Eighter -Extra Voyage-
50ther 〜神光(ひかり)は彼女の下に〜



#0
 『光』の破壊神……逢喇且雫(アフラ・マズダ)……浚澄羽帝(サラスヴァティー)世界の破壊神が1柱である大鋒を携えた破壊神……今回はそんな光の
破壊神に纏わるエクサランス
※エ『クサランス』じゃなく、エ『ピソード』……全然違ぇよ!!

#1
 東京都、奈切家
 蠻或讎瑙(バアル・アダド)の手により黶鬥甦(アザトース)世界へと引き込まれつつも、Eighter一向の力により、現実世界に戻ってきた奈切母
娘は普通の生活を過ごしていた……のだが……
 しかし、普通の生活を過ごしていたのは母親の方だけであった……
奈切美加「……」
 ゴカアアアッ
 美加は光を呼ぶ印章を発動させ、逢喇且雫(アフラ・マズダ)鵺帛主世界(自分の部屋)へと召喚する……
逢喇且雫(アフラ・マズダ)「……我を呼ぶはお前か……」
美加「……わっ、本当に来た……」
逢喇且雫(アフラ・マズダ)「……興味本位で破壊神を呼び出すと……死ぬぞ?」
 ギュオンッ
 びっくりする美加に対して空間を歪めて光の鋒を取り出し、突き付ける逢喇且雫(アフラ・マズダ)
美加「別に興味本位であなたを呼び出したわけではないわ……」
逢喇且雫(アフラ・マズダ)「だったら、何だ?……我が力を望むとでもいうのか?」
美加「そうね……そうなるわね」
逢喇且雫(アフラ・マズダ)「……何のために?」
美加「……この光を呼ぶ印章はもともと私の先祖にあなたが授けたものなのでしょう?……」
 そして、美加は光を呼ぶ印章を逢喇且雫(アフラ・マズダ)に見せつける
逢喇且雫(アフラ・マズダ)「……」
 そのまま無言で美加と光を呼ぶ印章を見つめる逢喇且雫(アフラ・マズダ)……
逢喇且雫(アフラ・マズダ)「……そうか……ならば、お前が……早代光の裔孫(えいそん)というわけか……」
 そう、何故に奈切家に光を呼ぶ印章があるのかと言うと、実ははるか昔、逢喇且雫(アフラ・マズダ)が彼女の先祖たる早代光に授
けたからである……そして、以降、代々彼女の家系に伝わってきたのだ……
※最も、光の破壊神に関しての情報は世代を渡るごとに途絶えてしまい、今では伝説となっているのみなのだが
美加「調べるの、大変だったんだからね……」
 実家の蔵の中……そこに無造作に放置されていた虫食いだらけの巻物を読破し、ようやくご先祖様と光の破壊神
に関する情報を手に入れた……と美加……
 だが、しかし、その話には穴がある……虫食いだけに
 ……虫食いでボロボロになった巻物など、読めるわけがない……だが、しかし、美加は失われた部分もなんのそ
の読めてしまったのだ……
逢喇且雫(アフラ・マズダ)「……」
 そのまま、暫く黙りこむ逢喇且雫(アフラ・マズダ)
美加「……で、私に力を貸してくれるのかしら……それとも……?」
逢喇且雫(アフラ・マズダ)「……お前は……早代光に似ていない……」
美加「……そんなの……当然じゃないの……早代光ってのは遠い先祖なのよ……いくら、その子孫だからっていつ
までも面影が残って……」

#2
 そこまで言って美加ははっとする……
美加「……あなたは……早代光に恋をしていたの……?」
逢喇且雫(アフラ・マズダ)「……下らぬことを……神はそのような感情を持たぬ……」
 ……だが、しかし、ギリシャ神話などを紐解くと、人に恋する神というのはよくある話である……
 怒愛座(ヌァザ)世界の神が1柱、過初叨素(ヨグ=ソトース)は気に行った人間の女を自分の妾にして弄んでいるわけだし……
 何より、浚澄羽帝(サラスヴァティー)世界の破壊神で言うならば……奠夷瑪(ディーヴァ)もまた、その昔、人間に恋をしていた……
 だから、神が恋愛感情を持たないなどというのは偽りである
美加「だったら、さっきまでの会話は何!?……私が早代光に似ていたら……即断で力を……」
 ズドスッ
美加「!!!!?」
 と、そのとき、美加を光の鋒が貫く……
 ギロリと美加を睨みつける険しい眼光……やはり、苛立っているのは……逢喇且雫(アフラ・マズダ)が早代光に恋をしていた証拠
なのだろうか!?
逢喇且雫(アフラ・マズダ)「……我が力を得るにはそれ相応の資質が必要だ……貴様にそれがあるか!?」
美加「資……質……」
 突如、体を貫かれ、驚きのあまり声を上げる美加……であったが、しかし、それは激痛による悲鳴ではなかった
美加「え?」
 よく、自分の体を見てみると、貫かれたにも関わらず、血は一滴たりとも出ていない……
 シュウウウンッ
 それだけではない、自分を貫いた光の鋒の刃はそのまま自分の体に取り込まれ、そして、光の鋒から刃が消滅す
る……
美加「……な……なな……何!?……今……のは!!?」
逢喇且雫(アフラ・マズダ)「……資質は……あるようだな……我が……闇へと帰依する光を受け入れるだけの……」
 やはり、お前は光の巫女……の末裔であるということか……とぼそりと呟く逢喇且雫(アフラ・マズダ)……しかし、その言葉を美
加は聞き取れなかった……
 グニャリッ
 光の鋒を天に掲げ、そして空間に仕舞う
逢喇且雫(アフラ・マズダ)「……いいだろう……お前に……我が力を貸そう……我は『光』の破壊神……逢喇且雫(アフラ・マズダ)」
 ゴコアアアアアッ
 そして、美加は光の破壊神の加護を受けることとなった……

美加「……ちなみに、さっきのアレだけど……もし、資質とやらがなかったら……どうなってたの?」
 恐る恐る光の鋒に貫かれたときのことを聞いてみる……
逢喇且雫(アフラ・マズダ)「……闇に帰依するだけだ……」
美加「……」
 資質があってよかった……と胸を撫で下ろす美加……

#3
 そして、暫くして、逢喇且雫(アフラ・マズダ)浚澄羽帝(サラスヴァティー)世界へと帰って行く……
美加「よし、じゃ、これから私も御先祖様のように頑張るわよ!」
 ……何をどう頑張るのか……さっぱり不明なのだが……
 しかし、美加が逢喇且雫(アフラ・マズダ)の加護を受けたことで……美加の運命もまた動き出してしまった……
 その運命の旅路の先にあるものとは一体……


END

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