Eighter -Extra Voyage-
70ther 〜蒼き刃が煌めく時 A〜



#0
 (かみ)総介、彼は世界でただ一人の特殊警察、SRAPである。
 まぁ、そんなことはおいといて、今回はそんな総介が新たなる力を求めるエンキドゥドゥ
※ぜんぜん違ぇよ!『エ』しかあってねぇよ!

#1
 それは、総介がシレントワイザードの前に完全敗北を喫した直後の話である。
(かみ)総介「これは早急に手を打つ必要があるな……」
 奴が鬥址偶襾(ツァトゥグア)を封殺するというのならば、それに対抗するための力が必要だ。
総介「行くぞ、山咲(やまざき)山咲(やまざき)桜「はい。警部」
 まず総介が向かったのは京都。
 そこには鍛冶界にその人ありと謳われた稀代の刀鍛冶が店を構えている。その店の名は金枝業物店!そして、刀
鍛冶の名は金切(しょう)!
総介「邪魔するぜ……」
 しかし、返事がない。
桜「休日なのでしょうか?」
総介「いや、そうではあるまい」
 店の中から返事がしないだけで、人の気配はある。総介はズカズカと我が物顔で店の中へと足を運ぶ。
 金切(しょう)は店の奥にいた。集中して刀の製作を行っているため、客人に気づいていないだけのようだった。
桜「警部……」
総介「構わん」
 邪魔をするのも気が引ける。奴の気が済むまで作業を行わせようと総介は考えた。
 いわゆる三顧の礼というヤツだ。
※いや、アンタ、ここ訪れたの一回目ですけど
 そして、無事に刀を一振り鍛え上げたところで総介に気づく(しょう)
金切(しょう)「はっ!?」
 これはお恥ずかしい限りと、(しょう)は刀を置いてから総介の話を聞く
総介「刀を一振り……いや、二振り打ってほしい」
(しょう)「二振り……ですか……」
 なぜ買わないのか……それは総介が自分の手になじんだモノを使いたいからである。
 しかし、日本刀を鍛造するというのは時間がかかるモノであり、一朝一夕にできるものではない。
 だが、名のある西洋剣をベースに日本刀に打ち直すのであれば、その限りではない。とはいえ、総介は生憎西洋
剣の持ち合わせはない。
 で、あるならば、やはり時間をかけてじっくり鍛造してもらうか、出来合いの刀を買うかの二択しかないのだが
シレントワイザードとの死合を考えるとそれでは心許ない。
 ではどうするか……
総介「行くぞ、山咲(やまざき)」
桜「はい、警部」
 既に総介の中で答えは出ていた。

#2
 次に総介が訪れたのは歴史の墓場であった。
 向かった先は八大帝国が一つ、テーレノ。そこは八大帝国随一の鉱山都市である。
 鉱山都市であるということは鍛冶が栄えているということでもある。つまり、総介が求めるものもそこにある…
…かもしれない。
※断言できないのかよ!
 とある鍛冶屋に足を運んだ時、総介は店の真ん中にまるでエクスカリバーもかくやといった感じで地面の台座に
突き刺さる大剣があった。
総介「こいつは……」
*「お客さん、目ざといねぇ」
 いや、目立つ位置にあるんだから、眼に入らない方がおかしいのだが……
*「その剣はドラグルイン、太古の昔に作られし剣にして、今まで誰にも抜くことができなかった訳ありの剣よ」
総介「ほぉう」
 そんなことを言われるとちょっとだけ興味がわいてくる総介であった
*「お客さんも試してみるつもりですかい?」
 無駄だと思いますがねぇ……もし、仮にそいつを抜くことができたら、お客さんにあげてもいいですよと笑いな
がらそんなことを言いだす漢。
総介「……」
 ぐぐぐっ、ぎぎぎっ
 大した自信だなと、内心思いながら総介は大剣に手をかける。
 しかし、左右に動かすことはできるのだが、抜くことはできなかった。
*「ほうら、ね?」
総介(この動きは、明らかに円運動だ……)
 この大剣が抜けない理由を悟る総介。だが、打開策はない……
 そんな中、桜がしぃっと大剣を見つめている。
桜「警部、私が試してみてもいいでしょうか?」
総介「お前が?」
*「ハッ、女子供にソレが抜けるわけねぇだろ!」
 漢も小馬鹿にした態度で桜を嘲笑う。
桜「この剣、抜くことができれば、もらえるんでしたよね?」
*「出来るものならな」
桜「確かに聞きましたよ……」
 ぴぴぴぴっ、がちゃっ
 するりっ
*「はぁああッ!?」
 いとも簡単に大剣を抜いて見せる桜。
桜「では、これは貰っていきます」
*「なっ、ちょ、待てッ!……いや、そんな馬鹿なッ!」
総介「行くぞ、山咲(やまざき)」
桜「はい、警部」
 唖然とする漢を放置して、桜は総介とともに店を去るのであった。


続

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