Eighter -Extra Voyage-
65ther 〜イタリアの暗黒夢(ゆめ) B〜



#3
 唐突に告げられた麻薬流通の縮小と廃絶!
 当然、そんなものは受け入れられるわけがない!だが、相手はイタリア裏社会全てを牛耳る巨大なマフィアであ
る。
パパルデーレ・ボロネズ「ま、待ってください!ボス!イタリア裏社会を牛耳るアナタ様とあろうお方が、たかだ
か麻薬取締如きで麻薬の市場を諦めるというのですか!」
*「……そういうことになるな」
パパルデーレ「巫山戯(ふざけ)るなッ!」
*「ほぉう……それはこの俺様に、ひいては我らがマラクーヤに盾突くという意味かな?」
パパルデーレ「うぐっ……」
 これまでマラクーヤに盾突いて生き延びたマフィアはいない……それほどまでにマラクーヤの伝説は凄まじいの
だ。
*「では、今宵の定例会を終える……」
 〆の言葉と共に、マラクーヤのボスの映像は途切れる。
一同「……」

パパルデーレ「クソがぁッ!」
 ガッシャ〜〜ンと手に持ったワイングラスを床にたたきつけるファルマチーアの連中
タリアテーレ・カチャトラ「ま、まぁ、これは大変なことになりましたな……」
パパルデーレ「てめぇらはいいよなぁ!えぇ!?」
ブカティーニ・トラパヌ「ですが、馬鹿な真似はしない方がいいですぜ?」
パパルデーレ「馬鹿な真似だぁ!?」
 それは、マラクーヤの謎に包まれたボスを抹殺するという意味だ。
パパルデーレ「巫山戯(ふざけ)んな!俺達が麻薬を売りさばいてどんだけの利益を生んできたと思っていやがる!」
ピッツォケーリ・ボスカイオ「それは……ですが……」
パパルデーレ「てめぇらも、麻薬取締に屈するマフィアなんて情けないとは思わないのかッ!」
一同「そ、それは……」
 他の三つのマフィアの連中は確かに、思うところはある……だが、所詮は対岸の火事。自分たちには関係がない
と楽観視しているようだった。
パパルデーレ「ボスの素性を調べようとしたものは抹殺される?……上等だ!こちとらその貴様のせいで殺された
ようなモンなんだよ!」
 死者は死を恐れない!ボスに死兵の恐ろしさを嫌というほど思い知らせてやるぜ!
 決意を胸にファルマチーアの連中は教会を後にする。

ピッツォケーリ「お、おいおい、どうするんだよ……」
ブカティーニ「どうするんだと言われてもな……」
 残されたマフィアの連中も、未だ騒ぎが収まらない。
ブカティーニ「だが、これはチャンスかもしれない……」
一同「チャンス?」
 ブカティーニの言葉に一同は首をかしげる。
ブカティーニ「ああ、ボスの素性を調べようとしたものは抹殺される……だが、もし、万が一ファルマチーアの連
中がボスの素性を突き止め、ボスを殺してしまうようなことがあれば……」
 一人のマフィアの言葉に一同はゴクリと固唾を飲んで次を見守る。

#4
ブカティーニ「敵討ちと称してファルマチーアを潰す!」
 奴らも消耗しているはず……で、あれば、潰すのはさほど難しくもあるまい。
 そして、ボスとファルマチーアが消えた後、イタリア裏社会は我ら三大マフィアが牛耳る!
一同「ッ!」
 その提案はとてつもなく魅力的だった。
ブカティーニ「ファルマチーアがボスに敗北した場合は、粛清としてやっぱりファルマチーアを潰す!」
 どっちみにファルマチーアは潰される運命にある……

 さておき、当のファルマチーアはというと……
*「しかし、ボス……誰もその素性を知らないというのに、どうやってボスの素性を探るんですかい?」
パパルデーレ「フン、今回ボスは大いなるミスを犯した!」
一同「それは……」
パパルデーレ「今回、プロジェクターなどのセッティングを行ったのは我らファルマチーアだ!」
一同「……」
 そんなことを言われてもイマイチよくわからない。
パパルデーレ「フッ、分からんか……ボスはインターネットを介してあの場所に現れた……」
 そして、そのパソコンを手配したのは我らファルマチーア!
*「そ、そうか!」
*「足跡をたどればボスがどこから通信してきたのかが分かる!」
一同「流石ですボス!」
パパルデーレ「ハッハッハッハ、それほどでもあるよ!」
*「……あ、でも、プロジェクターとか教会に置きっぱなしですよ」
一同「……」
 勢いに任せて教会を飛び出したため、もちろん片付けなど何もしていない
パパルデーレ「い、今すぐ戻るんだ!」
一同「イエッサー!」

 すぐさま教会へ戻る一行。
 そこには既に他の三大マフィアの姿はなかったが、プロジェクターとスクリーンはそのまま放置されていた
パパルデーレ「よし……」
 こんなこともあろうかと、ボスの足跡を辿るアプリをインストールしておいたパパルデーレ。
※いや、どんなことを想定していたのか?
パパルデーレ「ふむふむ、意外と近い……」
 近くのマンションからの通信だということを突き止める
*「これでボスの素性を暴けますね?」
パパルデーレ「まぁ、慌てるな……」
 すぐさま問題のアパートを観察させるパパルデーレ
*「確かに誰かいるようです」
*「おお!」
*「突撃しましょう!」
*「いや、待ってください……アレは!?」
 その時、彼が見たものは何か!?


続

前の話へ 戻る 次の話へ