Eighter -Extra Voyage-
62nder 〜偉大なる剣の智慧(アルス・マグナ) C〜



#5
 並みいる刺客を駆逐したと思ったら、今度は執事が牙をむいた!?
劉造時壊人(りゅうぞうじ・かいと)「なっ!?どうして……」
 だが、凶弾が壊人(かいと)にたどり着くことはなかった(またかよ……)
 なぜならば、ロックスケルトンが身を挺して壊人(かいと)を守ったからだ。
秦野始皇(はたの・しおう)「クソッ」
 忌々し気に毒づくクソジジィではあるが、これでボディーガードは一人減った!と喜び勇む。
 そして、懐からブーステッドドラッグを取り出しては自分に注入する。
※ちなみに、刺客の一行にブーステッドドラッグを渡したのは何を隠そうこのクソジジィである。
始皇(しおう)「今度こそ、死ぃねぇッ!」
 クソジジィが襲い掛かろうとした矢先に、ラージックーギミとトゥスマイルブルーが壊人(かいと)を庇うように一歩前進
する。
 しかし、クソジジィはそれを嘲笑うかのように懐からFNファイブセブンを取り出す。ライフル弾頭で貫通させる
という寸法だ
 しかし……
ロックスケルトン「痛ぇじゃねぇか、このクソジジィがぁ!」
 ズダンッ!
始皇(しおう)「あがぁっ!?」
 死んだかに思われていたロックスケルトンが立ち上がると同時に、怒りに任せて逆袈裟にクソジジィを斬り捨て
る。
*「おいおい、秦野(はたの)のジィさんが殺られちまったぞ!」
*「そ、そんな……」
 ガックリと項垂れる牙影裏王(がえりお)一行。
 今、ここに作戦は失敗したのだ!

壊人(かいと)「これは、一体、どういうことなんだ!?」
 とりあえず、賊を一人残らずぐるぐる巻きにして、事件の真相を……奴らの目的を問う。
蒔切錘漸(まくぎり・すいぜん)「ハッ、てめぇは何も知らないんだな!」
壊人(かいと)「何だと?!」
ラージックーギミ「待ってください」
 ついカっとなって手を出しそうになる壊人(かいと)を止めるラージックーギミ
ロックスケルトン「やはり、あの老執事とお前たちは最初から繋がっていたんだな」
錘漸(すいぜん)「ヘッ!」
 にやりと北叟笑む錘漸(すいぜん)。それは皇帝もとい、肯定を意味していた。
壊人(かいと)「そんな、ジィが……!?」
 にわかには信じがたいと様子の壊人(かいと)は青ざめた表情で後退る。
 クソジジィが裏で刺客とつながっていたからこそ、一週間の中で次々と一族の者が殺されていった……
トゥスマイルブルー「お前らの目的は何なんだ?」
錘漸(すいぜん)「知れたことを!劉造時(りゅうぞうじ)の莫大な遺産を根こそぎ奪い去ることよ!」
 あ、そこはちゃんと答えてくれるのね……
壊人(かいと)「遺産を根こそぎ……お前たちはそのために僕の家族を殺したって言うのか!」
 怒りに満ちた表情を見せながら壊人(かいと)は叫ぶ。

#6
 全ては遺産を奪い取るため……そのためにクソジジィは好々爺の仮面をかぶり、長年家に仕える執事として信頼
を勝ち取ってきたのだ……
 なんという用意周到というか、老獪さだろうか……
壊人(かいと)「ああああっ!」
 怒りに任せて壊人(かいと)は近くに落ちていたリボルバーを拾い上げると錘漸(すいぜん)に向ける
ラージックーギミ「駄目です!」
 貴方までもが人殺しになる必要はありません!と強く制するラージックーギミ
※ちなみに、リボルバーはクソジジィが全て撃った後なのでどのみち発砲はできません
 と、言うわけで、せめて意趣返しと言わんばかりにリボルバーを投げつける
 ゴチンッ
錘漸(すいぜん)「クソガキ、てめぇ!」
 だが、ラージックーギミら三振りがギロリと睨み付けることで大人しく引き下がる錘漸(すいぜん)であった。
壊人(かいと)「あっ……っていうか、その、アンタ、撃たれたけど、大丈夫なのか!?」
 そして、今更ながら慌てふためく壊人(かいと)
ロックスケルトン「……俺達はあまり大きな声では言えないが、人間ではないからな……この程度の怪我では死な
ないのよ!」
 弾丸がブチこまれた箇所……そこをのぞき込めば明らかに人間の皮膚ではなく、硬質な……鋼でできているかの
ような肌があった
壊人(かいと)「……」
 唖然とする壊人(かいと)。
 ただ、それは刺客の一行も同じといえよう。
 刺客の連中が建てた計画は、アルスをボディーガードに着けた時点で破綻していたのだ。
 何故刺客がボディーガードを雇って抹殺対象を護衛させたのか?なんて素朴な疑問が出てくるが、そこはクソジ
ジィが信頼を撮り続けるための施策みたいなものなのだろう。
 あと、今後邪魔になりそうな勢力を今のうちに潰しておこうとかそんな魂胆か……

 さておき、刺客の連中は警察に引き渡し、これにてアルスの任務は終わった。
トゥスマイルブルー「さて、では帰るか……」
 基地に無事帰るまでが任務だからな……と、まるで遠足気分のようなトゥスマイルブルー
壊人(かいと)「ま、待ってくれ!」
ラージックーギミ「ん?」
 そんな三振りを引き留める壊人(かいと)
ロックスケルトン「依頼は全うした……だから、ここでお別れだ」
ラージックーギミ「……あの刺客の残党とか、第二第三の刺客がやってくるかもしれないってことか?」
 確かに、壊人(かいと)が遺産を持っている限り、狙われるのは必定だ。
ラージックーギミ「だがな……」
壊人(かいと)「違う!……あ、いや、違わないけど……そうじゃなくて……」
 途端にしどろもどろする壊人(かいと)
壊人(かいと)「僕も連れて行ってくれ!」
一同「はいぃ!?」

#7
 ここで、余談になるがアルスの本拠地はどこにあるのか?
 未だに場所が分かっていないからこそ、総介も手を拱いている。
※アルスはオーパーツ、劔に次元喪衣(ソーディアン・ディムクロス)のおかげで人の姿を得ているが、総介はそのオーパーツを狙ってる(狙っ
 ているというか、管理下に置きたいと思っている)ので……
 ただ、現実世界にあるのならば、総介が見つけられないはずがない……ならば、答えは一つ、歴史の墓場の一角
というわけだ。

 歴史の墓場、某所
ラージックーギミ「ええと、その……なんだ……スポンサーがつくことになった」
一同「はいぃ!?」
 そして、壊人(かいと)は自分がもつ遺産を全てアルスにつぎ込むことを決意したのだ。
 つまるところ、それは資金面のバックアップということだ。
 アルスの連中は刀剣男子(違ッ)であり、人ならざるものが人間の世界に溶け込むにはなかなか難がある……そ
の最たるものがお金の問題である。
 だが、資金面というバックアップがつくのならば話は別だ。これはアルスにとってもありがたい話であり、断る
という選択肢はなかったのだ。
壊人(かいと)「その……これから、よろしく……」
 かくて、劉造時(りゅうぞうじ)というバックアップを手に入れたアルスはますます活躍していくのであった。


END

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