Eighter -Extra Voyage-
59ther 〜艦の中の地獄絵図 A〜



#0
 これは、とある豪華客船で巻き起こった惨劇に関するエストランテ
※エ『ストランテ』じゃなく、エ『ピソード』だからッ!!ってかこれ、フリーソフト、Cresteajuに出てきた剣
 だぞ、知っている人いるのか!?
 そして、そこにはある人物の姿があった!

#1
 豪華客船、百合丸雨号
 今、その艦は一つの団体の手によって貸し切り状態にされていた。
 団体と言っても、カタギの人間ではない。乃代込組(のだいごめぐみ)なるマフィアの一団だ。
一同「ボス、還暦、おめでとうございます!」
 黒服をキッチリと着込んだいかにもヤクザな連中が律儀にお辞儀をして、ボスを向かい入れる。
*「うむ……」
 歓迎と共に現れたるは眼帯をつけ、車椅子に乗る老人。
 言わずとも分かるだろうが彼こそがこの乃代込組(のだいごめぐみ)を束ねるボス、樹舞螺(きまいら)幽之介である。
 そして、黒服ズが平伏している中、一人だけ、ぜぇぜぇ、ハァハァととても苦しそうな様子の漢がいた……惑星(まどほし)
死陸(だいろく)である!
 なぜ、彼がこんなところにいるのか……それは、彼がその昔、乃代込組(のだいごめぐみ)にお世話になったからに他ならない。
*「お前、大丈夫か?」
惑星死陸(まどほし・だいろく)「あ、あぁ……これは……ぜぇぜぇ……ちょっと質の悪い……ハァハァ……船酔いみてぇなモンだ!」
*「だったらいいけどよぉ……」
 だが、今日は祝の席だ、あまり、苦しそうな態度は相応しくないから、場合によってはお引き取り願おう……と
言う感じの雰囲気である。
 ズズゥンッ
一同「な、何だ!?」
 その時、突如轟音と共に、艦が激しく揺れる。
*「おい、一体何があった?!」
 直ちに調べさせようとした矢先、艦長の無籍任太郎が血相を変えて乗り込んでくる
無籍任太郎「た、大変です!」
*「あぁ?!」
 ガン飛ばされて思わず怯んでしまう任太郎。
*「まぁ、待て、まずは落ち着いて話を聞こうや……」
 いきり立つ黒服を宥めるのは幽之介の懐刀、柄覇鋳ナ馬(がらはう・しいま)だ。
 黄金色の紅茶の注がれたティーカップを片手に優雅な立ち振る舞いは、皆を落ち着かせる
※ちょっと待って、その黄金色の液体ってもしかして……いや、まさかね……
柄覇鋳ナ馬(がらはう・しいま)「さっきの轟音、それに揺れは?」
任太郎「は、はっ……スクリューシャフトが二つとも完全に破壊されました!航行は不可能です!」
一同「な、何だと!?」
*「どうやら爆弾はそれだけじゃないようだぜ……」
 その場に段ボール箱を抱えてやってくる一人の漢。彼は乃代込組(のだいごめぐみ)の幹部の一人、淋多雨(りん・たう)という。
*「まさか、それは……」
淋多雨(りん・たう)「おう、そのまさかってヤツだ!」

#2
 ドカリと段ボール箱を乱暴に床に置く多雨(たう)
※どうでもいいけど、はずみで爆破しないのは幸運と言えよう
一同「ン、何ィ?!」
 そして、その段ボールには核マークが描かれていた。
一同「まさか、核爆弾!?」
椎馬(しいま)「落ち着け!」
 非核三原則を忘れたか!?ここ、日本に核兵器があるわけがない!と豪語する椎馬(しいま)
一同「た、確かに……」
多雨(たう)「まぁ、爆弾であることに違いはねぇがな……」
 中には7SEG LEDで時刻がカウントダウンされていた。タイムリミットは1時間!
*「をいをいをい!」
死陸(だいろく)「こいつぁ……ハァハァ……やべぇかもな……ぜぇぜぇ……」
*「だが、心配ねぇぜ!」
一同「あ、アンタは!?」
 と、そこへやってくるのもまた、乃代込組(のだいごめぐみ)の一員。流離(さすら)いの解体屋の異名を持つ殺し屋、瓜泰(うりたい)司郎である。
 『かいたい』なのか『うりたい』なのかよく分からない巫山戯(ふざけ)た名前だが、その力は折り紙付きだ。
 ジャカッジャカカッ
 指と指の間にドライバーを装備し一足飛びにかかる司郎。
瓜泰(うりたい)司郎「ハァッ!」
 バラッ
 彼が通り過ぎたのち、爆弾はあっという間にバラバラに分解される。
 しかも、ただバラされただけではない。回路の一つ一つまでもがICとコードにまで分解されるという凄まじいま
での分解能力である。
司郎「しかしなぁ、ちぃっとばかし困ったことになったぜ……」
多雨(たう)「爆弾はまだあるってことか?」
椎馬(しいま)「だが、一体何のために!?」
司郎「まぁ、それもあるんだろうがよぉ……」
 ふぅ、とため息を一つついて、司郎は近くの椅子にどかりと座り込む
司郎「俺ぁ、何気なく、自分の部屋のベッドを分解(バラ)してみたワケよ」
 いや、ベッドをバラすなよ!と一行が心の中で突っ込みを入れる。
 それはさておいて、司郎は続ける。
司郎「そしたらよぉ、驚いたぜぇ!」
*「おい、一体何があったってんだ?」
椎馬(しいま)「はっ、まさか……」
司郎「しゃあっ!」
 バララッ
 言うよりも実際に見た方が速いといわんばかりに彼は近くの壁を分解する。
一同「なっ、馬鹿な!?……こ、これはぁッ!?」
 剥がれた内壁の中……そこにはC4がみっちりと詰め込まれていた。
*「おい、ま、まさかとは思うが……」
 そのまさかである。司郎が部屋のベッドをバラして中から出てきたモノと、今内壁を剥がして出てきたモノは同
じ……
 一体、誰が、何のためにこんなことをしでかしたのか!?


続

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