Eighter -Extra Voyage-
65ther 〜イタリアの暗黒夢(ゆめ) A〜



#0
 ソンニャーレ、暗殺の七人……どちらもイタリアンマフィアである。
 そして、何もイタリアンマフィアはこの二つだけではない。
 今回はそんなイタリアンマフィアに焦点を当てたエイトノット
※エ『イトノット』じゃなく、エ『ピソード』……時速約16キロ!?(それは『8ノット』だ!)

#1
 イタリア、サンマリノ、某所
 一見どこにでもある様な教会に、続々と集う黒服の漢たち。彼らは無論、堅気の人間ではなく……イタリアンマ
フィアの面々である。
 イタリアの裏社会を牛耳るマフィアが一行に集まる今日は、そんな裏社会の定例会のようなものだ。
 そして、教会の中には教会ではまず見ることのない、巨大なプロジェクターとスクリーンが設置してあった。
 スクリーンには『?』って文字の入ったシルエットが映し出されていた。
※傍から見ると馬鹿にしてるように見えるけど、いたって真面目です。
*「まずは、遠路はるばるご苦労……」
 変声期で声を変えたのだろうか、怪訝しな声が労いの言葉を賭ける
 この声の持ち主はイタリア裏社会の全てを牛耳る、いわばイタリアンマフィアの総締め。誰も彼(もしかしたら
彼女かもしれないが……)がどんな姿をして、どこにいるのかを知らない。探ろうとすればたちどころに殺される
……謎に包まれた人物である。
 そんな彼が所属する……いや、彼が作り上げたマフィアこそがマラクーヤ。イタリア語で果物時計草を意味する
巨大な組織だ。
※『果物時計草』は英語で『パッションフルーツ』ですが、この『パッション』とは『情熱』という意味ではなく
 『受難』という意味なのです。
 更にマラクーヤに忠誠を誓った四つのマフィアがある。
 イタリア裏社会のドラッグ流通の元締め、ファルマチーア。統括者はパパルデーレ・ボロネズ
 イタリア裏社会の売春の元締め、ペルセポネ。統括者はタリアテーレ・カチャトラ
 イタリア裏社会の殺しの元締め、モルテ・ビアンカ。統括者はブカティーニ・トラパヌ
 イタリア裏社会の兵器流通の元締め、スペランツァ。統括者はピッツォケーリ・ボスカイオ
 ……この定例会はマラクーヤと四つのマフィアが意見を交わす場所なのだ。
 余談だが、ファルマチーアはイタリア語で『薬屋』を意味し、モルテ・ビアンカはイタリア語で『白い死神』を
意味し、スペランツァはイタリア語で『希望』を意味する。ペルセポネは春の女神のことだ。
※薬屋がドラッグ、春の女神が売春て……
 更に余談だが、スペランツァはイタリアンマフィアの中で最弱という噂がある。
※そんな、スペランカーじゃないんだから……
 最弱なのにイタリア裏社会を牛耳る四大マフィアに名を連ねているのはおかしいので、所詮は噂ということなの
だろう……

#2
*「モルテ・ビアンカ配下の殺し屋、暗殺の七人は日本で大敗したそうではないか……」
ブカティーニ・トラパヌ「はっ……ですが、ひとつだけ言わせてください……奴らは我々の中で一番の小物ッ!」
 かしこまりつつも、言いたいことは叫ぶブカティーニであった。
一同「……」
 ……ちょっと待って……暗殺の七人は全員がイタリア裏社会屈指の殺し屋と自負していた(気がする)んだけど
……
 ま、まぁ、Eighter一行にアッサリと敗北するくらいなので、所詮はその程度だったんでしょうね……
 自惚れが過ぎたのか、日本なんてジャパニーズイエローモンキーなどと見下しすぎていたのか……今となっては
不明である。
※いや、『ジャパニーズイエローモンキー』ってアメリカ人からの罵倒じゃないんだから!
*「まぁ、よかろう……」
 では、次、ファルマチーア!と呼ばれてビクっとするファルマチーアの一行。
*「お前たちも日本でやらかしたと聞くが……」
パパルデーレ・ボロネズ「あ、あれはですな……」
 ソンニャーレが勝手にやったことでして、我々は特に……と、冷や汗を書きながら弁解しだすマフィア。
 そう、アックワサンタを流通させようとして大失敗したイタリアンマフィア、ソンニャーレはファルマチーアの
配下のマフィアだったのだ。
※余談ですが、牙影裏王(がえりお)の連中が使っていたブーステッドドラッグもファルマチーアのブツとなります。
*「……そうか……」
 あれ?お咎め無し?……思ったより寛大なボスにほっと胸をなでおろすファルマチーアの一行であった。
 が、しかし、次の議題で窮地に立たされる
*「では、ファルマチーアよ……近年、麻薬取締が激化しているが……」
パパルデーレ「はい、そのせいでこちとら商売あがったりですよ」
*「そこでだ、ファルマチーアの縮小……将来的には廃絶を考えているのだが……」
一同「なっ、何を馬鹿なことをッ!」
 かしこまっていたファルマチーアの連中はガバっと起き上がると怒りと驚きの表情でスクリーンを睨み付ける。
パパルデーレ「お、お待ちください、ボス!」
*「これは決定事項だ!」
 一切の弁明も許されなかった……
一同「……」
 突然の出来事にざわめきが収まらない。

 大波乱の定例会……ファルマチーアは一体どうなってしまうのか!?


続

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