Eighter -Extra Voyage-
10ther 〜我儘わがまま過ぎる暗殺者アサシン B〜



#3
 我儘暗殺者(わがままアサシン)……内海殺華(とるか)……彼女は最近何かと問題になっているある意味有名な暗殺者だ……
 依頼成功率は48.32%と低く……その少ない成功率は依頼を受けても気が変わったとか、何とかで別な人を殺した
り、最悪、依頼主を殺したりするためであるというなんともダメダメな暗殺者……
 そんな我儘暗殺者(わがままアサシン)のフザけた無差別殺人を食い止めるべく、閣氏(カクシ)新撰組は立ち上がった!
沖田総花「……」
 不用心に鍵が開いていることにちょっと迷ったが……ここでうろうろしていても仕方がない……と突入を
 決意する総花……
ズンズンズンズン……
内海殺華(とるか)「はいはい。今回の依頼は……歌えない歌手、紘情舞香(ひろなさ・まいか)の暗殺……う〜〜ん、私この人のファンだからパ
ス♪」
※この歌手……踊りはうまいらしいけど……怪我したら本当に使えないよね?(うぉい!)
 奥へ進むと我儘暗殺者(わがままアサシン)が自分勝手に依頼を歪めている最中だった……
殺華(とるか)「……ええと、もう1件は……明殺(みょうさつ)者・河上沢斗(たくと)の暗殺……ええ〜〜!?この人結構イケメンなんだから……
そんな彼を殺すなんて忍びないし……ここはちょ〜〜っと別人を暗殺するってなことで手を打ちましょうか……」
※いやいや、そんな案で手を打っちゃダメでしょ……この人、本当に自分勝手だな……
総花「想像以上の我儘さだな……」
 と、そこへ、背後から声をかける総花
殺華(とるか)「なっ!?誰よ!?ってかどうやって入ったのよ!!」
 バッと振り返り、いつの間にかやってきた総花に怒鳴り散らす殺華(とるか)。……うん、やっぱり、我儘だ……
総花「……鍵がかかってなかったよ……」
殺華(とるか)「くっ……無用心ねぇ……」
 全く、誰よ!私の家の鍵を閉め忘れた人はぁ……とその家に自分以外住んでいないのに、別の誰かを勝手に犯人
に仕立て上げる殺華(とるか)……ここまで来るともう立派としか言いようがない……
総花「あなたに暗殺家業は向いていない……悪・即・斬の名の下閣氏(カクシ)新撰組・1番隊組長、沖田総花が殺る」
 とりあえず、なんで今日はここへやってきたのかを簡潔に説明し、刀に手をかける総花
殺華(とるか)「イ・ヤ!」
総花「ま、無抵抗に死ねとは言わ……」
殺華(とるか)「いいこと……私はまだ死にたくないの!いっぱい暗殺して、いっぱい遊ばなきゃいけないんだから……そん
なに私を殺したいんだったら同姓同名の人物かドッペルゲンガーかパラレルワールドの私を殺しなさい!いい?分
かった?」
総花「……」
 抵抗したいなら、しなさいよ……と声をかけようとした矢先、矢継ぎ早に凄まじく自分勝手な意見を飛ばされ物
凄く呆れてしまう総花……
※同姓同名の人物にドッペルゲンガーにパラレルワールドの自分って……どんだけ我儘なんだよ、お前……
総花「……遺言に残す事はそれだけか!?」
 スラッ
 チャキッ
 はぁ……とあまりの呆れっぷりにため息をつきつつ、抜刀し、刀を構える総花
殺華(とるか)「……気が変わったわ……今日の依頼はあなたを殺すこと!」
 スラッと刀を抜く殺華(とるか)……

#4
殺華(とるか)「私の剣の錆びと化しなさい……てええりゃああ!!」
 ギュゴアアアッ
 一気に飛び掛り、そのまま斬り下ろしにかかる……だが、暗殺者としては有能かもしれないが、侍としては有能
では無かった殺華(とるか)……そして、相手は新撰組の中で『天才』として名高い沖田の血を継ぐもの……
総花「遅いな……そんな動きでは私は殺れない……」
 スッ
 天才の前に、凡人の剣術など児戯に等しく……呆気なく回避される……
殺華(とるか)「なっ!?ちょっと!何勝手に回避してるのよ!!私が殺すって言ったんだから大人しく殺されなさい!!」
総花「は!?」
 刀をぶんぶん振り回して凄まじく我儘なことを叫びだす殺華(とるか)……我儘もここまで極められるとなんというか……
殺華(とるか)「いいわね!?次こそ殺されなさい!!」
 ビシイッと刀を突き付けて叫ぶ殺華(とるか)
※いや、んなこと言って殺される人は自殺志願者くらいです。
総花「……時間の無駄だな……」
殺華(とるか)「はあああ!!」
 大きく振りかぶって突進する殺華(とるか)
殺華(とるか)「殺ったぁああああ!!!」
 ブウンッ
 そしてさっきと変わらぬ勢いで斬りかかる
総花「ハッ!」
 バキンッ
殺華(とるか)「うっそぉ!!?」
 だが、しかし、その刃は総花に砕かれる
総花「……ハッ!無想三段(むそうさんだん)」
 ドドドッ
 折られた刀に注意をそらされ、呆然としていた、次の瞬間……瞬時に喉元を3回突かれる
殺華(とるか)「あぐっ!?」
 ドシャアッ
総花「……呆れるほどの我儘で……呆れるほど弱かったわねぇ……」
※いやいや、あなたが結構強かっただけなんじゃないでしょうか?総花さん……仮にも暗殺者ですよ。(どんな理
 由だ!)……と、言うか暗殺者なんだから正々堂々と死合を行うんじゃなく、こそこそと人を殺すのが正道?で
 あって……真っ向から立ち向かったから簡単に葬れたんじゃないでしょうか!?
 そして、誠一文字の書かれた布を置いてその場を去る総花……
 まぁ、何はともあれ……我儘暗殺者(わがままアサシン)、内海殺華(とるか)の誅殺はここに終わった……


END

前の話へ 戻る 次の話へ