Eighter -Extra Voyage-
52nder 〜見切り神対女王禍(ジョーカー)



#0
 白拍子かなり……自称『女王蜂』、通称『クィーンビー』というなんともフザけた人物で、かなりヤバイ、かな
りアブナイ、かなりタカビー、と三拍子揃った人物……そして、かんな以上の運の持ち主でもあり、更に『存在』
する全ての流派、技を使用できるというまさにトランプで例えるとJoな存在で、女王禍(ジョーカー)の力を宿すある意味究極の
女性……
 これはそんなかなり様が体験した事件を綴ったエレファンテ
※エ『レファンテ』じゃなく、エ『ピソード』……ビット兵器を持つ木星帝国のMA!?

#1
 東京都、某所
*「下らん……この勝負はここまでだ……」
 背中で語る漢と、跪く漢……
*「くっ……さすがは《見切りの神》とまで謳われた漢、嵯峨空靭(あきじん)……」
 跪く漢(彼は名を鎌瀬九音という)はそのまま空靭(あきじん)を見上げながらそう呟く
嵯峨空靭(あきじん)「……」
鎌瀬九音「だがな……そんな貴様でもヤツには勝てん!!絶対にな!!」
空靭(あきじん)「ほう?面白いことを言うな……そのヤツとは一体誰だ!?」
九音「フッそいつの名は……白拍子かなり!!」
 ニヤリと笑みを浮かべて告げるとそのまま気絶する九音であった
空靭(あきじん)「……かなり……!?」
 そんな奴がいるのならば、是非、死合いたいものだ……と考える空靭(あきじん)
 彼は古今東西あらゆる技を見切り、常に勝利してきた漢。そして、それ故に、通常の死合には飽きてきたところ
だった
 そんな折に知ったこの情報……これは是非ともと心が踊る空靭(あきじん)であった。

 天四斗(あまよと)、某所
白拍子かんな「オ〜〜〜ッホッホッホッホッホ!!正に今日は女王様日和ねぇ〜〜〜!」
※どんな日和だ!?と、いうか、唐突に叫びだすのはいかがなものなのか……みんなびっくりしますよ……
 と、そんな所へ颯爽と現れるのは件の漢……
空靭(あきじん)「お前が白拍子かなりか?」
かなり「ああん?何?そこの……」
 不機嫌マックスな表情でまるで汚物でも見る感じに空靭(あきじん)を睨むかなり
空靭(あきじん)「フッ、我こそは……」
かなり「うっさい!《見切りの神》こと嵯峨空靭(あきじん)……」
空靭(あきじん)「んなっ!?……なぜ俺の名を!?貴様一体!?」
 驚愕の表情を見せる空靭(あきじん)……どうやら彼はかなりがどんな人物なのか知らない模様だ。
 つまり、この話、オチが見えたも同然ということである。
かなり「ふふん、無謀にも私に勝負を挑もうっての!?……いいわ!かなりに逆らいしものには"死"を……!軽く
斃してあげるから覚悟なさい!オ〜〜〜ッホッホッホッホッホ!!」
 ぎゅるんっ
 真殺影刃(しんさつえいじん)を刀にシェイプシフトさせて突きつけるかなり
空靭(あきじん)「フン……そっちこそ《見切りの神》をなめるなよ!」
かなり「じゃ、軽〜〜〜く龍咬舞刃(りゅうこうぶじん)!」
 ドキュオッ
 応龍(おうりゅう)に変幻する光の龍を放つかなり
羅神無綺(らじんきむ)流の四大奥義を軽く籠手調べ代わりに放つなよ……全然籠手調べじゃないじゃないか
空靭(あきじん)「ハッ!見切ったぁ!!」
 ズアッ
 しかし、その光の龍も掠っただけで大したダメージは与えられなかった……

