Eighter -Extra Voyage-
59ther 〜艦の中の地獄絵図 C〜



#5
 唐突に爆弾を仕掛けた野郎が判明した!?
*「ひ、ひでぇぜ兄貴……おっ、俺がちょっと……間違えただけでこの仕打ち……」
 手足を切り落とされたにしてはあまり痛みを感じない……なんて思いつつも、漢は叫ぶ。
柄覇鋳ナ馬(がらはう・しいま)「ざけんじゃねぇぜ!」
淋多雨(りん・たう)乃代込組(のだいごめぐみ)のメンバーなら十年前に誰が劉漸院界吏(りゅうぜんいん・かいり)を殺したのか知っていて当然」
樹舞螺(きまいら)幽之介「つまり、それを知らない貴様は乃代込組(のだいごめぐみ)の一員ではない!」
 何か申し開きはあるか?とボスの一声に、一同もギラリと達磨状態の漢を睨む。
*「クソッ!」
瓜泰(うりたい)司郎「貴様が何のつもりでこんなことをしでかしたのかは知らんが……」
*「だが、俺は……」
司郎「死ね!」
 バラララッ
 次の瞬間には、漢はバラバラに解体される。
 これが、流離(さすら)いの解体屋の真骨頂である。
 更に……
多雨(たう)「ボス、奴の部屋を探ってみたところ、爆弾の起爆装置を見つけやした!」
幽之介「そうか……」
多雨(たう)「ったく、ボスの誕生パーティーを狙って暗殺を画策しようなんざ巫山戯(ふざけ)たヤロウだぜ!」
一同(いや、これだけ大掛かりな仕掛けをしといて暗殺は無いでしょう……)
 一同がそんなことを心の中で突っ込む。
幽之介「まぁ、良かろう……バカは漢は死んだ……」
 気を取り直して、パーティーを続ける乃代込組(のだいごめぐみ)のメンバーなのであった。
 だが、問題はまだひとつある。現在、艦は航行不能なのだ。助けを呼べないなんてわけではないが、一行はこの
ピンチをどう乗り切るつもりなのか!?

多雨(たう)「それにしても、あの野郎は一体何だったんだ?」
椎馬(しいま)「奴の家族……には見えなかったな……」
司郎「ケッ、何でもいいぜ、全ては終わったことだ!」
 しかし、全てはまだ終わっていなかったのである。(よくあるパターン)
 翌日、新たなる悲劇が幕を開けたのだ!

椎馬(しいま)「たっ、大変です、ボス!」
幽之介「何事だ、騒がしい……」
椎馬(しいま)「そ、それが……」
 淋多雨(たう)、自室で死す!
 本人の名誉のために詳細は言えないが、彼はベッドの上でズボンを降ろした状態で首の後ろに刃物が突き刺さっ
ていたのだという。
 そして、その近くにはポータブルDVDプレイヤーとボックスティッシュがあったとか……
※いや、それ、なんとも恥ずかしい死に方……
一同「な、何だと!?」
司郎「馬鹿なッ!」
 昨日で全てが終わったはずじゃなかったのかよ!
椎馬(しいま)「だが、確かに、妙な点はあった……」
 奴が人知れず艦に爆弾を持ち込んで紛れ込むというのは、一億歩譲って可能だったとしても……この艦そのもの
を爆弾で作り出すなんて芸当を、果たして奴に出来たのか!?

