Eighter -Extra Voyage-
60ther 〜狂犬と魔狼の幽戯 B〜



#3
 火渡櫺(ひわたり・れんじ)の敵討ち!勘違いから(ゆたか)をボコろうと魔狗蜃牙拳(まこうしんがけん)の使い手は立ち上がった。
*「おらぁ!」
*「おらおらぁ!」
*「おりゃあはっ!」
天宮裕(あまみや・ゆたか)「くっ……」
 四方八方から襲い来る魔狗蜃牙拳(まこうしんがけん)の使い手達。
 (ゆたか)が十全に力を発揮できればこんな雑魚なんて眼じゃないのだが、今の彼は自由を奪われた身……思ったように
身動きが出来ず防戦手一杯だった。
毒島美人(ぶすじま・びぃと)「せいぜい頑張るんだな……」
(ゆたか)「貴様ぁ!」
*「おっと、よそ見とは流石無敵の双狼拳(そうろうけん)の使い手様だなぁ!」
*「おうよ、まったくだぜ」
 ドコスカッ
(ゆたか)「ゲハッ!?」
 戦場では一瞬の油断が命取り……そしてまさしくここは戦場だった
(ゆたか)「くっ……てめぇら、あまり調子に乗るんじゃねぇぞコラ!」
*「ハッ、鎖で繋がれた狼なんぞ恐るるに足らずだ!」
*「アッハッハッハ!」
(ゆたか)「……フッ、てめえらには新選組のある剣客の言葉をくれてやる」
一同「はぁ?」
(ゆたか)「犬はエサで飼える 人は金で飼える だが壬生の狼を飼うことは何人にも出来んッ!」
※いや、それ新選組のある剣客ってかる〇剣……
 鎖で繋がれる = 飼われている……って発想か!?
*「身動きもできない馬鹿がイキってんじゃねぇぞ!」
*「一気に行くぞ!てめぇら!」
*「おうよ!魔狗蜃牙拳(まこうしんがけん)の恐ろしさ、思い知れ!」
 叫ぶと同時に襲い掛かる一同
*「爪渦牙嵐(そうかがらん)!」
*「烈空襲牙(れっくうしゅうが)!」
*「銀牙嵐撃(ぎんがらんげき)!」
 ゴガガガガガッ
(ゆたか)「おらぁッ」
 ズドゲキャッ
一同「ごへあっ」
 まるで足かせをもってしてハンマー投げでもするかのように、回転を加えて鉄球を叩きつける。
(ゆたか)「まずは三日あッ!」
 ズドゲシャアッ
 ゴキュガカッ
 (ゆたか)の快進撃は留まることを知らない、右に回転、左に回転、また右に回転と次々に回転を繰り返しながら足かせ
ハンマーで敵を叩き潰す。
*「ヒッ、ば、バケモノだあ!」
(ゆたか)「確かに、ハンデだわなぁ……こりゃあ!」
 既に趨勢(すうせい)は覆った……大人数で(なぶ)り殺すとう当初の目論見は砕け散ったといってもいい。
(ゆたか)「おらぁッ!そろそろ一ヶ月だぁ!」
*「ハッ」
 ゴギャカカッ
(ゆたか)「何!?」
 足かせハンマーを受け止める漢が一人
一同「あ、貴方方はッ!」
 更に三人の漢が続く。
*「楯山矛河(むか)」
*「戦部泰平(やすひら)」
*「円山凶川(まるやま・ばつばこせん)」
*「根来葉去(ねごろ・はさる)」
楯山矛河(むか)、戦部泰平(やすひら)円山凶川(まるやま・ばつばこせん)根来葉去(ねごろ・はさる)「我らは魔狗蜃牙拳(まこうしんがけん)が狂犬四天王!」

