Eighter -Extra Voyage-
65ther 〜イタリアの暗黒夢 C〜
#5
ファルマチーアを斬り捨てるボスを返り討ちに!今まで誰もその素性を暴けなかったボスの秘密を解き明かすこ
とは出来るのか?
パパルデーレ・ボロネズ「何があった?……いや、誰がいた!?」
*「あそこには親衛隊が……しかも、親衛隊長、ヴェルミチェリ・ネロスクイードの姿が!」
一同「何だと!?」
ボスが通信してきたと思しき場所には親衛隊が陣取っていた。
*「どうします!?」
パパルデーレ「……いや……」
親衛隊がいたのは想定外だが、しかし、これもまたチャンス!
親衛隊を動かすということはボスが近いという証拠。
で、あれば、親衛隊を叩きのめせば最大の情報源になる!
パパルデーレ「ファルマチーアの力をあまり舐めるなよ!」
ブーステッドドラッグを使ってでも奴を斃せ!
一同「イエス、ボス!」
ブーステッドドラッグのアンプルを首筋にあて、一気に注入すると親衛隊が陣取っているアパートへ殴り込んで
いくファルマチーアの鉄砲玉たち
ヴェルミチェリ・ネロスクイード「なるほど、ボスの読みは当たった、というわけか……」
加えていたタバコをポイっと床に投げ捨てては踏んで消すヴェルミチェリ
*(な、何だと!?コイツ、今何て言った!?)
*(いや、構いやしねぇ!ぶち殺してしまえば同じことだ!)
※いや、生け捕りにしないと情報源になりませんよ?
*「ファルマチーアを舐めるなッ!」
ヴェルミチェリ「ボスの素性を暴こうとする馬鹿には死を!」
*「ほざけ!死ねぇ!」
ドドドドッ
ブーステッドドラッグを駆使してバケモノじみた力を発揮するファルマチーアの猛攻にも恐れを見せない親衛隊
流石と言うべきか……
そして、ファルマチーアの兇刃が親衛隊に迫った次の瞬間、それは起こった
ズブシュッ
*「はが?!」
慌てず騒がずアンプルを突き刺す親衛隊。
*「睡眠薬か!?」
*「だがッ!」
そんなものでブーステッドドラッグは止められない!と粋がるファルマチーアの連中だが、思ったように力が入
らず困惑する。
*「なっ!?……これは?!」
ヴェルミチェリ「……アンチブーステッドドラッグ……」
一同「何!?」
既に対策は講じられていた!
いくらファルマチーアの連中が強くとも、ブーステッドドラッグを封じられれば親衛隊相手に分が悪い……
下手をすればここで壊滅の憂き目にあうかもしれない……
*「ど、どうします?」
撤退するかどうか、とおろおろしだすファルマチーアの連中
#6
パパルデーレ「退くなッ!」
一同「ッ!」
そこへパパルデーレ推参
*「しかし……」
パパルデーレ「何としてでも奴を斃す!」
そして、ボスへの手がかりを手に入れる!
その為ならば……
ズブシュッ
ブーステッドドラッグの重ね掛け!
パパルデーレ「死ね!ヴェルミチェリ!」
※いや、だから殺しちゃ情報入手できないってば……お前ら当初の目的忘れてないか?
ヴェルミチェリ「甘いわ!」
ブシュッ
そっちがその気ならば、こっちもアンチブーステッドドラッグの重ね掛け!
パパルデーレ「甘いのはそっちだッ!」
更にブーステッドドラッグ!
ヴェルミチェリ「まだだッ!」
更にアンチブーステッドドラッグ!
……そして、ここから先はブーステッドドラッグとアンチブーステッドドラッグが激しく鎬(を削る死合となる
果たしてどちらのストックが先に尽きるのか!?
※いや、そんな勝負じゃないでしょ……
果たして、先にストックが尽きたのはヴェルミチェリの方だった……か!?
ヴェルミチェリ「チッ……」
舌打ちをするヴェルミチェリ。つまり、先ほどの『果たして〜』については『か?!』は不要だったということ
だ。
※いや、そんな解説要らんから!
パパルデーレ「ドラッグ流通の元締めをナめるなよ!ヴェルミチェリ!」
ヴェルミチェリ「さて、遊びはここまでとするか……」
パパルデーレ「なっ、遊び、だとッ!?」
これまでの応酬が遊び!?と逆上するパパルデーレ。
パパルデーレ「巫山戯(るなよ!」
だが、パパルデーレの動きはギクシャクとしていた。
パパルデーレ(馬鹿な!?……我らファルマチーアのブーステッドドラッグが奴らが作ったアンチブーステッドド
ラッグより弱いわけがない!)
確かに、ドラッグに関しての知識はファルマチーアの方が一日の長はある。だが、そういうことではないのだ
強化と弱体を繰り返しし過ぎた結果、パパルデーレの肉体はボロボロになってしまったのだ!
先ほどまでのパパルデーレとヴェルミチェリのドラッグ、アンチドラッグの注入合戦はこの一瞬を狙っての作戦
だったのだ!
パパルデーレ「ば、馬鹿な……」
この俺が……ファルマチーアが、ここで、終わる!?
愕然とするパパルデーレ。
パパルデーレ(だが、まだだッ!ヴェルミチェリを殺すまで、俺はッ)
※いや、この期に及んでまだ殺すとか言ってるのはどうなのか、情報を入手することはもう諦めたのか……それと
もヤクをキめすぎてブっ飛んでしまったのか!?
#7
パパルデーレ「ウオアアアッ!」
それはパパルデーレ最期の一撃……執念の一撃と言ってもよかった。
ズドムッ
ヴェルミチェリ「クッ……」
最後の力を振り絞った、生命を削った一撃がヴェルミチェリに叩き込まれる。
一瞬だけたじろぐヴェルミチェリと、それを見てニヤリと悪い笑みを浮かべるパパルデーレ
パパルデーレ「あごべがはあっ!?」
しかし、次の瞬間には口から、鼻から、眼から、耳から血を噴出し、パパルデーレはその場に崩れ落ちる。
それは文字通りの最期の一撃だった。
一同「なっ……」
パパルデーレの死に、ファルマチーアの連中は動きを止める。
それはあまりにも致命的な隙だった。そして、そんな隙を見逃す親衛隊ではなかった。
ヴェルミチェリ「これからの時代に、麻薬産業は不要……それがボスの決断なんだ……」
……かくして、ここにボスの素性を暴くとイキっていたファルマチーアは壊滅したのであった。
ヴェルミチェリ「それにしても、我らがボスは思い切った決断をしたものだ……」
ファルマチーア壊滅を見届けるとヴェルミチェリはその場を後にするのであった。
そして、イタリア裏社会は今日もマラクーヤを頂点に動いていく……
END
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