Eighter -Extra Voyage-
51ster 〜伊賀に咲きし徒華〜



#0
 砕華(さいか)動乱……殺人、窃盗、武器密輸……オマケで売春を行う非道くのいち集団……彼女らは現代に隠密は不要と
し、忍びの里の襲撃に走ったのだが……しかし、総介+Eighterのおかげで事なきを得た……
 これはその後の忍びの里……特に伊賀の里に焦点を合わせたエール・シュヴァリアー
※エ『ール・シュヴァリアー』じゃなく、エ『ピソード』……全然違ぇよ!!

#1
 砕華(さいか)の一件の後、神崎通は風魔の里を離れ、伊賀の里に移り住んでいた……
 あれほど現代の伊賀の里に興味がなかった神崎が……何故……
 三重県、伊賀の里
神崎通「……」
 シュシュシュッ
 佇む通に迫る手裏剣、苦無、そして、伊賀忍者
通「甘い」
 ガガガガッ
 しかし、それらはいとも簡単に弾き返されてしまう
伊賀忍者「だが、本命はこっちだ!」
 そして、死角からの攻撃
通「そんな見え透いた攻撃……分からぬとでも思ったか」
 ドンッ
 だが、しかし、通は更に一歩先を読んでいた……
伊賀忍者「くっは〜〜」
伊賀忍者「参りました……」
通「フン……今日はここまでだ……」
 さて、通がなぜ伊賀の里にいるのか……それは砕華(さいか)撃滅後に遡る……

 砕華(さいか)撃滅後、各地の隠密は、互いの忍びの技を練磨するべく、忍びの里同志で交流試合を行うことを決定した…
…
 そこで、通は伊賀忍者が交流試合で負けるなどと隠密の恥さらし……ということになり、やむなく伊賀の里に戻
り、伊賀忍者を鍛え上げることとなったのだ……

通「……やれやれ……これでは先が思いやられる……」
 ふぅ、とため息をついて、黄昏れる通
伊賀忍者(……フッ……今だ!)
 キラっと目を輝かせる伊賀忍者……そのまま忍刀を構え直し……
伊賀忍者「隙ありゃぁ〜〜〜!」
 練習はお終い……ならばこそ、まさか今襲いかかってくるとは思いもしまい……と一足飛びにかかる伊賀忍者
通「……フン」
 ズドンッ
 ……が、しかし、それでも、通に刃届かず……
通「お前は馬鹿か……そんな大声をあげて攻撃をするなどと、敵に自分の位置を教えるようなものだ」
伊賀忍者「ごもっともです……」
 がくり……と、そのまま伊賀忍者は地面に(くずお)れる……
通「……はぁ……」
 伊賀が負けるなどと忍びの恥……として伊賀の里に戻り、伊賀忍者を鍛える役目を買ったものの……今更後悔し
ている通であった……
通(……そんなことよりも……)
 だが、悩みの種はそれだけではない……彼を悩ませるものは実はもうひとつあったのだ……
 それは同じく、彼が伊賀の里を砕華(さいか)の魔手から護った際に起こった出来事……
 伊賀の里にとってはうれしい出来事かもしれないが、通にとっては迷惑極まりない出来事……

#2
通「……来たか……」
 噂をすれば影が刺す……問題のそれはやってきた
服部梶音(かじね)「はっ」
 通めがけて手裏剣を投げる梶音(かじね)……そして、それを軽々と回避する通
梶音(かじね)「あ〜、今日は当たると思ったのに……」
 ついこの間までは伊賀の棟梁なんて嫌だ……と叫んでいた梶音(かじね)だったが、通が砕華(さいか)を華麗に撃退してからは一転
して伊賀の棟梁に憧れをもつようになり……そして、隙あれば通に襲いかかる毎日である……
※通に惚れているのでは……とかいう噂も……チラホラと……
梶音(かじね)「……ご先祖様!今日こそは棟梁の座を空け渡して貰います!」
通「……空け渡すも何も、俺は伊賀の棟梁になった覚えはない……」
 ビシっと言う梶音(かじね)にキッパリと言い返す通
 そもそも、伊賀の棟梁は未だ服部梶音(かじね)である……担ぎあげられたまま変わっていないのだが……
 しかし、現状、伊賀忍者をまとめ上げているのは神崎通である……
 さながら、影の棟梁と言ったところだ……闇の軍勢、伊賀忍軍の首領としては似合っているとも言える……
梶音(かじね)「……じゃあ、私を一人前の忍びにしてください」
通「断る!」
梶音(かじね)「そんな……そこを何とか……」
通「……俺に一撃当てたら考えてやる……と言っているだろう……」
梶音(かじね)「ぐぬぬぬ……」
 一撃当てたら……『考えてやる』……と言うことは一撃当てたとしても気分が乗らないなどの理由で何もしない
と言うことなのだが……梶音(かじね)はわかっているのだろうか……
通「……なら、手っ取り早く一人前のくのいちにしてやろう……」
梶音(かじね)「え?……いや、ちょっとそれは……私はまだ清らかなままでいたいから……」
 貞操の危険を感じ取り、梶音(かじね)は脱兎のごとく去って行くのであった……
通「……はぁ……」
※ちなみに、通は梶音(かじね)に興味がないので、くのいちにしようとなどは思っておりません

梶音(かじね)「う〜〜ん、どうしたらご先祖様に一撃当てることができるんだろう……」
伊賀忍者「お悩みの様ですね……棟梁」
梶音(かじね)「だから、私は棟梁じゃない!」
伊賀忍者「……失礼しました……棟り……いや、梶音(かじね)様……」
梶音(かじね)「……で、何?何かいい手でもあるわけ?」
伊賀忍者「は……1人で駄目なら2人……2人で駄目なら、3人……」
伊賀忍者「つまりは、人海戦術です」
梶音(かじね)「……練習中……寄ってたかってご先祖様に襲いかかって、それでも、一撃あてることすらできないのに、人
海戦術?」
伊賀忍者一行「うっく……そ、それは……その……」
伊賀忍者「……いっそ、ここは女の武器で迫るというのはどうでしょう?」
梶音(かじね)「私はくのいちにはならないわよ!」
伊賀忍者一行「……はい、すみません……」

#3
梶音(かじね)「ご先祖様……覚悟〜〜〜」
通「……」
 スカッ
 後日、再び襲いかかる梶音(かじね)……そして、それを軽々と回避する通
通「無駄だ……」
 ……これが今の通の日常風景となっているのだが……しかし、通もまた、この日常に楽しみを見出している模様
である……
 ……そして、忍びの里の交流試合は行われる……


END

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