#4
(ゆたか)「どうやらさっきまでのザコとは違うようだな……」
矛河(むか)「いかにも」
泰平(やすひら)「俺達がもつポイントは三ヶ月と一日!」
※ポイントってをい……
(ゆたか)「随分と中途半端な数字じゃねぇか!」
 そして、もっともな突っ込みだった。
凶川(ばつばこせん)「俺達も365人の一人なんでな……」
 先ほど365人斃せば懲役が一年減るなんて言ったが、すまん、ありゃあ嘘だ。正しくは二年だ!
 365人で二年にするために、四天王には一日の他に三ヶ月が加算されるのだという。
葉去(はさる)「足かせがあれば貴様の動きを封じられるなんてのは少々間違っていたようだな……」
 グググッ
 バキョアッ
(ゆたか)「なっ!?」
 足かせの鉄球を握りつぶして見せる葉去(はさる)葉去(はさる)「フッ、何を隠そう、この俺は、鉄球を握り潰すことだけに関しては自信があるのよ!」
(ゆたか)「……」
 何!?その鉄球に対してのみの自信……他のものは無理なの!?
矛河(むか)泰平(やすひら)凶川(ばつばこせん)葉去(はさる)「さぁ、来い、(ゆたか)!無敵の双狼拳(そうろうけん)を見せてみろよ!」
(ゆたか)「てめぇら双狼拳(そうろうけん)を馬鹿にしすぎだろ!」
 鉄球がなくなっても鉄鎖までは無くなっていない……と、いうことは鉄鎖術も使えるってなことになるのだけれ
どまあ、(ゆたか)はあまり得意じゃないので脅威とはみなされない。
 ただ、以前両手は封じられているので、(ゆたか)にとっては予断を許さない状況であることには変わりがないのだ。
矛河(むか)泰平(やすひら)凶川(ばつばこせん)葉去(はさる)「ベッドの上でも双狼拳(そうろうけん)……なんて馬鹿にしたことなんて一度もないが……」
(ゆたか)「殺す!」
 ブチ切れた瞬間だった。
※ってか煽りすぎィ!
 だが、その瞬間、狂犬四天王はかかったな!と言わんばかりに四方から襲い掛かる。
 逆上させ、冷静さを欠かせたところを一気に叩く。それが狂犬四天王のスタイルだ
矛河(むか)泰平(やすひら)凶川(ばつばこせん)葉去(はさる)獄門双襲(ごくもんそうしゅう)!」
 ゴギャンッ
 一気に間合いを詰めて双方の拳で(ゆたか)を殴り潰しにかかる四人
(ゆたか)「馬鹿がッ!」
 バヒュンッ
矛河(むか)泰平(やすひら)凶川(ばつばこせん)葉去(はさる)「何!?」
 上空に飛んで攻撃を回避する(ゆたか)
(ゆたか)「死ね!クズども!虐狼魔覇(ぎゃくろうまは)!」
 ゴガガガガッ
矛河(むか)泰平(やすひら)凶川(ばつばこせん)葉去(はさる)「あがげごががが!?」
 重力加速をつけて、脚で四人を蹂躙する(ゆたか)であった。
一同「そ、そんな、馬鹿な……狂犬四天王が一瞬で!?」
(ゆたか)「これで一年ッ!まだまだ行くぜ!」
一同「ヒッ……ヒィイッ……」
 最早総崩れの一行であった。

#5
毒島美人(ぶすじま・びぃと)「まさか、狂犬四天王でも歯が立たないとは……」
 冷や汗をかきつつ、その場に美人(びぃと)がやってくる。
(ゆたか)「貴様もアレか!通常の何倍もポイントがもらえるってクチか!」
美人(びぃと)「ほぉう……いかにも!」
(ゆたか)「言わなくたって分かるぜ……一年と一日ってところか……」
美人(びぃと)「違うな、俺は二年と二日だ!」
(ゆたか)「なんでだよ!」
 予想しなかった答えに思わず突っ込みを入れる(ゆたか)であった。
美人(びぃと)「フッ……」
 もう一度訂正しよう……365人を倒せば二年減ると言ったが、すまん、ありゃあウソだった。正確には四年!
 そして、四年ということはうるう年があるということ……俺はそのための救済措置として一日多いのだ!とか言
い出す美人(びぃと)
※なんの救済措置だよ!
美人(びぃと)「来い!貴様には魔狗蜃牙拳(まこうしんがけん)の恐ろしさを味わわせてやる!」
(ゆたか)「ならば、こっちは双狼拳(そうろうけん)裏奥義の恐怖を味わわせてやるぜ!邪狼群憑(じゃろうぐんひょう)!」
 ズオオオッ
 禍々しい気が(ゆたか)を包み込む。
美人(びぃと)「ハッ!光牙神襲破(こうがしんしゅうは)!」
(ゆたか)虐狼魔覇(ぎゃくろうまは)!」
 ズギャガガッ
 光の爪が(ゆたか)を捉えたかに思った次の瞬間、(ゆたか)の姿は上空にあった。そして、重力加速をつけての突撃!
美人(びぃと)「ぐはぁ!?」
(ゆたか)「がふぅ!?」
 相打ち……ではない。勝者は(ゆたか)だ!美人(びぃと)(ゆたか)の足技の前に砕け散った!
 そして(ゆたか)は突如背後から襲い来るナニカに意識を失ったのだ!

(ゆたか)「はっ!?ここは!?」
 気が付くと、(ゆたか)は再び水晶の騎士の独房の中に居た。
*「天宮裕(あまみや・ゆたか)!貴様は無差別に人を大量に殺したことにより、懲役を伸ばす」
(ゆたか)「はぁああ!?」
 一人倒せば一日減るはずだった懲役は、一人殺せば一年長くなる的な計算で膨れ上がってしまったのであった。
 だが、それでも(ゆたか)は與鷹を殺すために手段を選ばないはずだ!
※本当に迷惑な話だな


END

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