Eighter -Extra Voyage-
4ther 〜もう一人の剣鬼! C〜



#5
刀堂秋水(あきみ)「うふふふ……これで、私たちの間合いでは、空間転移をすることが出来なくなったわよ!」
冥時(みょうじ)萌「ぬぅ……」
 元屠歳殺(げんとさいさつ)流が次々と封殺されていく中……萌に勝機はあるのか……
※ってか、萎さんは……戦闘に参加しないの!?
刀堂三尺(みせき)「フフフ……もっとだ!もっと見せてみろ!元屠歳殺(げんとさいさつ)流を!……全部、封殺してやる!」
萌「ハッ!ならば……邪眼(コレ)はどうだ!」
 ズオオオオオオオッ
 萌の眼が紅く輝き、そして、邪気と殺気が膨れ上がる
冥時(みょうじ)萎(フッ……邪眼は元屠歳殺(げんとさいさつ)流にあらず……この勝負……いける!!)
 内心ほくそ笑む萎だったが……すぐさまその自信は打ち砕かれることとなる
三尺(みせき)「フッ……黄泉魔気(おうせんまき)!」
 ズゴゴゴゴゴゴッ
 禍々しい金色のオーラを放つ
萎「なっ……何だ!?それは!?」
秋水(あきみ)「邪眼に引けを取らない……いえ、むしろ邪眼を超えた闘法」
萌「……太乙煉無陣(たいいつれんぶじん)!」
 ドギャギャギャギャッ
 邪悪な剣圧で触れるものを斬り刻む
三尺(みせき)「無駄だ!百鬼抹吼刃(ひゃっきまっこうじん)」
 ドドドドドドドッ
 禍々しい無数の剣閃が邪悪な剣圧を相殺する
萎「邪眼と……互角に!!?」
 驚愕の表情の萎……
秋水(あきみ)「うふふふ……言ったでしょ?元屠歳殺(げんとさいさつ)流を滅ぼすと……ふふん……もはやあなたに勝機など無いのよ!!」
三尺(みせき)「大人しく裁きを受けろ!……孤高の剣鬼……」
萌「ならば……」
 チャキキッ
 刀を構え直す萌……だが……
三尺(みせき)「フッ……その構えから繰り出される技は……これだ!」
萌「雷公殺鳴陣(らいこうさいめいじん)!!」
三尺(みせき)雷神咆渇刃(らいじんほうかつじん)」
 ビギャギャギャッギョショオ〜〜〜ン
 雷が落とす萌……さらに三尺(みせき)も四方八方に電撃を走らせる
萌「ぐっ……何!?」
三尺(みせき)「ハハハハハ……」
萌「……ならば……殺眼剣鎖(さつがんけんさ)!」
 ギャガッ
 邪眼で睨みつけることによって相手の動きを封じる萌
三尺(みせき)秋水(あきみ)!」
秋水(あきみ)「はい、兄様」
 すっ
萎「なっ!?」
 だが、しかし、封じ込めることは敵わず……
萌「おああ!」
 ズバスッ
 秋水(あきみ)を盾代わりに殺眼剣鎖(さつがんけんさ)を防ぐ三尺(みせき)
秋水(あきみ)「ぐ……ああ!?」
 ブシュウウッ
 斬り飛ばされる秋水(あきみ)

#6
萎「妹を盾にするとは……随分と非情だな……」
秋水(あきみ)「私と兄様はいつもつながっています……心も……体も……」
三尺(みせき)「非情の剣鬼がこれしきで『非情』などと言うとは……滑稽だ……」
萌「下種が……」
三尺(みせき)「はっ!激震割天刃(げきしんかってんじん)!」
 ズドゴガガガガガガッ
 だが、何と言われようとも、構わず三尺(みせき)は地面に刀を突き刺して大地を引き裂いていく
萌「殺眼剣鎖(さつがんけんさ)!」
秋水(あきみ)「くうっ!」
 邪眼による束縛……をまたしても……秋水(あきみ)が引き受ける
萌「……フッ……」
 そして、笑みをこぼす萌……
三尺(みせき)「どうした!?……負けを認めるか!?」
萌「誰がだ……貴様らの御自慢の……桜花抹(おうかまっとう)流……どうやら不完全だったようだな……」
三尺(みせき)「ハッ!」
 ……殺眼剣鎖(さつがんけんさ)の時だけ妹を盾として使う……それはすなわち、殺眼剣鎖(さつがんけんさ)は防げないことの裏返し。
萌「……大体にして、こっちが1人なのにそっちが2人とは……」
三尺(みせき)「卑怯と言うか!?……だが、これが殺しあいよ!分からないわけではあるまい……」
萌「……ならばっ!」
 ドドッ
秋水(あきみ)「う……ぐ!?」
 と、動けない秋水(あきみ)に4本の刀を突き刺す萌
三尺(みせき)秋水(あきみ)!?」
萌「これも卑怯とは言わせんぞ!」
 ぐおんっ
 そのまま秋水(あきみ)を萎に投げつける萌
萎「斬空破(ざんくうは)!」
 ズバシュアアアアッ!
秋水(あきみ)「!!!!」
 秋水(あきみ)……萎に細切れにされ、呆気なく散る……
三尺(みせき)「キ……貴様……よくも……よくも秋水(あきみ)を……」
 グオオオオオッ
 三尺(みせき)……怒りに燃える
三尺(みせき)「よりによってバラバラに斬り刻むとはぁ……おかげで死姦が出来なくなったじゃねぇかあ!」
萌「……」
 怒りの理由が不純で……正直呆れてしまう萌
三尺(みせき)「この怒り……秋水(あきみ)の痛みと知れぃ!究極奥義!斃滅元屠刃(へいめつげんとじん)!」
 ゴギュオアアアアッ
 ゴギャアアアッ
 禍々しい金色のオーラを刀に纏わせ増幅させ、そのまま一刀両断にかかる
萌「フン……六壬移臠陣(りくじんいれんじん)!」
 ヴオムッ
三尺(みせき)「な……なぜ……空間転移が!!?」
 先ほど封じていたはずの空間転移が……再び可能に……
萌「怒りに心を塗りつぶされ……周りが見えなくなったんだろう……カスがぁ!!」
 ドドドドドドッ
 空間転移を繰り返しながら三尺(みせき)を斬り刻む萌
三尺(みせき)「ごおおおあああ!!!?」
 萌の4本の刀による一閃を浴び……三尺(みせき)……ここに散る……
萌「はぁ……はぁ……」
 そして、死合を終え、ガクリと片膝をつく萌
萎(……萌……)
 その時、萎は悟った……萌の剣腕は……最早自分をも凌駕している……と……
萌「刀堂兄妹……フザけた強さだった……」
 それは、フザけた兄妹だった……という意味とかつてない強敵だったという2つの意味を有す……
萎「……また、来るわ……萌……」
 ザッ
 そして、今まで見守っていた萎は報告をするべくその場を後にする……
萌「……」
 これは……孤高の剣鬼、冥時(みょうじ)萌の物語……魔道に堕ち、剣の鬼と化した彼女の……この先に……何が待ちかまえ
ているのか……まだ、誰も知らない。


END

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