#2
かなり「ふふん……やるじゃない……手加減したとはいえ常人なら魂レベルで消滅していたわよ!」
 面白くなって来たわ!とかなり
 いや、そんな物騒極まりない技をいきなり放たないでほしい
空靭(あきじん)「フッ……言っただろ……俺は《見切りの神》貴様がどんな技をどれだけ使おうとも、俺に致命の一撃を与え
ることは出来ん!!」
 甘い、甘い、甘過ぎて欠伸(あくび)が出るぜ!と指を振りつつ余裕をかます空靭(あきじん)
かなり「豪語したわね……その言葉、後悔しないことね?オ〜〜〜ッホッホッホッホッホ!!」
 と、真殺影刃(しんさつえいじん)を構え直し、次の技を放つ
かなり「鳳鸞舞刃(ほうらんぶじん)ッ」
 平安を(もたら)す鳳凰を剣気により具現化し、激突させるかなり……が、しかし、それすらも紙一重で回避される
空靭(あきじん)「ハッ甘い!甘いわ!!」
 そのままかなりの隙を突いて反撃する空靭(あきじん)
かなり「……のはそっちよ!」
 しかし、かなりもまた絶妙なタイミングで迫る兇刃を回避
※まぁ、かんな以上の運の持ち主ですから回避のタイミングは完璧です
空靭(あきじん)「ほほぉう……なかなか……」
 こいつは一筋縄ではいかんな……と空靭(あきじん)。しかし、言葉とは裏腹に口元は緩んでしまっている。
 こんな死合は久しぶりで、そして、楽しくて仕方がないのだ
かなり「さ、じゃ、次もついれこれるかしら?」
空靭(あきじん)「臨むところよ!」
 ドッ……ガカアアアアアッ
 そして、両雄は一足飛びにかかり、攻撃を繰り出しては回避され、回避しては攻撃を繰り出し……を繰り返し…
…

 ……そのまま二時間が経過した……

空靭(あきじん)「く……はぁ……はぁ……はぁ……」
 かれこれ40以上の技を見切り、これまで過ごしてきた空靭(あきじん)……しかし、見切る寸前に掠ったダメージも……40以
上蓄積すると結構イタイ……
かなり「さぁ、乗ってきたわよ!!次はどうしようかしら……」
 面白くてしょうがないかなり……ノリノリである
※と、言うか、弱い者いじめですか……これ?
空靭(あきじん)「んなっ!?……まだ……技を隠しているとでも!?」
 本日何度目かの驚愕……だが、驚き過ぎて最早なんだか感覚が麻痺し始めているこのごろ。
かなり「……あ〜〜、そうそう、一つ言い忘れていたけど……別に、私はまだ技を隠し持っているわけじゃないの
よ……」
空靭(あきじん)「は!?」
 意味が分からない……
かなり「ただ、ちょっと全ての流派、全ての技が使えるだけなの……」
空靭(あきじん)「ちょ、待て……今何かサラっと凄まじいことを言った記憶がするんだが……」
 サラっととんでもないことをシレっと言い出すかなりに、驚愕というか、最早絶望する空靭(あきじん)

#3
かなり「私の技が枯渇するのと、貴方の体力が枯渇するのと……どっちが早いかしらね?」
空靭(あきじん)「な……ななな……そんな馬鹿な……いや……しかし……」
 ジリジリッ
 後退る空靭(あきじん)。考えるまでもない……かなりの使う技が枯渇するよりも先に、こっちがダウンしてしまう
かなり「オ〜〜〜ッホッホッホッホッホ逃がさなくてよ!!!」
 そして、追い打ちをかけるが如く、かなりは嬉々として真殺影刃(しんさつえいじん)を振るう
空靭(あきじん)「ヒィイアアアア〜〜〜」
 その後、空靭(あきじん)の悲痛な叫びが(こだま)し……この日を最後に、彼の姿を見た者はいなかったという……
※いや、死んでないですよ?
 それにしても、空靭(あきじん)は無知ですな……かなりのことを知らないなんて……


END

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