Eighter -Extra Voyage-
63rder 〜琉球裏王家の零話(こぼればなし) A〜



#0
 トモナミとライタ……二人は琉球王朝第零代王とその弟である。しかし、そんな歴史は今の世界では誰も知らな
い……
 では、一体過去の沖縄で何があったのか……
 今回はミステリーハンターが琉球王朝の秘密に迫るエルドラン
※エ『ルドラン』じゃなくエ『ピソード』だから!……セイルーンの現王!?あるいはエルドラン三部作の光の戦
 士!?……どっちにせよ『エ』しかあってないってことには変わりはないけど……

#1
 はるか太古……第一尚氏王統が始まるよりも昔……グスク時代などというアジのある名前で呼ばれていた頃
※グスク時代のことを按司(あじ)時代なんて呼ばれていたことがあったからこそのこの演出。なかなかアジな真似をする
 じゃないか(いや、単なるダジャレ……)
 その頃はまだ首裏城なんてものは存在しなかった……そこには小さなな祠が一つ建立されているだけだった。
 そして、そんな祠を観察する謎の漢が一人……
*「ふむ、この祠は、魔神を封印するために建立されたもの……」
*「おめぇさん、何モンだ!?」
 その漢は、片眼鏡を身に着け、灰色の衣装に身を包んでいるというアヤシイいでたちであった。
*「何、少し、この祠に興味を惹かれてね……」
*「その祠に触れるな!よそ者がッ!」
 気が付けば、漢は取り囲まれていた。
*「不用意に触れ、破壊でもすれば、封じられた魔神が復活する……と」
*「貴様、どこでそれを!?」
 その言葉に血相を変える一行。
*「何の騒ぎだ?」
一同「ら、ライタ様!?」
 と、そこへライタ推参
*「貴方は話が分かりそうだ……」
ライタ「何だって?」
*「この祠……そろそろ限界を迎える」
一同「貴様ッ!」
ライタ「こいつを捕縛しろ!」
一同「はっ!」
*「おや……」
 非力なその漢は抵抗する暇もなく、ライタの配下の手によって拘束され、その場からしょっぴかれるのであった

 そして、ライタはトモナミの前に漢を連れてくる
トモナミ「ライタ、その漢は何です?」
ライタ「こいつは、あの祠が限界だってことを見抜きやがった!」
トモナミ「なんと!?」
 とりあえず、捕縛を解くライタ
*「なるほど、不用意に混乱を招くような真似はしたくなかったと……」
 縛られた痕が残る腕をさすりつつ漢が呟く。
ライタ「てめぇ、一体何者だ?」
 事と場合によっては死んでもらうとまではいかないが……
*「当てもなく放浪するしがない旅がらす……」
ライタ「巫山戯るな!」
 ドンッと机に拳を叩きつけてライタが吠える。

#2
*「……分かりました。正直に答えましょう……私はゼルシー……」
 と、そこで少し考え事をしだす漢。
ライタ「ゼルシー?」
ゼルシー「あ、はい。私はゼルシーと言うものです」
ゼルシー(まぁ、ここではゼルシーと名乗っておけばよいでしょう……)
※偽名かよッ!ってか、こんな太古の昔に片眼鏡なんてなくない?なんて突っ込みはやめましょう。
 さておき、その漢の風貌は……網谷ゼルシフォムに酷似していた。と、いうことは、彼はゼルシフォムの先祖な
のだろうか?
ゼルシー「私はあちこちを回り、興味が惹かれたものを気が済むまで研究する……ただそれだけを目的に旅をして
いるだけにすぎません」
トモナミ「変わっているのね……」
ゼルシー「はい。よく言われます」
ライタ「まぁ、いい……」
 問題なのはあの祠だ!
 あの祠には琉球に死をまき散らす魔神が封印されている。そして、その封印が限界を迎えつつある……
 そのことを知っているのはトモナミ、ライタの姉弟のみだ!
ゼルシー「私が、あの祠に変わる、新たな祭壇を建立しましょうか?」
ライタ「貴様ッ!何を!」
トモナミ「そんなことが、貴方に出来るの?」
ゼルシー「あの祠を調査させてもれれば、確実に!」
ライタ「信じられるかッ!そんな話!」
トモナミ「……」
 聞く耳持たずのライタとは変わり、トモナミは顎に手を当てて考え込む
ライタ「姉さんッ!こんな得体の知れないヤロウの話に耳を貸すな!」
トモナミ「ライタは黙ってて!」
ライタ「あっ……うぅう……」
 強く拒否されてへこんでしまうライタはそのまま地面に『の』の字を書いて項垂れる。
 割とメンタル弱いのね……
トモナミ「いいわ、許可します」
 その代わり、必ずあの魔神を封じる祭壇を作ってみなさい!
ゼルシー「仰せのままに!」
 かくて、ゼルシーは魔神を封印する祭壇の建立に取り掛かった。
 これがのちに言う首裏城である。

 しかし、それを快く思わないバカも少なからずいる
*「クソッ!トモナミとライタの姉弟にうまく取り入りやがってぇ!」
 近くの手頃な石柱に拳を叩きつける漢……この漢も馬鹿の一人であり、名をザルキと言う。
ザルキ「他所モンがウチのシマでデカい面しやがってぇ!」
 そして、それは……その邪な思いは悲劇を生む!
*「ならば……我が力を解放するがいい」
ザルキ「な、何ぃ!?」
 ザルキが殴りつけたのは例の祠……その御本尊ともいえる代物だった!
ザルキ「こ、これは……!?」


続

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