Eighter -Extra Voyage-
6ther 〜奇剣妖刀魔刃語り〜



#0
 これは、九星団で1、2を争う剣腕の持ち主にて、『孤高の剣鬼』と呼ばれる四刀流の人斬りの鬼……冥時(みょうじ)萌のエ
ピダガー
※エピ『ダガー』じゃなくエピ『ソード』だから!

#1
 天四斗(あまよと)、某所
 ジャリッ
冥時(みょうじ)萌「ここか……」
 先の死合で敢に刀を破壊された萌は、とある場所へとやってきた……
※先の死合ってのは、星振る稜郭での死合のことである。話の時間で言うと、歴史の墓場で、修行……するちょっ
 と前になる……のかな?
萌「禍経津(まがふつ)屋……」
 そこは……数多の殺人奇剣、妖刀、魔刃を作ることで有名な……裏の世界屈指の刀鍛冶……
 津川大、中の兄弟で……その地位を確固たるものにしていると言う……
萌「……刀を4本うって欲しい」
津川大「……そいつぁ……『売って欲しい』のか『打って欲しい』のか……どっちなんだ?」
 萌が店先で叫ぶと、大が登場し、言い返す。
萌「……さほど時間は無いんでね……」
津川中「買いに来た……と……?」
萌「手っ取り早く、商品を見せてもらおうか……」
大「……だが、それは出来ないな……」
萌「何だと!?」
 意外な返答に萌が表情を変える
中「おっと、別にアンタが一見さんだから……という意味じゃない……」
萌「じゃ、どういう意味だ!?」
大「アンタの噂は聞いている……孤高の剣鬼……冥時(みょうじ)萌……」
萌「だから……?」
大「あの……冥時(みょうじ)だろ!?」
萌「……俺以外に冥時(みょうじ)を名乗る人間がいるとはあまり思えんがな……」
中「……今から数年前の話になる……」
 何故唐突にそんな話になる!?と萌が思っていると、すかさず大が答える
大「まぁ、少し昔話に付き合ってくれ……」
中「この店に、ある人物がやってきて、同じように4本の刀を注文したんだよ……」
 そいつは、自分の流派の為にどうしても、4本の刀が今すぐ欲しい……と頼んできた……
 しかし、日本刀は一朝一夕で作れるような代物ではない。ならば、次に来る時、4本作っておけ……と漢は急ぎ
必要という意味でまずは適当に4本、そして、次に来る時の為に4本の刀を依頼して、帰って行った……
萌「……で、それと、俺の依頼とどんな関係があるってんだ!?」
中「その漢は……冥時(みょうじ)千之助……」
 冥時(みょうじ)千之助……それは今は亡き、萌の父親の名前である。
萌「……まぁ、4本の刀を依頼するって時点で、俺の家系の者だとは薄々感じてはいたが……それで?」
 で、結局、それが何だって!?と萌が結論を急かす

#2
大「……千之助が再びここを訪れることは無かった……と、言うわけです」
萌「……」
 つまり、俺も同じ末路をたどるやもしれんから諦めろ……と、言うことかと思っていると、中が続ける。
中「これが、意味することはただ1つ……あなたの求める刀は最初からここにある……故に他の商品を見せること
はできない!……」
 ザッ
 そして、大は店の奥へ行き、父親が作らせたと言う4本の刀を持ってくる
萌「……それが……?」
大「ええ、元屠歳殺(げんとさいさつ)流の為に作られた殺人奇剣……その名も……」
大、中「元屠剣……」
 黒い刀身の長い刀、赤い刀身の短い刀、青と白の刀身の刀……
 早速萌は4本の刀を受け取り、元屠歳殺(げんとさいさつ)流、四屠(しと)の陣に構える
萌「……ほう……?」
 その手に馴染む感触は……まさしく、元屠歳殺(げんとさいさつ)流の為に作られた刀であることを物語っている。
大「その黒き刀は……玄雷……4本の中で最も邪悪に満ちた刀であり……元屠歳殺(げんとさいさつ)流の邪気を高めるための1刀だ…
…」
中「その青き刀は、青炎……4本の中で最も破壊力の高い刀であり、元屠歳殺(げんとさいさつ)流の攻撃の要となる1刀」
萌「ハアッ!」
 ザウンッ
 右手の2刀(玄雷、青炎)で近くにあった巨木を斬り倒す萌
大「その白き刀は……白風、4本の中で最も防御に優れた刀であり、元屠歳殺(げんとさいさつ)流の護りの要となる1刀」
中「その赤き刀は、朱水……4本の中で最も鋭い切れ味をもつ刀で……ある」
 キュゴゴゴッ
 津川兄弟はそう告げた後、何処からともなくリモコンを取り出しポチっと操作……と、次の瞬間、萌に無数の斧
が降りかかる
萌「フンッ」
 ザバシュアアアッ
 左手の2刀(白風、朱水)でそれを難なく切り捨てる萌
萌「……なるほど……」
 パチリッ
 切れ味を確認した後、萌は納刀。
大「気に入ってもらえましたかな?」
萌(元屠歳殺(げんとさいさつ)流の為の4刀……)
※あれ!?そういえば……津川兄弟はどうやって元屠歳殺(げんとさいさつ)流の知識を手に入れたんですかね?(今更だな)……千
 之助がちょっと情報を教えたのか……?
 気に入った萌は早速購入しようと財布に手を……
大「あ〜〜、既に千之助から前金でお代はいただいております……」
萌「……そうか……」
中「では、またのお越しをお待ちしております……」
萌「……ああ」
 そして、萌はその場を去る……
 ザッ
 こうして、新たな4本の牙を手に入れた萌は、敢を斬り捨てるべく、その腕と邪眼を磨く……
※Q:そういえば、萌の父って刀を依頼したままそれっきり忘れていたの!?
 A:依頼した刀が出来上がらないまま、とある死合に赴き、亡くなったのです。
 元屠剣(げんとけん)……それはある意味、父親の形見である……


END

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