Eighter -Extra Voyage-
67ther 〜過ぎた世界の迷子 A〜



#0
 これは、とある記憶喪失の漢のエアリアル
※エ『アリアル』じゃなくエ『ピソード』だから!……『エ』しかあってねぇし!ロマサガ3の敵かよッ!(いや
 そこは風の精霊って言ってあげて)

#1
 東京、某所
*「うっ、ここは……どこだ!?……俺は、一体……?!」
 辺りを見渡すが全く心当たりがない……そもそも、俺は一体誰なんだ?
*「ぐっ……」
 ズキズキと痛む頭を抑えつつ、漢は立ち上がる
*「い、行かねば……」
 ふらふらと覚束無(おぼつかな)い足取りのまま、漢はその場を後にする。
 しかし、疲労困憊な状態での移動は困難だった……人通りが少なくはないであろうという道までたどり着いたと
ころで力尽きてその場に倒れこむ漢
*「お、おい、人が倒れてるぞ!」
*「こうしちゃいられないわ。意識が戻らないうちに財布を漁らないと……」
*「け、警察に連絡を……」
※まて、一人泥棒がいる!

 東京、警視庁
*「うっ!?ここは!?」
警官「ようやく気が付いたか……」
*「アンタ、誰だ!?」
 ガバっと起き上がると臨戦態勢を整える漢。
警官「それはこちらのセリフだ!」
警官「刀持警部……ホシが目覚めました!」
刀持隕山(いんざん)「いや、ホシってお前……」
 彼は犯人じゃないだろ……と呆れ顔をしつつ刀持警部がやってくる。
隕山(いんざん)「ここは警視庁捜査一課……まぁ、取調室なんだが……」
 お前は道端でぶっ倒れているところを保護されたんだ……と告げる刀持警部
隕山(いんざん)「で、だ、ここからが本題だ、お前は誰だ?」
*「いや、誰だと言われても……」
 寧ろこっちが知りたいくらいです……と言い出す始末だ。
警官「やはり、記憶喪失みたいですね……」
隕山(いんざん)「クソッ、唯一の手掛かりの免許証もこれじゃあなぁ……」
 ものの見事に名前の部分だけが削れて無くなっている免許証を漢に見せる刀持警部。
警官「分かっているのが生年月日が西暦1999年3月15日ってことだけです」
隕山(いんざん)「その情報だけで探すのは流石に厳しい……」
警官「刀持警部、やはりここは彼の顔を鉛筆画で作ってこの顔にピンときたら110番って張り紙を作って街に張り
出しましょう」
 いや、だから、それ犯人に対して行うことだから!ってか、本人がいるんだからモンタージュの作成なんて不要
だろうが!
 ここに総介がいたら雷モノである。
警官「衝撃を与えればあるいは、記憶が黄泉帰るかもしれません……」
警官「ハンマーでドカンってやればいいわけですね!任せてください!こんなこともあろうかと……」
 なぜか近くの戸棚をガサゴソ探り出す警官

#2
警官「おいおいまさかとは思うが……」
 シティー〇ンターでおなじみの10tハンマーとか持ち出すんじゃないだろうなぁ……と同僚の一人が馬鹿なこと
を言ってると、その警官は鎖のついたトゲ付きの鉄球を取り出していた
一同「ハンマーってそっちかよ!」
 勿論、そんなものでたたけば記憶が戻るどころか生命が天に帰ってしまう。
 冗談はここまでにして、明日、見回りのついでにを連れて街をぶらついてきますとか言い出す警官。
 遊びに行くんじゃないんだぞ?

 しかし、その翌日、急展開が巻き起こる。
 漢を連れて街を練り歩いていた矢先、突如、近くにいた女性が手に持っていた紙束を落としながらこちらへやっ
てくる
*「佑典(ゆうすけ)!あなた、佑典(ゆうすけ)なんでしょ!」
*「え?!」
*「ねぇ、佑典(ゆうすけ)なんでしょ!?何とか言ってよ」
 ガクガクと漢の両肩を掴んで揺さぶりながら、女が叫ぶ。
 女が落とした紙束はそんな佑典(ゆうすけ)を探すチラシのようだった。
 しかし、何故か、この顔にピンと来たら小椋(おぐら)家へ……なんて書かれている。お前らもかよ!
警官「失礼ですが、貴方は?」
*「あ、はい、私は小椋(おぐら)明子。六年ほど前に失踪した彼……佑典(ゆうすけ)をずっと探していたんです」
*「ゆ、佑典(ゆうすけ)!?……俺は……佑典(ゆうすけ)なのか!?」
警官「ですが、彼は記憶喪失でしてな……」
小椋(おぐら)明子「そんな……」
警官「はっ……」
 その時、一人の警官が閃く
警官「ちなみに、その佑典(ゆうすけ)さんの生年月日なんかは?」
明子「1999年の……ええと、3月の、何日だったかしら?」
警官「間違いなく、彼は佑典(ゆうすけ)さんです!」
明子「やっぱり!」
 警官と両手を悪手してはしゃぐ明子であった。
*「……え、ええと……」
 そして、当の本人は置いてけぼりである。
 漢の名前は三田鞠烏佑典(みたまりあ・ゆうすけ)……今から六年前に突如行方不明になった明子の恋人である。
警官「しかし、危なかったですな……行方不明になってから七年経過すると死亡扱いになってましたからね」
明子「ええ、本当ですよ!……佑典(ゆうすけ)、帰ったら六年分の愛を確かめあいましょうね……」
 ぎゅっと腕を組んでるんるん気分の肉食系女子……明子であった。

 一方、佑典(ゆうすけ)を発見したことではしゃぐ明子……を観察する謎の漢の姿もあった。
*「くっ、まさか、奴が生きていただと!?」
 急いであの方へ連絡しないと……とその漢はその場を後にする。
 佑典(ゆうすけ)が記憶喪失になった原因は、この謎の組織(笑)の手によるものなのだろうか?!
※『笑』をつけるな!

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