嫌ですよ」
#2
そう、孝一が苦肉の策として考え出したのは一番古株のカスタムOSドールを解体して新しいカスタムOSドールに
転用するというモノだ。
だが、たとえ創造主の命令であっても、それだけは聞き届けるわけにはいかない!
ならば、五廢子(とかななこ、八重に振ってみるも当然拒否だ。
※カスタムOSドールだって生きて(?)いるんだもの。当然だ
孝一「クッ、万策尽きたか……」
愕然とする孝一。と、言うか、何がそこまで彼を突き動かすのだろうか……
ななこ「でも、そこまで急いで作る必要ってあるんでしょうかね?」
孝一「馬ッ鹿野郎、新たなOSが出たらすぐカスタムOSドールを作る。これはこの業界の常識だろうが!」
いや、そんなお前しかいなさそうな業界の常識は知らんけど……
孝一「クッ、どうする……コアパーツなしでカスタムOSドールを作っても意味がない……」
ぶつぶつ呟きながらうろうろしだす孝一。挙動不審にもほどがある。
一同「……」
そして、そんな孝一をただ見守ることしかできないカスタムOSドールたちであった
だが、しかし、そんな折、突如として救いの手が差し伸べられる。
SHIL(所長、瀬戸際正朔が登場し、念願のコアパーツが提供されたのだ。
孝一「お、おおッ!」
感極まって思わず涙を流す孝一。
コアパーツとは、生産性を度外視して作る試作機のための重要な部品である。
孝一はこれまでの数々の功績(?)を称えられて瀬戸際博士から提供してもらえたのだ。
そして、ここからが肝心なのだが、そのコアパーツとは、どこからどう見てもカオスプレートであった。孝一は
一体どこからカオスプレートを手に入れたのか、今となってはそれが最大の謎である。
なお、アンドロイドのコアパーツにカオスプレートが使用されているなどど分かれば天蓋の徒がすっ飛んできて
カオスプレートを回収しそうなものだが、あくまで個人で楽しむ分には問題がないということらしい。
※いや、個人で楽しむってなんだよ……
つまり、SHIL(が世界に流通させているアンドロイドにはカオスプレートが入っていないということである。
瀬戸際博士にとってもカオスプレートを搭載したアンドロイドは手放したくはないと言ったところだろう。
孝一「コレで俺は最高のカスタムOSドールを作って見せる!」
かくて、無駄に気合を入れて、孝一はカスタムOSドールの製作にとりかかるのであった。
#3
孝一「出来たぞぉ〜〜!」
孝一の雄たけびを聞いて、カスタムOSドール達は声のした方へと向かう。
曾子(「では、それが、次世代OS(!?」
ベッドの上に横たわる少女……ソレが狂気のKi・Chi・Guy、孝一が開発した新たなるカスタムOSドール!
その名も……
孝一「閾値(十華ッ!」
これぞLosedows 10をベースにした最高にして最大最後のカスタムOSドールと力説する孝一
八重「閾値(十華……彼女には一体どんな能力が!?」
ここまでくるとワクワクしてくる八重であった。
孝一「よし!十華!見せてやれ!お前の真価を!」
閾値(十華「はい」
カポッ
一同「ずえええ!?」
突如自分で自分の頭を外して見せる十華。
何をトチ狂ったのかと他のカスタムOSドールが慌てる中、十華は続ける。
十華「これが私の最大の特徴……すなわち、コンパクトにして持ち運びが可能」
一同「絶対心臓(に悪いッ!」
※カスタムOSドールの心臓 = CPUて……鼓動はクロックか……
確かにLosedows 10が搭載されたノートPCの中にはディスプレイ部分を分離させてあたかもスマホのように扱う
ことができる代物もある。
それをアンドロイドで再現したのが頭を取り外せる仕様というのは、悪ふざけが過ぎてないだろうか?
まぁ、本人が満足しているならそれでいいのかもしれんが……
さておき、Losedowsシリーズはこれが最後と言われている以上、今後孝一が新たにカスタムOSドールを作ること
はないのかもしれないが……しかし、彼の狂気は収まらないであろう
※嫌すぎる終り方……
END
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