#6
惑星死陸(まどほし・だいろく)「ってことはだ、ハァハァ……昨日のバカ野郎と、爆弾でこの艦を作りだした奴は、ぜぇぜぇ……別だっ
てことか!?」
一同「なっ!?」
 艦は二つあった!……もとい、犯人は二人いたッ!
 誰だ、誰が犯人だ!?と疑心暗鬼に陥る乃代込組(のだいごめぐみ)。
幽之介「落ち着け、ここで争いあってはそれこそ、犯人の思う壺よ」
一同「それは……確かに……」
椎馬(しいま)「ならば、まずはこの艦を予約した奴、それからクルージングパーティーがいいと提案した奴」
*「はっ、はいッ!」
*「ヒッ、ななな、なんでしょう!?」
司郎「てめぇが犯人か!?」
 いや、まだ決まったわけじゃないから……
*、*「ちちち、違いますぅ……」
司郎「俺はなぁ、疑わしいものは分解(バラ)して潔白を証明しないと気が済まないんだよぉ」
 シャキン、シャキンと指と指の間にドライバーを挟んだ状態で腕をクロスさせながら叫ぶ司郎
 ……それ、死ねって言ってるようなもんですけど……
無籍任太郎「ど、どうしたんですか?みなさん……」
 緊迫した空気の中、現れるは艦長だ。
椎馬(しいま)「一番疑わしいのは、てめぇの方だがな!」
任太郎「はい!?」
椎馬(しいま)「そもそも、爆弾でできた艦を用意できそうなのはてめぇくらいしかいねぇってことよ!」
任太郎「一体、何の……」
司郎「なるほどなぁ……確かに、てめぇが一番アヤシイ……」
 ジリジリと艦長に迫る二人
任太郎「ちょ、ちょっと待ってくださいよ、大体、私を殺したら、誰が艦を運転するってんです?」
司郎「心配すんなや!」
任太郎「なっ、まさか……」
椎馬(しいま)「忘れたのか?既に艦は航行不能だということを!……貴様がいようがいまいが、艦を動かすことは出来ねぇ
んだよ!」
任太郎「……」
 クソッ、あの馬鹿のおかげで計画が台無しだ……
司郎「シャアッ!」
 バララッ
 一足飛びにかかる司郎。しかし、任太郎は司郎の動きを読んでバックステップで回避
 結果として、上着だけしか分解(バラ)されなかった
一同「何!?」
 その、中身に一同は驚きを隠せない。
 まるで腹巻の代わりのようにC4を巻き付けている任太郎……しかし、驚くところはそこではなかった。胸をサラ
シできつく締めつけていたのだ。
椎馬(しいま)「女!?」

#7
司郎「ハッ、俺は相手が女だろうが子供だろうが分解(バラ)すぜぇ!」
 それは危険人物なのでは……
任太郎「動かないで!一歩でも動けば、ボンよ!」
 お前は北斗神拳伝書者か!
 と、言うのはさておき、彼女は無籍任太郎という名前ではない……鷹禍原輪火音(たかまがはら・わひね)劉漸院界吏(りゅうぜんいん・かいり)の恋人だという。
鷹禍原輪火音(たかまがはら・わひね)界吏(かいり)の仇……死ね!幽之介ッ!」
椎馬(しいま)、司郎「貴様ッ!」
幽之介「マテ!」
一同「ボス!?」
 一触即発の中、ボスが静かに叫ぶ
幽之介「貴様が殺したい相手は(わし)か……それとも……」
輪火音(わひね)「私が命を懸けてでも殺したいのはアンタだけよ!」
幽之介「ならば、(わし)以外の者が起ち去る時間をくれ!……そうすれば」
一同「行けません、ボス!」
幽之介「(わし)も長く生きた……死ぬならば、今が潮時と言うものよ……」
椎馬(しいま)「ボス!ボスが死ぬというのならば、私もお供します!」
司郎「俺もだぜ!」
 二人に続き、他の連中も、俺も俺もと名乗りを上げる
幽之介「馬鹿ものが……」
 そう毒づきつつも、笑みがこぼれるボスであった。
椎馬(しいま)「なぁ、アンタはいわば客将……逃げたっていいんだぜ?」
死陸(だいろく)「……俺も、死ぬにはいい日と思ってな……」
 呪われた聖剣……その全てを受け入れたことで、生きている限り人は悲しまなければならない、生きている限り
人は苦しまなければならない……ならば、生命など要らぬわッ!……とまぁそんな感じだ。
※お前はどこのサ〇ザーだよ!
輪火音(わひね)界吏(かいり)……今、そっちにいくからね……」
 ぽつりと呟き、瞳を閉じて爆弾を起爆する輪火音(わひね)
 カカッズドグォオオ〜〜〜〜ンッ

 そして、全ては終わった……
死陸(だいろく)「……な、何だ……何故、俺は生きている?!」
 あの爆発に巻き込まれては生きているはずがない……だが、死陸(だいろく)は生き永らえた。死覇魂咒魄怨爪(デス・ザ・スピリット)が彼を守った
のだ!
死陸(だいろく)「クソがッ!どうして……俺はッ」
 死陸(だいろく)にかけられた呪い、今だ解けず……


END

前の話へ 戻る 次の話へ